労働相、中央銀行総裁との確執をめぐり大統領に自らの解任を要求
2008年09月10日付 E'temad-e Melli 紙
左:マザーヘリー中央銀行総裁、右:ジャフロミー労働相
【経済部】第9政権のセイエド・モハンマド・ジャフロミー社会労働相は、マフムード・アフマディーネジャード大統領に書簡を送付し、労働省と中央銀行の対立を解消するために一風変った解決案を提案した。
ジャフロミー労働相はILNA(イラン労働通信)とのインタビューで、「数日前、アフマディーネジャード大統領宛ての書簡を送付した。その中で、産業部門への銀行からの融資が行われないまま現在のやり方が継続されるならば、それは国家の利益にも生産者の利益にもならないことを指摘した」と明言した。
労働相は、
中央銀行総裁との意見対立は些細な対立などではなく、根本的なものだと述べつつ、アフマディーネジャード大統領に宛てた書簡の中で、金融拡大政策を支持するグループ〔=労働省〕と金融引き締め政策を強く支持するグループ=中央銀行との間の対立を解消するために、労働相と中央銀行総裁両者の解任を決断するよう求めたという。
ジャフロミー労働相は続けて、もし内閣を構成する2人を同時に更迭させることは得策ではないというのであれば、大統領はマザーヘリー中央銀行総裁を留任させ、自ら(ジャフロミー)を労働相のポストから解任すべきだとも述べた。
(中略)
もちろんこのような発言は、一種の謙譲表現に過ぎないのかもしれない。アフマディーネジャード大統領とジャフロミー労働相は共に金融拡大論者であり、石油収入を使って融資を進めることで雇用を創出することができるとの信念の持ち主だ。そのような状況では、アフマディーネジャード大統領は意見を同じくする盟友ではなく、自身の政策に異を唱える人物、すなわちマザーヘリー中央銀行総裁の方を更迭するというのが普通だからである。
金融銀行法により金融・銀行業務を監督する立場にある中央銀行は、現在の破壊的なインフレ状況においては金融引き締め政策を選択することが不可欠だと信じている。マザーヘリー中央銀行総裁は昨日の業務終了間際に行ったILNAとインタビューの中で、ジャフロミー労働相の言動を暗に非難して、内閣に関わる問題は内閣の中で解決すべきだと語っている。
ジャフロミー労働相は、自身と中央銀行総裁両者の解任は産業部門が抱える資金不足という問題の解消に資すると考えているが、しかしその一方でイランのビジネス環境指数は世界で135位という懸念すべき順位に落ち込んでおり、またインフレ率という面から見ても、
イランは〔IMFが調査した世界180カ国中〕5番目に高い。
国内の経済学者や専門家らは、現在の状況で資金の貸付けを増やし、金融拡大政策を強めることは現状をより深刻なものにさせるだけだとしている。
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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:14705 )