各銀行の抱える回収遅延債権、総額で20兆〜40兆トマーンに
2008年10月14日付 E'temad-e Melli 紙

【経済部】各銀行が抱える回収の遅れた遅延債権の総額は、20兆〜40兆トマーン〔約2兆~4兆円〕に達している。

 これは、国会鉱工業委員会スポークスマンのアリーアスガル・ユーソフネジャード議員がISNA〔イラン学生通信〕に明かにしたものだ。同氏は昨日、次のように述べた。「中央銀行総裁は日曜日の鉱工業委員会の会議に出席し、議員たちの質問に答えて、中央銀行の構造改革と金融財政政策における中央銀行の役割について説明した」。

 ユーソフネジャード氏はマフムード・バフマニー中央銀行新総裁の話を引用する形で、「各銀行が抱える未回収の遅延債権の総額は20兆から40兆トマーンであり、各行はそれらを回収して、体力を強化しなければならない」と述べた。

 ユーソフネジャード氏の話によると、中央銀行総裁は「政府は各行に対して、6兆トマーン〔約6千億円〕の負債を抱えている」と発表したという。

銀行の預金増加率、伸び悩む

 銀行の預金増加率は伸び悩み、ほぼ0%に留まっている。ホセイン・ガザーヴィー中央銀行総裁代理は、今年上半期6ヶ月間の銀行の預金増加率は0%であったと発表し、「各行は今年上半期に資金の貸付を行うことができなかったため、〔新規の〕預金も全くなかった」と述べた。

 ガザーヴィー代理はBORNA通信とのインタビューで、この問題について、「中央銀行の政策によって、通貨供給量の増加率は1385年〔2006/7年〕の39%という予期せぬ数字から、1386年〔2007/8年〕の27.7%に減少した」と述べた。

 同代理は、中央銀行の過去一年間の政策を引き締め的であったとして批判する人々に答える形で、次のように述べた。「中央銀行は過去一年間総合対策にもとづき、法定準備率を改めた。これは各行の法定準備金の一部を解放し、それによって各行が中央銀行に対して抱えている負債を支払えるようにするというものだった」。

 同代理は、2年前まで、各行は預金の90%を融資に費やしていたと述べたうえで、次のように指摘した。「次第に銀行の貸付需要の分野で変化が起き、各行は預金の110%以上が融資に費やされるといった、現在目にしているような状況に置かれるようになった」。

 イラン中央銀行の高官らがこのような見解を表明していることからも、各銀行が適切かつ理想的な状況下にはないことが分かる。一方で、中央銀行総裁の発言によると、貸付先に対する各行の回収遅延債権は約20兆〜40兆トマーンという金額にまで達しているからである。すなわち、最低でも約20兆トマーン、200億ドル相当の貸付能力が各行から失われているということだ。

 各行が抱える回収遅延債権は、無計画な資金注入と貸付によって雇用を創出することができるなどと想像している第9期原理派政権が誕生してからの3年間のうちに、〔債権全体の?〕17%という危機的な数字に達しており、その分だけ各行の貸付能力は失われているのである。

 また、貸付先から融資を回収できないという問題に加え、一般市民からの預金も増加しないという問題が、イランの各銀行を窮地に立たせている。イランの金利インフレ率よりはるかに低い。そのため、預金者たちは少なくとも現在の価値が目減りしないような分野に、自らの資金を移し替えようとしているのだ。

 銀行からの資本逃避と人々からの預金の伸び悩みは、第9政権の政策の帰結である。この政権は公正さを欠く形で、資金の借り手にとってのみ好都合な政策を行っている。そのため、資産の92%を人々の預金に頼る銀行は、以前にも増して現在の危機にはまりこんでいるのである。

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( 翻訳者:佐藤成実 )
( 記事ID:14927 )