イラク:日本出資の発電所プロジェクト、完成遅れる
2008年06月21日付 al-Sabah al-Jadid 紙
■ 電力相、サマーワの発電所に関し日本政府を批判
2008年06月21日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面
【アル=ムサンナー:イラクの声通信】
金曜(20日)、電力相は、日本が出資したサマーワの発電所プロジェクトにつき日本政府が事業を監督していないとして批判、95%まで完成している同発電所を稼動させるために日本の技術者の立会いを呼びかけた。
金曜、ムサンナー県を訪問したカリーム・ワヒード電力相は、発電所を速やかに理想的な形で完成させるため日本側を押す必要がある、プロジェクトは既に、最後の仕上げを行う日本人技術者を必要とする段階に入っていると述べた。
2005年5月半ば、日本政府はサマーワ市の発電所(60メガワット、総工費1億1800万米ドル)建設への出資に合意し、2006年上半期に事業が開始された。ムサンナーから撤退する前の日本側の表明によれば、プロジェクトは実施に2年を要し2007年11月には完成が見込まれていた。
プロジェクトフォローアップのためムサンナー県を訪問した電力相は次のように述べた。
「プロジェクトは発電部門で幾つかの技術的問題を抱えており、日本側は衛星通信と電子メールを通じ遠距離からの監督を行っているとしているが、これは事実とは異なる」
「プロジェクトは95%が完成しており、そのため自分は、より大きくプロジェクトを支持する気になった。一両日中に駐イラク日本大使と会見し、この件を公式に話し合うつもりである」
ムサンナー県知事アフマド・マルズーク・アッサラールは、発電所問題において日本側に怠慢な姿勢が見られるという点につき、電力相と見解が一致したとして、次のように述べた。
「我々はこの夏中には日本の発電所が稼動し始めると期待していたが、それは実現しそうに無い。日本側は、イラク国民、特にムサンナー市民の感情を軽んじていると思われる」
「ムサンナー県電力部門開発のための二年計画につき、電力相と合意した。合計120メガワットを産する大規模発電機8基を購入設置する計画と、ガスで稼動する40メガワットの発電所を建設する計画がこれに含まれる」
また同知事は、ムサンナー県の電力部門監督のための特別委員会の形成を電力省に求め、次のように述べた。
「幾つかの県は規定の供給電力を超過しており、その分ムサンナーが割を食う。石油省とは、政府電力事業を継続するに必要な分だけムサンナーの石油割当を増加することで合意している」
「サマーワで建設中の発電所は、ムサンナー県への1億1800万米ドル相当の無償援助として日本が出資したもので、2003年以降の日本のプロジェクトとしては最大規模である」
昨年11月に完成しているはずの発電所建設に現在生じている遅延を背景として、先週、ムサンナー県当局は、プロジェクトを実施しているアル=ラーフィド社の経営者をプロジェクトに関係した汚職の疑いで拘留した。3日後、同人は、この6月中に発電所を稼動させるとの誓約に署名した後釈放された。
この記事の原文はこちら
( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:14129 )