原理派が平穏な雰囲気の中で選挙に向けた話し合いを進める中、改革派陣営は混迷を深めている。
【政治部】大統領選挙に向けた争いの舞台がいよいよ幕を開けたが、原理派と改革派の両陣営をめぐる状況は明暗を分けている。
改革派戦線及び「ホルダード月2日」派で最近起きている出来事は、〔‥‥〕同派が権力から遠ざかっているこの数年間を自らの勢力の復活と組織化のチャンスへと転換することができず、改革派内の政治的傾向の対立や基本理念・理想・目的の分裂・多様性の問題が未解決のままであることを示している。大統領選挙まで残すところ数ヶ月となった今、「ホルダード月2日」諸派はすでに内部抗争を始めているのである。
国民信頼党は、〔同党総書記の〕メフディー・キャッルービーを大統領選の候補者として正式に表明することで、改革派陣営内での主導権を握り、「イラン・イスラーム参加戦線」や「イスラーム革命聖戦士機構」、「建設の奉仕者党」を袋小路へと追いやろうと試みている。
他方、国民信頼党が自らの党総書記を候補者として擁立することを明確に表明したことで、選挙戦出馬へ向けた一部改革主義者たちの決意に〔‥‥〕ためらいやとまどいが生じている。そしてその中で最大の疑心が、セイエド・モハンマド・ハータミー〔前大統領〕に向けられている。
現状では、改革派内部で選挙に関し合意を形成することは不可能でないにせよ、非常に骨の折れる作業となっている。それに対し原理派は平穏な雰囲気の中、大統領選挙への参加のありかたに関して〔通常通りの〕意思決定のプロセスを辿っている。
マフムード・アフマディーネジャード現大統領が第10期大統領選挙の争いの舞台に立つチャンスを有している状況においては、選挙への参戦方法をめぐる原理派の意思決定にはさほどの困難は生じない。というのも、政権を支持する幅広い層の原理主義者らにとって、次期選挙戦での選択肢はすでに今からはっきりとしているからだ。
その一方で、その他の原理主義者たちが擁立する可能性のある候補者たちは、いまだこれといった決定を下してはいない。というのも、彼らの意思決定の一部は、改革派が選挙にどういった形で参戦するか、改革派の合意形成の行方にかかっているからだ。
一部の分析によると、次期大統領選挙の過程で原理派内に完璧な合意が形成されるとすれば、それは改革派が完璧な合意を形成した場合に限られるという。それ以外の場合には、アフマディーネジャード以外の別の候補者も原理派から選挙戦に出馬することが予想される。
(中略)
「技術者イスラーム協会」の総書記を務めるモハンマドレザー・バーホナルは、「「原理派統一戦線」及び「
6+5」は第10期大統領選では有効な枠組みたり得ないだろう」と語った上で、「原理派は合意達成へ向けて、新たなプロセスを探っている」と述べた。
同氏はメフル通信とのインタビューで、「すべての原理主義者は第10期大統領選挙における一致団結に努めている。現在すでに、最大限の合意・一致を得るための活動が始まっている」と述べた。
同氏は次期選挙での目的は完全な一致団結を達成することであると語りつつ、「しかしながら第10期大統領選挙では、原理派が完全な一致を達成することは恐らくないであろう」と付け加えた。
「技術者イスラーム協会」の総書記はその上で、原理派が完璧な合意を手に入れることができなくとも、次期選挙では80%以上の合意は可能だろうと予測している。
「イスラーム革命献身者協会」のスポークスマンもまた、第10期大統領選挙への原理派の参加へ向けて、同協会は4つの項目を柱とする基本戦略を検討していることを明らかにしている。
同協会のスポークスマンを務めるロトフォッラー・フォルーザンデは次のように述べた。「大統領選挙への原理派の参加へ向けて、我が協会は〈原理派勢力の団結〉、〈原理派の勝利〉、〈ホルダード月2日派の敗北〉、そして〈原理主義が掲げる目標ならびに革命の基本原理の強化〉の4項目を柱とする選挙モデルを、次期大統領選用に策定する予定だ」。
同氏はまた「革命の基本原理の強化とは、〔‥‥〕人々への献身、正義の普及、腐敗との闘い、政府高官らの健全化、そして行政の効率アップがその基本となるであろう」と付言した。
(後略)
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( 翻訳者:柴田愛子 )
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