トルコは、北イラク地域クルド政府含むイラクの全勢力と折衝することを認めた国家安全保障評議会(MGK)の決定をうけ、北イラク地域クルド政府との間で二者間の多角的な関係発展を進めている。
アンカラとアルビルに首都をおく北イラク地域クルド政府との間で関係発展を目的に行われた一連の会談を受けて、経済面でも重要な決定が行われた。安全面の問題から、今日まで不定期にチャーター便としてのみ運行されていたイスタンブル-北イラク間の空路が、定期便として運行されることが決まった。民間航空会社のアトラスジェット社は、6月29日を皮切りにイスタンブル-アルビル線の運行を開始する。まず週5日の割合で運行し、いずれ週6日へと便数を増加させる予定である。この就航を機に発着地も変更される。これまで(イスタンブルのアナトリア側にある)サビハ・ギョクチェン空港から出発していたが、今回からアタテュルク空港から運行される。更に、イスタンブル-アルビル線は、空港だけでなく飛行機も切り替えられる。これまではマクダネル・ダグラス社製の飛行機が使われていたが、今後は、製造されてから平均2年の新しい機体にかえられる。
セキュリティーや飛行上の安全、運賃の未払いといった理由から何度も就航が中止されたイスタンブル-アルビル線が、ついに毎週月曜から木曜、そして日曜の5日間運行されることになった。アトラスジェット航空は、製造後まだ平均2年のCRJ900とエアバス319タイプの飛行機による運行で、一月当たり約3千人の乗客の搭乗を見込んでいる。旅行者は、飛行機のチケットをインターネット、もしくは電話で購入することができ、またイスタンブルから国内外へ向かう便への乗り換えも利用することができる。同社は、2007年から現在まで、定期便の就航に向けた諸手続きの完了を待ち望んでいた。所要時間2時間半のイスタンブル-アルビル線の運行は、航空会社に一週間当たり約15万ドルの利益をもたらしている。温かい料理の提供が無い便はその分利益が多いため、特にチャーター便会社が運行を続けてきた。
チャーター便会社が積極的に乗り出したイスタンブル-アルビル線は、1995年フライエアー社により運行が開始された。外務省の許可を得て就航したこの路線は、1995年8月、イスタンブルからイラク北部のスレイマニイェまで初めての飛行を実現化した。
■国家安全保障評議会の決定は、ターニングポイントとなった。
国家安全保障評議会は、先ごろ「イラクの全ての勢力との関係発展」に関して政府へ提言を行い、その結果、北イラク地域クルド政府との高官レベルでの折衝に関し、軍部と民間の対立に終止符が打たれた。首相府首席顧問アフメト・ダヴトオール教授が率いるトルコ代表団は、5月にバグダッドへと向かった。同委員会は、そこでジャラール・タラバーニー大統領とヌーリー・アル・マーリキー首相と会談する一方、北イラク地域クルド政府のネチルバン・バルザーニ首相とも会談を行った。この会談は、イラク占領後、アンカラと北イラク地域クルド政府との間で行われた高官レベルの初の公式な交渉となった。会談では、トルコがあらゆる分野で関係を発展させる意向であることが提示された。クルド政府を代表としてその時この会談を評価したクルド政府ネチルバン・バルザーニ首相は、この話し合いを「会談10回分の価値があった」という言葉で賞賛した。
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( 翻訳者:指宿美穂 )
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