イラク情勢サドル派と政府の対立、アイマン・ザワーヒリーのメッセージ
2008年04月19日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ ザワーヒリー:「イランは南イラクを掌握しようとしている」
■ イラク・英合同軍、バスラのサドル派事務所を包囲
2008年04月19日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【バグダード:ハーニー・アーシュール(本紙)】
イラク・英合同軍は、南部でサドル派事務所を包囲し所内にいる者にその政府への引渡しを要請している。サドル派指導部は、(バグダードの)サドルシティは未だに封鎖され連日攻撃を受けている事を明らかにした。
イラク国会内サドル派のリーダー、ナッサール・アル=ラビーイーは、政府によるサドルシティの封鎖解除決定は形だけで今に至るまで実施されてはいない、封鎖の影響で住民は苦しんでおり、米軍が市民を攻撃するため内部の状況は悲劇的であると述べた。
また、バスラのサドル派事務所責任者アル=アザーリーによれば、英軍の支援を受けたイラク国軍部隊により、サドル派が4年以上にわたり礼拝を行ってきた場所で金曜礼拝を行うのを妨げられた。事務所も同部隊により包囲され48時間以内の撤収を要請されているが、彼らはサドル師の指示を待っているところである。
一方、治安関係筋によれば、各政党や政治運動を行う団体個人により使用されていた政府関連施設を30日間無人とせよというのは首相命令であり、サドル派事務所だけではなく全国で適用されるものである。彼らはこの措置を、イスラム最高評議会支部とそのテレビ局「アル=ナヒール(ナツメヤシ)」が使用していたホールから開始し、ダアワ党が使用していた古い県庁ビルや、「神の報復」党が使用していた交通局ビルに対しても行っている。同筋は、サドル派が金曜礼拝を行おうとした広場は国有地であるため、この措置が適用されると述べた。
3月最終週、政府がバスラ県の「無法な犯罪者集団」を標的として実施した「騎兵隊の襲来」作戦に続いて、バスラ市で政府治安軍とマフディ軍の戦闘が発生した。現在、国軍は容疑者追跡のための家宅捜査を行っているが、それに伴いバスラ各地で散発的な戦闘が起きている。
他方、アル=カーイダのナンバー2アイマン・アル=ザワーヒリーは、合衆国によるイラク侵攻5周年を機にイスラム系サイトで公開されたボイスメッセージ中、ワシントンの戦争は挫折と敗北しかもたらさなかったと述べた。また、この夏米軍の部分撤退を行うというブッシュ大統領の決定につき、大統領は敗北を認めることを恐れ後任に問題解決を委ねようとしていると批判した。
イランに関し、ザワーヒリーは、シーア派コミュニティのある地域を通じ、ヒズブッラーという同盟者のいるレバノンに至るまでその影響力を伸ばそうとしていると警告、合衆国は安易にイランと合意を結ぶべきではないと述べた。ザワーヒリーの発言によれば、イラク南部と北西メソポタミアを掌握し南レバノンと繋ごうとするイランの目的は明白であり、アメリカが、中東における自身の覇権と引き換えにイランの目的を満足させようとすれば、火に油を注ぐ結果となり中東の諸問題は即座に爆発する。
また、シーア派指導者ムクタダー・アル=サドルについてザワーヒリーは、政治プロセスに参加したり脱退したり、マフディ軍の活動を凍結するかと思えばそれを先延ばしにする等、数々のジェスチャアを示す事により世の笑いものになった、占領軍に抵抗を決しつつ武器を引き渡したり、あるいは反占領デモを計画したりする優柔不断な若者であるが故に、イラン諜報機関に利用されていると評した。
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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:13619 )