合い言葉は「チェンジ」:キャッルービー国民信頼党総書記、第10期大統領選への立候補を表明
2008年10月13日付 E'temad-e Melli 紙
10月13日付エッテマーデ・メッリー紙1面の紙面
10月13日付エッテマーデ・メッリー紙1面の紙面

【政治部:ザフレ・アーシュティヤーニー】「私の意志は真剣だ。意志を翻すことなく行動することを、私は決意している」。これは第10期大統領選に立候補を表明した人物のことばだ。第9期大統領選で3番目の票を獲得した人物、その彼が今度は第10期大統領選にも名乗りを上げたのである。

 メフディー・キャッルービーは昨日、報道関係者らに対し、第10期大統領選に出馬する意志を正式に発表した。彼は国内外の記者らを前に、単なる空手形ではなく、確たる構想をもって選挙戦に臨むことを表明し、「誠実さ」、「市民の権利の擁護」、そして「市民ならびに個人としての自由」は単なる「構想」ではなく、自らの信念であると語った。

 昨日彼は、第10期大統領選の立候補者として、あとほんの数ヶ月の任期を残すばかりとなった現政権の政策批判を繰り広げた。インフレを国民に「プレゼント」した政権の経済政策、そして誤った政策により引き起こされた国際的な緊張こそ、メフディー・キャッルービーが特に指摘した問題だった。

 彼は国の現状、そしてそれに対する国民一般の不満に触れながら、自らのスローガンを「変革」ということばで表現した。「今の私のスローガンは、『行政における知恵の総動員による現状の変革』、である」。

〔中略〕

 ファールス通信など一部のメディアは、大統領選への立候補を表明したメフディー・キャッルービーの明確な意思表明と勇気を肯定的に評価したが、「〔改革派系候補者の一本化を模索する〕調停評議会が他の候補者の擁立で合意した場合、立候補を取りやめるつもりはあるのか」、さらには「メフディー・キャッルービーの勇み足気味の出馬表明は、セイエド・モハンマド・ハータミー〔前大統領〕の出馬を邪魔するためのものだ」などの挑発的な質問・評価をする記者もいた。これに対しメフディー・キャッルービーはそのような質問自体が勇み足であるとして、記者らに今後を見守って欲しいと要請した。

 「私の行動は勇み足だと言われても、特に否定しない」。こうはっきり述べたメフディー・キャッルービーはまた、第10期大統領選の最大のライバルは前回と同様、マフムード・アフマディーネジャードだと明言することにも躊躇はなかった。アフマディーネジャードが現職の大統領として活動していることが、彼との選挙戦を難しいものにするだろうとキャッルービーは指摘した。

〔中略〕

経済問題こそ最優先課題

 キャッルービー国民信頼党総書記は、経済問題、内政問題、外交問題の三つが、自らが大統領になった場合の最優先課題になるとの見方を示した。

 キャッルービーは国民一般の経済情勢への不満に考慮し、人々の生計を取り巻く困難や経済問題を自身の政権構想の最優先課題であるとして、これらの問題に関する包括的な構想をすでに練っていると強調した。

 「現在国民が直面する最大の問題は、経済問題である。われわれは職・生産・経済の活性化のために行動するつもりだ。残念ながら、我が国の失業率は極めて高い。そればかりか、国民は病気の治療費すら払えないこともしばしばである。それ故、私と私の仲間たちが掲げる最優先課題は様々な領域で経済・生活問題を解決することである」。

 キャッルービーは内政問題が自身の構想にとって二番目の優先課題になるとして、次のように説明した。
私の二番目の優先課題は内政問題である。例えば、国民の正当な自由や権利を可能な限り守る、といったことだ。また、現在の国の法律の範囲内での報道の自由といったものも、私にとって極めて重要である。さらに、私は国民の安全も非常に重要だと考えている。国民が毎日の生活の中で精神的な不安を抱えるようなことがあってはならない。警察や治安関係者が国民を守り、彼らの避難所となって、彼らに尽くしていることが感じられるようにならねばならない。

同時に、私が考えるもう一つ重要な問題は、若者や女性、引退した高齢者、零細事業者と彼らに対する課税、母子家庭、産業、そして農業に関わる問題である。これらの問題は社会にはっきりと現れており、容易に目にすることができる。人々の生活は極めて良好で、ラマダーン月の断食明けの食事を恵む必要のあるような人はどこにもいないなどと、あるザンジャーン市の地方当局者が述べていたが、全く驚くべき発言だ。実際のところ、私は先週ザンジャーンに旅行し、同市の〔現実の〕状況を直に見てきた。

 キャッルービー総書記は、国が抱える社会問題の多くは内政上の問題から生じたものだとして、次のように述べた。「現在起きている予期せぬ犯罪的な事件の多くは、国が抱える社会問題から生じたものだ。それ故、国内問題に大きく踏み込み、効果的な施策を講じる必要がある。もちろん問題を指摘したからといって、現政権や過去の政権に問題〔のすべての原因〕を着せようと考えているわけではない。しかし現政権にその責任があるというのは、否定できなことだろう」。

 キャッルービーは三番目の優先課題は外交問題であるとして、次のように述べた。「われわれはイスラエル以外のすべての国と、良好な関係を築くべく努力している。たとえ良好な関係になくとも、少なくともわれわれに対して刃を向け、敵対的関係に陥ることのないようにしなければならない。われわれの目標は、イスラーム共和国体制の創始者がわれわれに残してくれた、高貴なるイラン国民による長年の闘争の結果である原則と理念を守りつつ、敵を作ることのないよう努力することだ。不用意な発言が国を苦しめるようなことがないようにしなければならない。われわれは憲法の枠組みの中で、関係改善の言説を打ち立てるべく努力しなければならない」。

 キャッルービーはまた、次のように語った。「国民が私に票を投じてくれようとくれまいと、私が行政の責任者になろうとなるまいと、私は命の続く限り真実を言い続けることをお約束する。公約が実行されなかった場合には、公約が実現できなかったことを私は誠実に告白するつもりだ。国民を欺すようなことはせず、言い訳もしない。命が続く限り、誠実に国民と相対すること、これが私の願いだ」。

〔中略〕

ハータミー氏が出馬するか否かは、自身の考え次第

 〔‥‥〕キャッルービーは「あなたの立候補表明は最終的なものか、それとも誰かのために辞退する可能性はあるか」とのイラン学生通信の質問に、次のように答えた。「私は確たる決意をもってこの場に臨んだ。決意を翻すことなく、私は活動してきた。〔他の改革派グループと〕意見の対立を起こさないために、私は独自の提案もしてきた。今、私は真剣な決意をもってこの場に臨んでいる。しかし、最終的にいかなる結果になるのか、状況はどのようになるのか、そして国民の支持はどうなるのか、これらは今後の活動や〔国内各地への〕訪問を通じて明らかになるだろうが、それを見極める道も残してある」。

 同氏はまた、「ハータミー氏が立候補した場合、あなたは立候補を辞退するか」との日本のテレビ局記者の質問には、次のように答えた。「私に出馬するべきではない、出馬は得策ではないと言ってきた者もいた。これには、様々な理由があろう。ハータミー氏も彼なりの問題を抱えている。出馬するかどうかを決めるのは、彼自身だ。すでに述べたように、今後どうするか見極める道を、われわれは残している。この問題は、今後考えるべきものだ。この問題が決着する時期を決めるのは、私ではない。誰であれ、立候補を辞退することは選挙の24時間前まで可能だ。もちろん、辞退するつもりだなどと言っているわけではないが、そのような可能性もある」。

〔中略〕

核問題については、不安を解消する

 続いて、日本のテレビ局記者がキャッルービーに、イランの核問題に関する自身の立場を質問した。「〔イランがウラン濃縮を停止し、国連は制裁を停止するという〕二つの停止のギブ・アンド・テイクを受け容れる用意はあるか」との問いに、キャッルービーは次のように答えた。「〔‥‥〕これまで何度も言ってきたように、核問題では二つのことが重要だ。一つは、自らの権利を守ること、権利を諦めるようなことはしないこと、である。二つ目は、権利を諦めるわけではないが、しかしそれと同時に対話と信頼醸成を図りつつ行動する、ということだ。〔イランの核活動に〕反対する人々は、二つのグループに分けられる。まず政治的な観点から反対する人々がいる。これは〔イランの核問題とは〕別個の問題である。もう一つは、核問題に対して正確な知識をもって、真に不安を抱いている人々である。われわれは彼らの不安を解消すべく努力するつもりだ。私にできるのは、自らの権利にこだわりつつ、同時に対話に努力し、不安を解消するということである」。

〔中略〕

「ホロコースト」では大きな代償を払った

 ホロコースト問題とキャッルービー政権における同問題の取り扱いについて、ドイツ通信の記者から質問を受けた同氏は、次のように述べた。「西洋はこの問題を忘却すべきだなどと言う権限は、私にはない。大統領はこのことに関し、極めて高い代償をわれわれに強いるような発言をした。このような発言が何の役に立つのか、私たちには理解できない。われわれはイスラエル以外の世界のすべての国と良好な関係を築くべく、努力しなければならない。われわれはウィン・ウィンの原則に基づき、地域諸国やイスラーム諸国、ペルシア湾岸諸国と良好な関係を確立しなければならない」。

 キャッルービーは続けて、次のように述べた。「ホロコースト発言は、私が言ったのでもなければ、私の仲間が言ったのでもない。パレスチナ国民の権利は虐げられており、彼らは難民化している、人々の権利が実現されるよう、公正な平和を樹立し国民投票を行うべきだ、とわれわれはつねに言ってきた。残念なことに、ホロコースト発言は何の目的もなくなされたものだった。この発言がわれわれにどのような利益をもたらしたのか、全く分からない。もちろん、意見を言うのはその人の権利だが」。

〔中略〕

私の内閣は中道的で連立的なものになるだろう

 〔‥‥〕会見場から出る間際、自身の政権の内閣の陣容について質問を受けたキャッルービーは、「私の内閣は、中道的で連立的、かつ適材適所なものになるだろう。原理派の人間も、多く加わることになる。良い仕事をする人物であれば、右派グループからも内閣に登用する」と語った。

 キャッルービー国民信頼党総書記は、自身の内閣は連立的なものになると強調した上で、「経験があり、人柄も良く、協調的な人物が内閣に加わることになるだろう。改革派の人物であるか、原理派の人物であるかは問わない。良い仕事をする人物であれば、内閣に加わるだろう。党を基本とした活動をしているからといって、特定の党からのみ登用するということを意味しない。仲間たちを優先することは事実だが、党派的な組閣を行うということではない。様々なグループの力を活用するつもりだ」と述べた。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:14928 )