イスラエル副首相:「シリアはゴラン高原の返還よりもイランとヒズブッラーを選んだ」
2008年04月04日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ 「イスラエルは1948年領土への難民帰還を一人たりとも認めない」
■ 「シリアはゴラン高原の返還よりもイランとヒズブッラーを選んだ」
2008年04月04日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【ナザレ:ザヒール・アンドラウス本紙記者】
昨日木曜、イスラエルのエフード・オルメルト首相の第一副首相であるハイイム・ラモンは、「レバノンの組織ヒズブッラーは規模の大小を問わず、ヘブライ国家(イスラエル)内外のイスラエルもしくはユダヤの標的に対する軍事作戦を実行することを恐れている。なぜならヒズブッラーはイスラエルの報復が苛烈で予測もつかないものになると知っているからである」と発言した。同氏によれば、ヒズブッラーは第二次レバノン戦争で教訓を得たのであり、イスラエル兵士2人を拘束したことに対してイスラエルがあのような激しい反撃をするとは予測していなかったというのである。続けて同氏は、「第二次レバノン戦争は彼らに重要なことを理解させた。それはすなわち、イスラエルの反撃は誰にも予測できないということだ」とも述べた。
イスラエルの『イディオット・アハロノート』紙インターネット版によれば、ラモン副首相のこの発言は木曜日にテルアビブで開かれたイスラエル運営評議会で発せられたものだという。またシリア問題および北部国境の緊迫した状況に関してラモン副首相は、この状況ではイスラエルとシリア政権との間で和平交渉が行われる機会は非常に遠ざかっていると述べ、「シリアをいわゆる“悪の枢軸”から外すために続いてきた試みは失敗に終わった。なぜならシリアのバッシャール・アル=アサド大統領は、占領されているゴラン高原の返還と引き換えにしてでも、イラン・イスラーム共和国との特別かつ戦略的な関係を犠牲にすることも、レバノンの国内問題への介入を止めることも望んでいないからである」と言明した。シリアはゴラン高原を満足できる魅惑的な報酬とはみなしておらず、ダマスカスの政権は1967年以来占領されているゴラン高原の返還よりもヒズブッラーやイランとの特別な関係のほうが重要であるとの戦略的決断を行ったと語るラモン副首相は、シリアとイランの関係は外交に限定されず、両国の中枢同士の強固な個人的関係へと変化したと指摘した。
同じイスラエル紙インターネット版は、ラモン副首相が発言の中でパレスチナ問題にも触れ、イスラエルとパレスチナが恒久的解決について合意に至るまでにはそう長くはかからないだろうと語ったと伝えている。ラモン副首相は、「パレスチナ側との交渉の現在の目標は、最終的解決へ向けた大筋の道のりを含む原則合意に達することにある。イスラエルはその原則合意を公表する前にアラブ諸国や西洋諸国から支持を得ておきたい」と述べ、「パレスチナ側と原則合意に達した場合、イスラエル政府は国民に合意内容を提示し、国民がそれを受け入れるか拒絶するか、選挙で信を問わねばならない」と続けた。
ラモン副首相の考えでは、パレスチナ側との最終的解決に至ったとしても、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ領のうち分離壁の西側に取り込まれてしまう10パーセントの土地については、イスラエルの統治下に置かれることになるという。また、1948年に故郷から離散させられたパレスチナ難民の帰還権に関しては、「パレスチナ難民問題の解決はヨルダン川西岸地区とガザ地区への帰還を認めることによって可能となることを、昨今では誰しもが認識し理解するようになった」と述べつつ、イスラエルは1948年領への難民の帰還を一人たりとも認めないと強調した。
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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:13534 )