家族保護法、国会司法委員会に審議差し戻しへ:女性活動家らの圧力に押される形で
2008年09月01日付 E'temad-e Melli 紙

昨日、100名以上からなるイラン女性たちは、家族保護法案が再度国会に上程されたことに抗議して、一部国会議員らと面会した。この面会の中で、女性たちは自らの抗議の意志を記した書簡ならびに声明文を議員らに手交、イラン人女性らの要望に耳を傾けるよう求めた。
〔訳注:昨年から国会で審議されてきたこの法案の第23条には、妻の許可がなくとも裁判所が許可すれば、夫は複数の妻をもつことができる旨が記載され、また第25条には妻が離婚の際に夫から受け取ることのできる婚資金(夫から妻への一種の慰謝料だが、それは結婚契約の際にあらかじめ決められる)への課税が盛り込まれ、女性活動家らはこれらの点を強く批判している〕

 この要望はその数分後、実を結ぶことになった。家族保護法案は国会の議題から外されたのだ。これに先立ち、昨日の国会審議の冒頭、アリー・ラーリージャーニー国会議長は同法案に対する女性たちの懸念が拡大していることに議員らの注意を喚起していた。

 いずれにせよ、この短いニュースは女性たち、そして女性の権利を求める活動家たちの不断の努力の結果であった。彼ら/彼女たちは、今起きようとしている出来事について市民に広く知らしめる活動を行い、政府と政府支持議員らが行おうとしていることに対する自らの意見を、自身が選出した各地の議員たちに伝えるよう呼びかけていた。

 その結果、ハメダーンやエスファハーン、ガズヴィーン在住の女性の法律専門家やスポーツ関係者、アーティスト、学生、教師、労働者、主婦、宗教集会の開催者、子どもの権利保護を訴える活動家、平和活動家らからなる様々な団体は昨日の国会公開本会議終了後、専門委員会による会議開催前に、自らの出身地ないしは居住地選出の国会議員ら多数と面会し、彼らにイラン人女性すべての懸念や怒りを伝えるという行動に出たのであった。

 テヘランやその他地方の女性権利活動家たちは、シーリーン・エバーディー〔弁護士〕やスィーミーン・ベフバハーニー〔女流詩人〕、ラフシャーン・バニーエッテマード〔女性映画監督・脚本家〕とともに、昨日正午、国会司法委員会の委員らとの面会を求め、数分間の押し問答を経て、同委員会のファルハード・タジャッリー副委員長との面会にこぎ着け、通された会議室で同法案への自らの見解を提示した。

 最初に口を開いたのは、スィーミーン・ベフバハーニーであった。彼女はタジャッリー議員に対し、国会議員はイラン人民の代表であり、イランとその地に住む人々の権利擁護に努力すべきだと指摘した。

 人権擁護協会の会長を務めるシーリーン・エバーディーも彼女の発言を継ぐ形で、家族保護法案をめぐってこの間なされた諸々の専門的議論や法律論的批判に触れた上で、まず同法案を国会の議題から外し、それからあらゆる側面を考慮した慎重かつ専門的な検討を行うことで、イランのすべての市民の権利に合致するような法案へと書き直すよう、直接タジャッリー副委員長に要求した。

国会も法案には批判的

 この面会で、ラフシャーン・バニーエッテマードも同法案に対するアーティストたちの意見を詳述した上で、このような内容の法案が上程され可決されるようなことがあれば、イランという国の国会の威信にかかわると詰め寄った。

 これらの議論がなされると、ガスレ・シーリーン選出のファルハード・タジャッリー副委員長は、同法案総則自体は良くできたものであり、適切だと評価した上で、国会も同法案の一部には批判的であると弁明した。「司法権が提出した法案は、女性と家族に対する司法権長の前向きな視点を反映したものであり、同法案の作成に当たっては専門的な努力が駆使されたことを見て取ることができる。しかし、イラン市民が批判し抗議している箇所については、国会も同意見であり、それは政府によって〔司法権の提出した〕法案に追加された部分である。これらの箇所については、より慎重な検討が必要であることは確かだ」。

 同議員はまた、すべてのイラン人女性に向けて、次のように約束した。「法案は委員会に差し戻され、さらに慎重な審議・検討がなされる予定だ。いずれにせよ、法案の専門的検討のためには、シャリーアの規定とそれが課す制限を遵守する必要がある。シャリーアに背反した問題が存在することも事実であり、われわれにはそれらを無視することは不可能だ。こういったシャリーアに背反する問題については、公益判別評議会の承認が必要だ」。
〔訳注:公益判別評議会は「公益」に基づいて、イスラーム法の法規定を一時的に停止する権限が認められている〕

 面会に参加した女性権利活動家や法律専門家たちは、自らの提案を書面で司法委員会副委員長に手渡し、専門的検討に役立てるよう要望した。

〔後略〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:14693 )