ダマスカスでアラブ首脳会議の外相級準備会合が始まる
2008年03月28日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ アラブ諸国間関係を協議した非公開外相会議で白熱の議論
■ シリア政府:首脳会議へのアメリカの介入を非難、サウジアラビア政府に3・14勢力への圧力を要請
■ アラブ諸国分裂が確実になり不安広まる、ハマース・ファタハ間のサナア合意にアラブ諸国の支持

2008年03月28日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ダマスカス:本紙記者バッサーム・アル=バダーリーン、ラッズーク・アル=ガーウィー】

 シリアの首都ダマスカスで昨日、アラブ首脳会議の外相級の最初の準備会合が開かれた。メディア関係者やゲストらの間では、レバノン情勢の緊張が緩和しないままシリアで首脳会議を開催することにアメリカが反対しているとの情報が取り沙汰されている。またシリアは、ダマスカスで行われる今回の会議が最も成功したアラブ首脳会議になるとの確信を示唆している。

 観測筋はヨルダンのアブドゥッラー2世国王が首脳会議に出席したり実質的に参加したりする可能性は低いとの見方を示しており、穏健派アラブ諸国が首脳会議のボイコットを明確に示したため、アラブ諸国が2つの陣営に分裂する懸念が非常に顕著になっている。一方シリア政府は、アラブ首脳会議の組織レベルでは最も多数の参加が得られるだろうとの見方をあくまで主張している。

 アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長はシリアのワリード・アル=ムアッリム外相とともに首脳会議開会にあたっての記者会見を行った。この記者会見では、ムーサー事務局長のコメントは外交的で中立に徹する姿勢が目立ったことに対し、シリアのムアッリム外相のコメントは明白に政治的意味合いを帯びていた。ムアッリム外相は、「アラブの統一された立場を見ることもダマスカスでアラブ首脳会議が開催されることも望まない勢力が存在する」と語り、アメリカがアラブ首脳会議を開催前から失敗させようと試みていると記者らにほのめかした。

 ムアッリム外相は、「アメリカは首脳会議に呼ばれていないため、首脳会議の議事日程にも議事そのものにも影響を持たないが、アメリカによる会議妨害の動きがあり、この動きについては実際に公式に言明されている。アメリカ国務省の報道官は、『アラブ諸国首脳は会議に赴く前に十分に考えるべき』と述べている。また、アメリカ政府高官らがこの地域を相次いで訪問していることも言うまでもない」と述べた。成り行きを見守っているメディア関係者らは、「シリア側は会議の活動や準備作業に対して自信を持って取り組んでおり、穏健派アラブ諸国の表明した姿勢にもかかわらず、会議を成功させる決意を見せている」との見方を示している。また、首脳会議の準備にレバノン代表が不在であるなか、昨日ダマスカスで行われた専門家の会合や外相級会合は非常に穏やかで、従来の首脳会議で起きたような激しい場面や公然たる意見の対立はなかった。

 最初の会議は穏やかな雰囲気のなかで行われたため、アラブ諸国外相や高官はこれまでのアラブ諸国の会議とほぼ同様の構想や提案について討議し、デリケートで議論を呼ぶ事項には至らなかったため、平穏な雰囲気の中で議事が進行された。

 外相らの議論を呼んだのは、アラブ諸国間関係に関するリビアの提案である。会合の終わりにはアラブ連盟のムーサー事務局長が、アラブ諸国間の関係改善の方策や実現のための仕組み作りに関する提案を記載した文書の作成を委任された。

 アラブ外相会議の開会の辞においてムアッリム外相は、もしイスラエルが和平への意志を証明しない場合はアラブ和平案を見直す可能性があると示唆し、またレバノンにおける大統領選出問題に解決を見出すため、サウジアラビアに対して、レバノン議会の反シリア多数派勢力に影響力を行使するよう促した。

 イエメンのアブー・バクル・アル=クルビー外相は、サナアで調印されたファタハとハマースの合意について、アラブ同胞諸国から支持を得るため、今回のサミットで提起すると水曜日に発表している。

また、合意が成立した提案の一つは、経済・通商面での企画やプロジェクトの実行を促進するものであり、詳細は次回のクウェートでの首脳会議で討議されることになっている。

 レバノン大統領選出問題について、ムアッリム外相はサウジアラビアに対し、危機を解決するため議会多数派に影響力を行使するよう要請し、レバノン情勢の不安定で最も被害を被っているのはシリア政府であると強調した。

 ムアッリム外相は、[レバノンの危機について]シリアだけが単独で取り組むのでは不十分であり、各方面に友好関係や影響力を持つ全てのアラブ諸国・勢力が共同で取り組むべきだと述べた。特に、レバノン議会の多数派(3・14勢力)に対してシリアにはない影響力を持つサウジアラビアに取り組みを求めた。

 一方、シリアのユースフ・アル=アフマド・アラブ連盟常駐大使は、もしレバノンが今回の首脳会議に出席していたら、バッシャール・アル=アサド大統領はレバノン問題を詳細に議論するつもりだったと述べた。

 さらにアフマド大使は、「欠席したのはレバノンではなくフアード・アル=セニョーラ政権である。もしレバノンやレバノンを支援する国々が出席したならば、シリア大統領はアラブ諸国を危機解決へ向かわせるためにレバノン問題の詳細全てを議論するよう提案していただろうから、レバノンは自らチャンスを逃したのである」と述べた。

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:13529 )