イスラエル世論調査:カディマ党党首後継でリブニ外相優勢、ただし首相就任は困難か
2008年08月02日付 Al-Nahar 紙

■ リブニ外相、オルメルト首相の後継者争いでモファズ運輸相をリードするも、疑問視する声もあり首相への道は多難

2008年08月02日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【AFP、ロイター、中東通信社(MENA)】

 イスラエルのエフード・オルメルト首相の後継として、ツィピ・リブニ外相がカディマ党党首の座をかけた争いでは明白な差をつけてリードしていることが昨日世論調査で明らかになったが、リブニ外相が連立政権を樹立して首相に就任できるかどうかについては、関係者も疑問視している。

 イスラエルの主要各紙が発表した3つの世論調査のうちの2つでは、総選挙の前倒し実施が要請された場合、リブニ外相が右派勢力リクードを率いるベンヤミン・ネタニヤフとの提携を進めると見られているが、中道派のカディマ党や連立政権内で同党の最大のパートナーである中道左派の労働党はこれを歓迎しないと思われる。これらの世論調査によれば、カディマ党党首の座の争いでは情報局出身のリブニ外相がリードしており、ライバルの中で最も接近しているシャウル・モファズ運輸相に8~18ポイントの差をつけている。

 イスラエルの新聞『イディオット・アハロノート』紙は、「後継者争いの始まり」との見出しで第一面に報じた。

 前倒しで国会選挙が実施される可能性が高まる中、カディマ党幹部らは各党の連立を樹立する力がリブニ外相にあるのかを疑問視している。彼らによれば、強硬派政党シャスを味方につけて安定した内閣の成立に必要な61票をクネセト[※イスラエル国会]で確保するためには、元国防相でパレスチナのインティファーダを粉砕する過激な行動で知られるモファズ運輸相のほうが事は容易に運ぶかもしれないという。また、オルメルト首相の後継者争いが「カディマ党の分裂」につながると懸念する者もいる。

 また、オルメルト首相の和平に関する施策をあからさまに批判してきた元首相のネタニヤフ氏が、自ら連立を組織するために、あるいは2010年に予定されている選挙の実施を早めるために、クネセト内の多数派を動員して次期政権を組閣しようとするカディマ党のプランを頓挫させようと試みる可能性もある。

 『イディオット・アハロノート』紙が実施した世論調査では、ネタニヤフ氏率いるリクードが30議席を獲得し、リブニ外相が率いるカディマ党は29議席を獲得する、との予測が出ている。一方、『ハアレツ』紙では、ネタニヤフ氏の25議席に対しリブニ外相が26議席と出ている。

 『マアリブ』紙では、ネタニヤフ氏が明らかな差をつけてリードし優位であると見られており、選挙が今日行われればリクードが120議席から成るクネセトの33議席を獲得し、リブニ外相が率いるカディマ党は20議席しか獲得できない、と伝えている。宗教勢力と極右勢力の支援を得ればネタニヤフ氏はクネセト議員60~62人の支持を確保できるが、カディマ党と労働党による現在の同盟勢力は51人以上を確保することはできない、という。

 一方、カディマ党党首としてリブニ外相よりも右寄りのモファズ運輸相が選出された場合、右派野党の64~66議席に対し、カディマ党は最大でも19議席しか獲得できない、という。

 労働党党首であるエフード・バラク国防相は、70年代の故ゴルダ・メイア元首相以来イスラエル政界で最も強力な女性であるリブニ外相の支持者として広く認識されている。バラク国防相は昨日、労働党は新連立への参加を検討するだろうと述べたが、「もし選挙が必要になれば、その時は準備を整えておく」とも付け加えた。

(後略)

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:14447 )