レバノン首相、「シリアがレバノンの政治危機の激化に主要な役割」と主張
2008年03月29日付 Al-Nahar 紙

■ セニョーラ首相:「シリアが危機の激化の元凶」
■ 「アラブ諸国は問題解決へ介入を」「イランのレバノンに対する扱いは最早容認できず」

2008年03月29日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 レバノン政府筋が本紙に語ったところによると、フアード・アル=セニョーラ首相は、ダマスカスで開催されたアラブ首脳会議の前に「可能な限り最も明確な表現」をもって、レバノン・シリア両国関係の危機を議題に加えるよう呼びかけるとともに、「この問題に対処するため、できるだけ早くアラブ外相特別会議の開催を呼びかけること」を提案した。

 セニョーラ首相の演説は、野党系メディアを除くレバノンの視聴覚メディアにおいて実況中継で伝えられ、アラブ諸国のメディアでも報道された。このコメントの中で、首相はシリアが「政治的危機の激化」に果たしている「主要な役割」について詳細に説明し、そのために「各勢力の合意に基づく候補者が大統領に就任することが妨げられている」と語った。また、「レバノンを自国の影響圏として扱うことはもう容認できない」と述べ、イランを名指しで非難した。

 本紙が得た情報によると、セニョーラ首相は昨日の午後、演説を行う事前に全閣僚に意見を聞くため、演説の内容を知らせていた。また首相府は演説の内容をアラブ諸国の国王、元首、政府高官らに送付した。その中にはシリアのバッシャール・アル=アサド大統領も含まれており、公式筋によるとアサド大統領は昨夜、執務室でファックスを通して演説原稿を受け取ったという。

 政府筋はこの発言の意味合いについて、「偽善や罵言、非難を抜きにしてレバノン・シリア関係の問題を提起したものであり、両国間関係における歴史的な演説である。首相がこのような明確さで両国間関係について問題を提起したのは前例がない」と説明している。

 また有力閣僚筋は、「レバノンの具体的な要求が、アラブ諸国首脳会議を欠席した各国の首脳にも、出席した諸国の首脳にも提示された」と語っている。

■ 演説

 セニョーラ首相は演説を「兄弟国であるレバノンとシリアの近年の関係が対等なものでなかったことは、周知の事実である」と切り出し、次のように述べている。「首脳会談に出席しない直接的な理由は、レバノンはアラブ首脳会談において、大統領が代表として出席するのが当然だということを強調するためである。レバノンの大統領が出席することで、レバノンの特殊性、多様性、他に例のない個性が際立つのである。レバノン大統領はアラブ諸国首脳の中で唯一、キリスト教徒のアラブ国家元首だからである。(...)非常に遺憾かつ怒りをかきたてるのは、レバノン大統領が4ヶ月以上経っても空位のままだということだ。シリアはこの間、またそれ以前から、レバノンの政治危機の激化に主要な役割を果たしており、レバノン内政に介入し続け、レバノン各勢力の合意に基づく候補者が憲法の規定に基づいて就任することを妨げている。またアラブ諸国が合意しているアラブ諸国提案の実施を妨げ、16ヶ月以上前からレバノン国会の開催を妨げ、アラブ連盟事務局長の努力を妨害している。」

 またセニョーラ首相は、「兄弟国シリアであれ、友好国イランであれ、その他の世界中のいかなる国であれ、レバノンを主権を有する独立国家としてでなく、自国の影響圏として、或いは戦闘や報復の舞台として扱うことはもはや容認できない」と述べた。

(後略)

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( 翻訳者:梶原夏海 )
( 記事ID:13503 )