被抑圧者財団、石油販売分野に進出へ:国営石油会社と石油販売で業務提携
2008年06月24日付 E'temad-e Melli 紙
【レイハーネ・マザーヘリー】第9期政権発足により、石油産業は他のどの分野よりも大きな変化を経験してきた。アフマディーネジャードが大統領に就任するや、この政権はあらゆる産業分野の自立と自給自足をモットーとし、それに基づいて、政府にとって最も重要な省庁とみなされてきた石油省から「石油マフィア」を一掃するためとして、《ハータモル・アンビヤー》部隊〔※1〕を国の石油関連プロジェクトに取り込み、同産業における重要な計画の多くをこの企業に委託したのであった。
とはいえ、過去3年の間、《ハータム》部隊の活動からはこれといった実績は全く見られなかった。にもかかわらず今度はなんと、国の傘下にあり、革命後も豊かな収益を誇ってきたもう一つの公共事業体である《被抑圧者財団》〔※2〕が石油販売部門に進出することが、国営石油公社の代表取締役から発表された。なお、被抑圧者財団はこれまでつねに《政府系部門》という範疇に入っていたが、〔今回は〕《民間部門》の名で呼ばれている。
これまで肯定的な実績をあげたことがないまま〔2008年3月に〕国営石油公社の代表取締役に就任した同社のジャシンサーズ代表取締役は、政府系諸通信社に対しこのように発表した上で、「現在、《民間部門》として世界市場における原油や石油製品、石油化学製品の販売分野に参入することができるのは、《イスラーム革命被抑圧者財団》をおいて他にはない」と語った。
イラン国営石油公社代表取締役のセイフォッラー・ジャシンサーズは、石油・ガス分野で同社と被抑圧者財団との間で交わされた覚書の署名式典でこのように語った上で、さらに次のように述べた。「石油や石油製品、石油化学製品の販売、さらには石油スワップ取引のためには、我々はこれらの分野が石油〔関連部門の〕独占下にあってはならないという結論に達した」。
同代表は、この覚書の実現へ向けた枠組みや12項目からなるその詳細については今後明らかになるだろうと強調した上で、さらに「概して今回の覚書によれば、被抑圧者財団は〔石油開発の〕上流部門や施設の建造、〔石油製品の〕製品化、〔油田の〕地震探査、油井調査、〔油田の〕発掘、及び関連サービスに参加することも可能だ」と付け加えた。
同代表によると、巨額の資金を要する諸々のプロジェクトを被抑圧者財団に委託するには、予算上の上限が明確化されているが、石油取引などその他のプロジェクトには一切制限は設けられていないとのことである。さらに今回の覚書によれば、一部のプロジェクトには入札を行わずに、通常の手続きを無視する形で財団に委託される見込みだという。
なお、第9期政権発足以来、これまで複数のプロジェクトが通常の手続きを無視する形で《ハータム》部隊に委託されてきた。
〔後略〕
※訳注1:《ハータモル・アンビヤー》部隊は復興・建設・兵站作業などを行う革命防衛隊の一部隊。2006年頃から石油開発にも乗り出し、軍による経済分野への進出を象徴する出来事として注目された。《ハータモル・アンビヤー》とは預言者ムハンマドが神の最後の預言者であることを指す「預言者の封印」の意。
※訳注2:被抑圧者財団は、革命前のパフラヴィー財団などの資産を接収して巨大化した、イラン随一の複合企業で、従業員数は20万人を超えるといわれている。ホテル経営から自動車部品工場まで、様々な分野に進出している。同財団の総裁は現在、革命防衛隊の元将校が務めている。
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( 翻訳者:佐藤成実 )
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