イラン・エジプト関係に暗雲:ドキュメンタリー映画「ファラオ暗殺」がきっかけ
2008年07月09日付 E'temad-e Melli 紙
【政治部】エジプトのアンワル・サーダート元大統領の暗殺をめぐり、あるイラン人映画監督が制作したドキュメンタリー映画が、テヘラン=カイロ間の政治に新たな危機を引き起こしている。
これまで両国関係の公式な再開をめぐり、エジプト側はテヘランのある通りの名が「ハーレド・イスラームブーリー通り」と名付けられていることを問題視してきた。ハーレド・イスラームブーリーとは、アンワル・サーダート元大統領の暗殺者の名前である。
エジプト外務省は、サーダート元大統領暗殺をテーマとしたイラン制作のドキュメンタリー映画「ファラオ暗殺」に抗議するため、在カイロ・イラン利益代表部の責任者であるホセイン・ラジャビー氏を召喚した。
AFPが匿名を希望するエジプト外務省高官の言葉を引用して報じたところによると、エジプト外務省アジア問題担当次官ターミル・ハリール氏は月曜日、ドキュメンタリー映画「ファラオ暗殺」に対するエジプト政府の抗議の意志を伝えるために、在カイロ・イラン利益代表部の責任者を召喚した。
ISNA(イラン学生通信)の報道によると、この高官はハリール氏の発言として、この映画は「二国間関係を損なう」ものであり、イランはエジプトが敏感に感じている問題を全く理解していないということを示していると語り、次のように続けた。「この映画は、エジプト・イラン間関係の前向きな変化に対して、悪影響を及ぼすことになるだろう」。
エジプト・イラン関係は、1980年エジプトがイスラエル(シオニスト体制)を正式に承認したことや、廃位されたシャーを同国に受け入れたこと、さらにはイラン・イラク戦争でイラク側を支持したことを理由に、イランがエジプト政府に抗議して以降、断絶状態にある。それ以後、エジプトとイランは互いの首都に利益代表部を置くのみとなっている。
日曜日あるエジプトの新聞は、アンワル・サーダート氏の家族が、イランのテレビで放映されたドキュメンタリー映画「ファラオ暗殺」を制作したイラン人映画プロデューサーらに対し、法的措置を検討中であると報じた。
アル・ミスルル・ヤウム紙の報道によると、この映画の制作者らは事件を、「殉教者ハーレド・イスラームブーリーによる、裏切り者エジプト大統領に対する革命的な暗殺」と描写しているという。
イスラームブーリーは1981年10月6日カイロでの軍事パレードにおいて、アンワル・サーダート元大統領を暗殺した兵士の一人である。彼は1982年絞首刑に処され、それを受けてテヘラン市は彼を記念して、ある通りに「ハーレド・イスラームブーリー通り」と名付けた。
サーダートの娘ロキーヤさんは「この映画の制作者は、前もって私たち家族の了承を得るべきだったわ」と語り、こう付け加えた。「このような中傷には相応の対応が取られることになるでしょうね」。
この映画は、サーダート暗殺は1978年のキャンプ・デイヴィッド合意とそれに続く1979年のイスラエルとの和平合意が原因であったとしている
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( 翻訳者:阿部文美 )
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