インフレを生むマネーの幻想(その3)
2008年05月20日付 E'temad-e Melli 紙

インフレを生むマネーの幻想(その2)」を読む

 代議士であり、大学教授でもあるアーデル・アーザル氏は、石油収入をすべて消費しつくす政府の拡大主義政策がもたらす結果について、「第9期政権はさまざまな公約を提示し、その達成のために短期的計画に基づいた視点から、銀行の国内資産を無節操に取り崩そうとしている」と指摘する。

 同氏はさらに、「政府の経済計画には長期的展望がなく、あるのは経済への短期的な視点のみである。世界において常識となっている経済政策の手法に全く依拠していない」と付け加える。

 中央銀行は過去数週間、通貨・金融状況の秩序化を目指して、独自の監視対策を提起してきたが、しかしこのような監視対策がこれまで実施に移された様子は見られない。そのため、社会を漂流する通貨が〔過大に〕供給されている現在の状況が今後いかなる悪しき結果を社会に強いることになるのか、先の見通せない状態が続いている。

 いずれにせよ、アーデル・アーザル氏は1387年度(2007年年度)予算の構造、その他の諸要因により、今年のインフレ率は少なくとも25%に達するだろうとの見方を示している。

 ここで考えなくてはならないのは、アフマディーネジャード大統領がイランのインフレの一部は〔世界市場における〕インフレに起因しているとしていることである。しかし、国内のインフレを抑えるために、生活必需品・非必需品を問わず商品の大規模な輸入に頼っているのは、政府に他ならない。我々は、アフマディーネジャード大統領が国会で輸入のための予算として12億ドルを計上する法案を可決させようとしてきたことを今後も忘れることはないだろう。

 しかし問題はここで終わらない。というのも、アフマド・タバコッリー議員が最近、「海外からの商品の輸入は2.5~3%ほどしかイランのインフレ率に影響を及ぼしていない」と指摘しているからである。

 同氏は続けて、「国の拡大主義的な財政・金融政策とシステムの腐敗・非効率性がインフレの重要な国内要因の一つである」と述べている。

 第9期政権の任期48ヶ月間のうち、すでに34ヶ月が過ぎたが、これまでアフマディーネジャード大統領は国の第一の行政責任者として、政府の拡大主義政策がインフレ上昇の根本的な要因であることを認めていない。その一方で、イラン経済及び国民の生活状況の改善に希望を見出すこともできない状況だ。なぜなら、第9期政権、とくに大統領は政府の拡大政策、なかでも開発予算と流動支出のための予算の増加(たとえそれが善意によるもの、建設的な意図によるものであったとしても)がイラン経済を悪化させているとの認識にいまだ至っていないからだ。

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( 翻訳者:弘原海みどり )
( 記事ID:13970 )