中央銀行総裁、贅沢品の輸入に警告
2008年10月18日付 E'temad-e Melli 紙
【経済部】「中央銀行、55兆リヤールの負債を各銀行に返済へ」。これは、複数の通信社がメッリー銀行広報部の話として伝えた記事のタイトルである。この報道によると、中央銀行の新しい総裁に就任したマフムード・バフマニー氏は「今年度上半期メッリー銀行業績検討会議」の席上で、国内の景気停滞感を払拭し生産を伸ばすことを目的に、政府が各銀行に対して抱えている55兆リヤール〔約5500億円〕の負債を返済し、さらに金融システム内に「沈殿」している政府発行の国債36兆リヤール〔約3600億円〕を「解放」すると発表した。
政府が各銀行に対して抱えている負債の返済に関するニュースが再び取り沙汰されているが、その一方で政府が実際にどれくらいの負債を抱えているのか、正確な数字はまったく明らかにはなっていない。
これに先立ち、第9期原理派政権は財政(予算)・通貨・金融拡大政策を主張し、拡大主義的な予算を組むだけでなく、金融界や中央銀行に対して緊縮的な通貨・金融政策(それは同時にインフレに対抗するための政策でもある)をやめ、資金需要者たちに対して融資を〔積極的に〕行うよう、
圧力をかけていた。
公表された情報によると、各銀行は(市民の預金に由来する)自らの能力を92%上回る額を融資するなど、〔‥‥〕
各銀行の貸し付け能力は著しく低下しているという。このような状況の中、第9期政権は各銀行に対して抱える負債を返済し、各行の資本の増強を図るために、15兆トマーン〔約1兆5千億円〕規模の法案を国会に提出することを決定している。この補正予算の財源は、
外貨準備からまかなう予定だという。
〔‥‥〕しかしこの法案は、国会の抵抗に遭っている。アリー・ラーリージャーニー国会議長は各行に総額15兆トマーンの負債を返済するこの法案について、「国会がインフレを招くような法案を認めるようなことはない」とはっきりと述べているのだ。
一方で政府が〔新たな〕負債を抱えることになるなど負担が多く、他方で外貨準備を取り崩し、非生産的な資金を市場に注入するなどインフレを惹起するとして、国会はこの措置に抵抗を示している。このような中で、マフムード・バフマニー中央銀行総裁は政府の考えを実現するための解決策を模索している。
またバフマニー総裁は政府の各銀行への負債返済の方法について明言を避けつつ、さらに60兆リヤール〔約6000億円〕を信用限度額の範囲内で各銀行に割り当てる案も明らかにしている。
いずれにせよ、政府が銀行に対して負債を返済するためには、国会の承認が必要であり、承認を得ずに年間予算の上限を勝手に増やしたりすることはできない。とはいえ、第9期政権はこれまで常道を逸した方法で、国会の承認を得ることなく不法に石油収入を利用したことがある。原理派国会議員の一人であるナーデラーン氏の話によると、第9期政権は1386年のエスファンド月〔2008年2月下旬~〕、国会の承認を得ることなく外貨準備を取り崩して、外国産果物の輸入を行ったことがあるのだ。
マフムード・バフマニー総裁は中央銀行の新たな政策について、次のように説明をしている。「国内の景気停滞感を払拭し、生産を伸ばすために、55兆リヤールの政府負債を各銀行に返済し、それと同時に金融システム内に沈殿している政府発行の国債36兆リヤール〔約3600億円〕を解放する。その結果、利子を除くと、金融システム内の資産から80兆リヤール〔約8000億円〕が〔市場に〕解放されるだろう」。
中央銀行総裁はその上で、「メッリー銀行は政府に対して債権を最も多く保有しており、その総額は27兆リヤール〔約2700億円〕に上る。この額に12兆リヤール〔約1200億円〕の資金を合わせて、合計で40兆リヤール〔約4000億円〕が同銀行の手に渡ることになる」と付け加えている。
〔中略〕
中央銀行、政府に警告
ここ最近、原油価格の急落が止まらない。今年の最初の数ヶ月でイラン産原油の価格は140ドル台にまで達し、それに誘われる形で第9期政権は数々の新プロジェクトに自信満々に着手していたのが、現在ではイランを含むOPEC産原油の価格は1バーレル68ドルにまで下落しているのだ。〔‥‥〕
バフマニー中央銀行総裁は、不必要な贅沢品の輸入に関して政府にある種の警告を行い、外貨準備を強化するよう呼びかけている。外貨準備の強化とは、予算で消費されない石油収入を外貨準備にプールし、取り崩さないようにすることを意味する。このような政策は、第9期政権の拡大主義的な政策と真っ向から対立するものだ。
バフマニー総裁は欧米の経済危機に関して、「これらの国々とは経済的関係が断絶ないしは縮小しているので、我が国への影響も小さいだろう。しかし過去3ヶ月間で世界の原油価格が下落していることから、予算で想定されていた収入の一部が実現しない事態もあり得る。それゆえ、節約を行い、不必要な贅沢品の輸入をやめ、外貨準備を強化することが必要だ」と指摘している。
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( 翻訳者:斉藤正道 )
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