Fikret Bila コラム:駐土大使に見る米政府の対トルコ姿勢
2008年05月11日付 Milliyet 紙

アメリカのロス・ウィルソン駐土大使は、昨日内容をお伝えした記者会見で、とてもよく練られた方法でアメリカ政府のトルコに関する姿勢を映して見せた。
ウィルソンは、民主主義、世俗主義、穏健イスラーム、それにクルド労働者党(PKK)の問題について、本国の方針を伝える一方、トルコ世論に存在するいくつかの「疑念」の払拭に向けた発表を行った。

■穏健イスラームプロジェクト

ウィルソンは、公式な発言として、アメリカには「穏健イスラーム」というようなプロジェクトがないことを繰り返し強調した。この問題についてトルコ世論は、大中東プロジェクトが公になって以来このような疑念を抱いていた。アメリカが「穏健イスラーム」プロジェクトによってトルコを新しい秩序に向かわせたがっている潮流に「支持」を与えている印象があった。
ロス・ウィルソン大使は、この印象の誤りについて触れ、穏健イスラームの概念を好んで用いたり、利用してはいないと述べる一方、アメリカでこの概念を利用している人々の狙いも説明した。
ウィルソンは、この言葉を用いている者たちが宗教原理主義を標榜する組織(アル・カーイダのような)との違いを説明するための手っ取り早い方法として好んで使う傾向があると述べた。
ウィルソンは、アメリカには「穏健イスラーム」プロジェクトがないというメッセージを補強する目的で、「民主的で世俗的なトルコを」支持するとも述べた。
ウィルソンの返答に鑑みて、次のように言うことができよう:アメリカは「穏健イスラーム」という言葉から縁遠くなっているように見える。

■PKK問題

アメリカについてトルコ世論で形勢された否定的な判断の最も大きな理由の1つは疑いなくPKK問題である。アメリカがトルコがPKKとの戦いに必要な支援をせず、さらに時にPKKを手助けしているという向きでの根強い印象があった。
ロス・ウィルソン大使は、この問題に関する私の質問に答える一方で、この印象を変えるための発言をした。
PKKが北イラクで自由に行動できることを防ぐため、イラク政府ならびに北イラクのクルド政府と継続的に交渉していることと、トルコとの間で情報収集活動の相互支援を続けていくことを強調しながら説明した。
テロとの武器を用いた闘いが続く一方で、他方ではテロ組織が生き延びる環境をなくすことに向けた処置に関しても述べた。ウィルソンは、組織が支援者を見つける環境の排除は、ただ経済発展と、テロリストと幅広い市民層とを別々に理解し、取り扱うことによってのみ可能となろうと述べた。
アメリカがトルコ国軍の空からの軍事作戦のためにイラクの領空を開放することや、バルザーニのトルコへの接近に向けた新しい発言は、ウィルソンの述べたアメリカのポジションと重なり合う。
アメリカがトルコのためにとても重要なこれらの問題において発言や態度を明確化させることは、注意に値する展開である。
ワシントンのこのポジションは、トルコのテロ対策に肯定的な面で影響を与える重要性を持っている。最新の展開を見ながら、アメリカのこの態度の影響がゆっくりと見えてくると言うことも可能だ。

休暇のお知らせ:年次休暇の一部を使うためコラムをしばらくお休みします。休暇後にまたお会いしましょう...

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:13789 )