ハーシェミー=ラフサンジャーニー「『ペルシア湾』という名称に疑問を投げかけることは、西洋による煽動行為」
2008年04月12日付 Jam-e Jam 紙

【政治部】テヘラン臨時金曜礼拝導師のハーシェミー=ラフサンジャーニーは、「ペルシア湾」という名称は、ヒジュラ太陰暦1世紀から5世紀〔西暦で約7世紀〜11世紀〕の聖コーランの注釈書や資料にも言及されていると述べた上で、これらの資料を参照し、ペルシア湾について誤った主張を行ったり、偽りの名称を使用したりするような行為はやめるよう、アラブ人、特にアラブ諸国のイスラーム神学界に対し求めた。

 メフル通信の報道によると、テヘランの金曜礼拝で演説を行ったハーシェミー=ラフサンジャーニー師は、ペルシア湾〔の名称〕やイランが領有する島々に関して一部のアラブ諸国が取っている行動を批判した上で、「我々は常にそれらの国々との対話を求めてきたし、彼らが諸外国の扇動の影響を受けないことを望んできた」と述べた。〔※訳注1〕

 同師はさらに、「我々はある名称をめぐって、他の国々と戦争を起こすつもりなどないが、しかし〔「ペルシア湾」という名称を改竄することでイスラーム世界内部の〕秩序攪乱を煽ろうとする国々に利用されるわけにはいかない」と述べた。

 ハーシェミー=ラフサンジャーニー師は、イスラーム神学界の偉大なるウラマーやアラブ諸国に対し、真実をより良く知るためにコーランの「洞窟」章の第61節に付された注釈を参照するよう勧告した。〔※訳注2〕

 同師はその上で、「コーラン注釈書の中にこのような重要な資料があるからには、他国がこの問題に干渉し、対立を惹起させるようなマネを許してはならない」と付け加えた。

〔後略〕



訳注1:「イランが領有する島々」とは、アラブ首長国連邦と領有権を争っている大小トンブ島、及びアブー・ムーサー島のことを指す。アラブ諸国は「ペルシア湾岸協力会議」などの場で、イランがこれらの三島を「占領」していることに抗議する声明をしばしば出している。

訳注2:コーラン「洞窟」章 第60節〜61節の記述は以下の通り。

60:さてムーサーがそのお小姓に、「わしは、二つの海の出逢うところへ行きつくまではどこまででも行くぞ。何年歩きつづけようとかまいはせぬ」と言った時のこと。

61:二人は、二つの(海)の出逢うところに辿りついた時、持っていた魚のことをすっかり忘れていたので、魚はさっさと海の中に逃げてしまった。
(井筒俊彦訳『コーラン』中、p.120.)

なおこの節に書いてある「二つの海」について、井筒俊彦は「地中海と印度洋のことだと古い注解では書いてあるが、実はまったく伝説的な場所である」との註を付記している。

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( 翻訳者:佐藤成実 )
( 記事ID:13579 )