特集:カイロの病院で治療を受けるパレスチナ人患者の声
2008年04月14日付 Al-Ahram 紙

■ カイロ中心部からパレスチナ人患者の声
■ ナーセル医院でガザ出身の患者135人が治療

2008年04月14日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP特集記事

【ジーハーン・アブドゥッサラーム・アワド】

 エジプト国民とパレスチナ国民の友好関係は、困難な状態においてこそ真価を発揮する。イスラエルがガザ地区への封鎖を強化し、住民を爆撃した際、ナーセル医院その他の大きな医療センターで治療を受けようと、何十人もの患者がカイロに流入し、エジプト人道救援組織がパレスチナ人患者の必要に応じた物資を急ぎ無償で提供したのだ。我々は寄付を分配する現場に立会い、ラファハ国境を開放して温かくもてなしてくれたエジプト国民とムバーラク大統領への感謝を示すパレスチナ同胞たちの声を取材した。

 病院にいる負傷者の中で最年少である7歳のアブドゥッラー・カマール・マアルーフの祖父は、カイロにやって来た時の状況について、「とてもやっかいだった。この子の父親は脚に負った重傷を治療するためガザにある病院の一つに入院している。そのため孫を連れて、カイロまで来ざるを得なかったんだ」と語った。そしてマアルーフさんは、「孫はあごに破片で傷を負ったため、細かい手術が必要な状態だった。そんな中、先月ラファハの国境が開放されたので、私たちは十分なお金も服も持たないまま、パレスチナ当局の救急車でカイロに急いで向かった。ナーセル医院で治療を受けさせるために」と続けた。

 一方、10歳のムハンマド・ラーミーの父親は、自分の息子が外科手術を受けて手術室から無事に出てくると、神に感謝の祈りをささげた。また寛大にもてなし、必要な人間にはみな無料で治療を提供してくれたことに対して、エジプトに感謝の意を表した。

 19歳のラーミー・ヒラールは「カイロには母と兄と一緒に来たんだ。兄は僕に腎臓を提供することを決意してくれた。僕には腎不全と高血圧、それに心筋肥大の症状があるんだ」と語った。彼は近いうちに腎臓移植を受けることになっており、現在は検査を受けているという。

 その隣の病室には33歳のアシュラフ・ラフィークのおばが、ひどく不安げに手術室から甥が出て来るのを待っていた。彼女は彼の傷について、「アシュラフは腹に弾丸を負い、8時間もかかる細かい手術が必要です。彼は同伴者なしにガザから来たので、夫と一緒に数ヶ月前からカイロに住んでいる私が世話をしているのです」と答えた。
(中略)

 病院によると先月には一週間に130人ものパレスチナ人重症患者を受け入れて手術を行い、今も病院に残っているのは32人だという。ムバーラク大統領の命令でラファハ通行所が開かれるとすぐに緊急チームが国境に向かい、診察を行って、それぞれの怪我に応じてエジプト各地の病院に患者を割り振ったのだ。治療後の段階について病院側は、「患者たちは治療を継続し完了させるために次回カイロに戻ってくる日程を記載した手紙を持ってガザに帰っていく。癌と腎不全の患者についてはパレスチナ当局がカイロに彼らのための住居を用意し、化学療法や腎臓透析の期日に通院することになる」と説明した。

 エジプト人道救援・再建組織の実施部長であるヒマーム・ラーシーン氏は、同組織がナーセル医院のパレスチナ人患者たちの要望を調査した後に、車椅子や杖、衣服からラジオ、負傷した子ども達のおもちゃなどを数多く提供していると語った。

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( 翻訳者:小林洋子 )
( 記事ID:13608 )