ヨルダン・サルト市の市民代表がマンサフの手づかみを禁止、時代に合わない華美な伝統的慣行の廃止を求める
2008年04月14日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ ヨルダンでマンサフを手で食べる習慣を禁止
■ 新郎新婦への祝い金(ヌクート)は廃止、埋葬時に墓で参列者と接吻を交わすこと、病人への見舞いも禁止
■ サルト市で指導層や諸部族長が論議を呼ぶ内容の住民憲章を公表、最近の困難な経済状況を反映
2008年04月14日付クドゥスアラビー紙(イギリス)HP1面
【アンマン:本紙】
マンサフ〔ヨーグルト煮込みの羊肉を載せた米料理〕やいくつかの社会的慣行が民衆の重荷になっているとして、ヨルダンの首都アンマンの西に位置するサルト市では、市民代表たちが新たな憲章を公表し、同市の住民に対して根拠のない、または行わずに済ますことのできる慣行の多くを覆すよう求めた。これは物価高騰による経済的困難に対応した措置と思われる。
サルト市は市民主導型の運営と、その地の部族が現代的な見解を有していることで知られており、同市の部族活動家たちは数年前にも良く知られた憲章を発行して、婚礼や祝宴での発砲禁止と、婚約や婚姻時の過剰で経済的負担の大きい見栄の張り合いを禁止していた。
この重要な変革を指揮した同市の名士であり愛国の士でもある、サルト市開発機構代表アル=アイン・マルワーン・アル=ハンムード氏はこう語る。「新しい憲章は、市民を経済的に疲弊させ、時代の精神にも合わない否定的な伝統のシステム全体を、思想的にも実践的にも転覆するための土台となるような詳細な観点を特徴とする。その目的は同胞愛、慈悲、連帯、経済不況の打開、抗争からの解放といった価値観の新しいビジョンに向かって進歩していくことにある」。
『ミラーヤー』紙の電子版で公開された、論議を呼びそうな内容のこの憲章の項目は、サルト市民や同市で活動する人々にサルトの慣習やサフジャ〔人々が二手に分かれて言葉の応酬をする婚礼時の行事〕、ダブカ〔祝いの踊り〕、ザッファ〔結婚祝いのパレード〕といった古くから伝わる結婚儀礼の復興と、花婿をハンマーム〔浴場〕に入れる習慣の維持をうたう一方、祝い事で出されるマンサフの数を最大10皿に制限し、しかも大皿に直接手を伸ばすのではなく、小皿に取り分けて供することを定めた。これは1世紀近い歴史を持つ最も有名なヨルダンの大衆料理、マンサフの食べ方を変えようというあからさまに大胆な試みだ。
また花嫁の身につけさせる金の装飾は上限2000ディナールとし、シャブカ〔婚約時に花婿側から贈られる宝飾品〕とマフル〔婚姻契約に際し花婿側が支払うべき婚資〕を兼ね備えたものとみなすこと、また嫁入り道具は1000ディナールを超えないこととし、花嫁の家族も新居に必要な家財等を一部負担することを定めている。さらに拡声器の使用を全面的に廃止し、車列を連ねたパレードやクラクション、発砲、爆発物の使用、集団結婚の奨励、煙草やタムル〔干したナツメヤシの実〕を配る習慣を廃止し、ホテルで祝宴を開くことを避けるよう要請している。
(後略)
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( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:13667 )