家族保護法案総則、可決される
2008年09月10日付 Jam-e Jam 紙

【政治部】議論を巻き起こした家族保護法案の総則が国会で可決された。しかし同総則の審議過程で、賛成・反対両派が舌戦を繰り広げ、一部の反対議員は当初の政府法案に立ち戻り、司法委員会が削除した同法案第23条及び第25条を復活させるべきだと主張した。

 家族保護法案は、司法委員会が第一夫人の許可なく複数の妻をもつこと、及び婚資金への課税をめぐる条項を削除した上で、国会公開本会議に提出された。しかしアリー・モタッハリー議員をはじめとする一部議員は、アリー・ラーリージャーニー国会議長に申し入れを行い、一夫多妻制はイスラームが誇るべき点の一つであり、第8期国会にはこの点についての司法委員会の決定〔を追認する〕権限などないと論じた〔※訳注〕。

 モタッハリー議員は、政府法案を再度議題に載せるべきだと国会の運営理事会に要求、第23条の削除は堕落を広めることを意味するとした上で、政府は自らの法案でこのような堕落の拡大阻止を追求しているのだと声を上げた。

 同議員はさらに、男性が複婚する際に第一夫人の許可〔を得ることを義務化すること〕は、イスラーム法に背反すると指摘し、国会議員らが〔女性活動家の、もしくは西洋の?〕影響下に下ることは国会の沽券にかかわることだと主張した。

 これに対してアリー・ラーリージャーニー国会議長は、同議員の主張に対して、ゴムのウラマーたちの同条項に対する見解に敬意を払った上で、見直しが行われたのだとなだめた。

 他方、家族保護法案に賛成の議員らは、家庭裁判所への女性判事の参加や家庭内の不和を解決するための相談員らからなる諮問委員会の設立など、同法案の利点を指摘した。これに対して反対議員らは、同法案の各部を審議する際、法案に多大な変更が加えられたことなどを批判する声が上がった。

 最終的にこの重要法案は、賛成171票、反対42票、棄権7票で可決された。



訳注:アリー・モタッハリーはイスラーム革命の有力イデオローグの一人であったモルタザー・モタッハリーの息子で、ラーリージャーニー国会議長とは義理の兄弟に当たる。モルタザーは複婚や一時婚をめぐる(シーア派)イスラーム法の規定にはそれなりの合理性があると主張し、一夫多妻を制限した1974年の家族保護法を、イスラームから逸脱したものであるとして厳しく批判した。今回の新家族保護法で、一夫多妻に関する1974年の家族保護法の規定を無効化するものとされた第23条が、女性活動家その他の声に押される形で司法委員会によって削除され、1974年家族保護法の効力がそのまま温存されたことは、国会(及び社会一般)が故モルタザー・モタッハリーの同法に対する批判を一部否定したことを事実上意味し、これは息子アリーにとって許し難いことと映ったものと推測される。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:14699 )