スペイン当局、モロッコ移民地区の住居解体を再開
2008年04月28日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ マドリード当局が「不法居住」だとして住居の解体作業を再開
■ 在留モロッコ人に不安が広まる

2008年04月28日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HPアラブ国際面

【マドリード:フセイン・マジドゥービー本紙記者】

スペインの首都マドリードの行政当局が主に移民が所有する数十件の住居を解体すると決定したことを受け、マドリード郊外に住む在留モロッコ人の間に恐怖と不安が再び広がっている。解体作業は月曜にも再開される可能性があり、以前と同じような衝突が起きかねない。スペインのモロッコ移民が直面する様々な問題にこの問題がさらに加わることになろう。

カニャダ・レアル地区は首都マドリードの郊外に位置し、4万人近くのスペイン人、モロッコ人その他の国籍の移民が住む。ここは最近の数年間に発展したスラム地区で、自治体の都市計画無しに建設や売買が行われていた一方、自治体からの反対はなく、住民は税を支払い、行政区画も整備され、通りには住所が割り当てられて住居番号まで付いていた。そのため同地区での居住は半ば合法の様相を呈していた。ところが自治体はその政策を見直し、法律違反という名目で住居の多くを解体するため、司法の許可を得ようと裁判所に提訴したのだ。

解体作業は数ヶ月前にも行われたが、基本的にモロッコ人を狙っていたため、住民と解体部隊との危険な衝突へと発展した。その後の数ヶ月間は平穏だったが、住民との衝突を避けるため、今度は抜き打ちでブルドーザーが解体作業に戻ってきた。ここ数日、裁判所から解体の期日を知らせる退去警告が多くの人たちのもとへ届いたことから断続的なデモが起きており、今のところは先週いくつかの限定的な衝突が起きたに留まっているが、今日は最悪の事態に発展するかもしれない。

『エル・パイス(El Pays)』紙は昨日日曜、アリーという名のモロッコ移民の発言を報じた。「私は土地の一区画を購入し、24万ユーロかけて大きな家を建てたが、自治体は建設が違法だとは知らせてこなかった。今や家は壊され、私はどこへ行けばいいのかわからない。一時的に娘の家に身を寄せているが、私が失ったものを一体誰が補償してくれるのか」。

モロッコ当局は以前この問題に関してスペイン当局との対話を試みると約束し、昨年10月に解体作業が行われた際にはそれを「危険な人種差別的行為」だとモロッコ議会で批判しさえしていた。しかしこの反発も一時的なもので、去年11月5日と6日にスペインのフアン・カルロス国王がスペインの占領下にあるセウタとメリリャを訪問したことに対してモロッコ政府が行ったキャンペーンの一環にすぎなかった。

居住や住居の獲得はモロッコ移民が直面している最大の課題の一つであると言われ、一方で不動産の価格上昇、また一方ではスペイン人が移民に住居を貸し渋るという事情がある。多くの移民が平均的な住居を手に入れようと懸命だが、スペインで進みつつある危機の影響が及び始めたことで、一部のモロッコ移民が失業や、それに伴って毎月のローンの支払いが出来なくなる状況に苦しみ、不動産を手放すことにも繋がっている。『ピリオディコ・デ・カタルーニャ』紙は先週、毎月のローンを遣り繰りできなくなり、手に入れた住居を失ったモロッコ人やパキスタン人らの事例を多く取り上げた。

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( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:13808 )