ぞっとするような首相府の報告書:名誉殺人が年々増加している。最も名誉殺人が多いのは、イスタンブル、アンカラ、イズミルである。殺人犯たちは、刑務所で英雄のように迎えられ、後悔はしていない。
首相府人権庁により作成された「名誉殺人報告書」からぞっとする結果が明らかになった。この分野で最も広範囲を対象としているこの報告書によると、イスタンブルだけで毎週、少なくとも1人は名誉殺人の犠牲になっている。過去5年間で「名誉」のために犯された殺人事件の件数は1000件を超えた。殺人犯たちは、刑務所で英雄のように迎えられ、後悔している様子はない。
「名誉殺人報告書」は、18日にスイスホテルで開かれた「女性と参加:問題と解決策」という題目の会議で、首相府の人権庁のタフシン・フェンドウル長官により公表された。この会議には国務大臣であるジェミル・チチェキ氏とニメト・チュブクチュ氏も参加した。
トルコで犯されている名誉殺人についての実態をまとめた報告書は、71の県庁により3ヵ月の期間をかけて作成された。アダナ、ビトゥリス、エスキシェヒル、ハッキャーリ、ウスパルタ、カフラマンマラシュ、キュタフヤ、ニーデ、シュルナクから調査結果は得られなかった。
■47%増
報告書よると、2002年には150件だった名誉殺人が、2007年には220件に増加した。事件の犯人と被害者の教育レベルが低くなれば低くなるほど、件数は増える。名誉殺人では、女性だけではなく、男性も被害者になる。殺人の9%は子供たちによるもので、容疑者の多くは19歳から35歳までの人々である。殺人犯は刑務所で英雄のように迎えられ、犯した罪を後悔している様子はない。
■殺人の動機は「名誉」
この調査では、殺人の根本に「名誉」という概念があると指摘している。報告書では次のように述べられている。
女性が家父長制度という社会構造の中にいるということが、名誉殺人の根本にある主要要因であると考えられている。直接「名誉」のために犯された殺人の数は300件を超えている。これは、全件数の30%に当たる」
調査によると、不適切と禁じられている男女関係が理由で殺された女性の数は94人、性的嫌がらせが理由で殺された女性は71人、強姦が理由で殺された女性は17人である。その他の殺人理由には、家族間等の血の復讐、娘の嫁入りを原因とするもの、そして家族内でのもめ事もある。
■上位は大都市をかかえる3県
報告書よると、名誉殺人が起こった場所の筆頭には、大都市をかかえる県が数えられている。過去5年間に、イスタンブルでは167件、アンカラでは144件、イズミルでは121件の名誉殺人が起こっている。これらにディヤルバクル69件、ブルサ58件、アンタリヤ46件、アイドゥン38件、カイセリ34件、サムスン32 件、サカリヤ30件が続いている。殺人の主に東部及び南東部出身者によるものである。名誉殺人が起こっている県では大量に移住者を受け入れていることが殺人件数を高めている。
■イスタンブルで急増
報告書では以下の情報が掲載されている。
「イスタンブルに関して特筆に値する重要な点は、2007年の名誉殺人件数が前年(2006年)の約2倍に膨れ上がっていることである。2006年には 27件であったが、2007年には53件に増えた。これは別の言い方をすれば、イスタンブルでは毎週少なくとも1人が名誉殺人の犠牲者となっていることを示しており、注目すべきことである」
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( 翻訳者:田辺朋子 )
( 記事ID:14110 )