インフレを生むマネーの幻想(その1)
2008年05月20日付 E'temad-e Melli 紙

■ 国内の通貨供給量、バフマン月末〔2月19日〕までに156兆6160億トマーン〔約17兆7972億円〕に

【経済部】「現在のインフレの約80%は通貨供給量が原因である」。この発言はイラン・イスラーム共和国中央銀行経済担当副総裁ラーミーン・パーシャーイーファーム氏がメフル通信との会見の中で述べたものである。彼はイランの現在のインフレのうちほんの17%が、世界的な物価〔上昇〕に起因するものだと考えている。

 通貨供給量がインフレに対して多大な影響を与えていることは、否定できない事実である。経済の専門家たちは以前にも、幾度となく国内通貨供給量の急激な増加率について警告していた。これらの警告は特に、イランの経済専門家から第9期政権アフマディーネジャード大統領に向けて出された複数の公開書簡の中で発せられてきたが、第9期政権関係者、中でもアフマディーネジャード大統領は、現在のインフレの大部分は自らの財政政策によるものではなく、外国の経済制裁や議会及び批判者らの妨害によるものであるとして、責任転嫁を繰り返してきた。

 このような責任転嫁は、アーヤトッラー・マフダヴィー=キャニー師が「政府は責任転嫁して、問題の責任を他人に負わせてはならない」と声明を出すほどである。

 パーシャーイーファーム経済担当中央銀行副総裁はメフル通信との会見で、イラン暦1386年〔西暦2007年度〕における国内インフレ率の平均は18.4%であったと発表し、「また、昨年最初と最後の月の月間のインフレ率はそれぞれ、12%と22%であった」と説明した。彼はまた、イラン暦1386年バフマン月末〔2008年2月19日〕の国内通貨供給量は約156兆6160億トマーン〔約17兆7972億円〕であったと発表した。

 当然、中央銀行が発表するインフレ率には国による公的な発表という側面があり、国会調査センター等の機関は実際のインフレ率を公式の数値よりも高いと見ている。その一方で第9期政権は昨年、インフレ測定モデルに手を加え、インフレ率を実際より低く見せようとした。

 国内で生じた通貨供給量〔の増大〕は、国の製造業部門に不利に働き、資金はブローカー業・仲介業等の経済部門へと流れていった。このような問題は国内生産が伸び悩む原因となり、国内生産のレベルが上がらないために、イラン市場に供給される生産物や商品の価格が破壊的な上昇気流に乗る要因となっていったのである。

 現在の通貨供給量〔の増大〕の最も重要な原因は、政府の拡大主義的な財政政策と、石油収入の全てを消費せんとする第9期政権の欲望に帰着する。第4次発展計画法(イラン暦1384年~1388年〔西暦2005~2009年度〕)は政府支出の上限について見通しを立てており、体制側も政府の規模を縮小することで国の財源の無駄を省くことに同意しているが、第9期政権はこの法律の遵守を怠り、議員の大部分が原理主義者である第7期国会も、政府による拡大主義的かつインフレ促進的な政策を支持している。

 この拡大主義的な財政政策の影響がイランの国と人民に降りかかったときに第9期政権が試みたことこそ、あまり適切とは言えないようなやり方で他者や外部の要因が〔インフレの〕犯人であるかのように見せかけることだったのである。

つづく‥‥


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( 翻訳者:佐藤成実 )
( 記事ID:13888 )