家族の名誉を守るために恐ろしい罪を犯した殺人犯に死刑が宣告
2008年10月12日付 E'temad-e Melli 紙
【エッテマーデ・メッリー】自分の妻と秘かに関係を持っていると言いがかりをつけて隣人を殺害し、耳や鼻を切り落とした後、遺体に火をつけた若い男の裁判が行われた。不義密通罪に問われていたこの男の妻には昨日朝、裁判所により無罪が言い渡された。
〔※註:イスラームでは「火あぶり」は神のみに許された刑罰であり、人間が行うことは堅く禁じられている〕
本紙記者の報告によると、以前ある若い男性が検察庁を訪れ、兄〔あるいは弟〕が失踪したと訴えた。この男性は捜査官に「兄〔弟〕が家を出て何日もたつが、まだ帰ってこない。あらゆる場所を探したが、見つかっていない」と語った。
この通報を受け、警察官らは直ちに仕事に取り掛かり、事件の捜査が始まった。捜査が続けられる中、真実を暴くべく行方不明となった男性の通話記録が捜査対象となった。その結果、この男性が見知らぬ女性と接触していたことが判明した。
かくして、この女性の行方を追跡するための警察と司法による捜査が始まった。そして4ヶ月間にわたる捜査の末、女性はこの若い男性の隣人であることが確認され、逮捕された。
彼女は取調べで、殺された被害者とは何の関係もないと主張し、以下のように語った。「私の夫は〔殺された隣人の男性である〕アリーと付き合いがありました。夫はアリーについて何らかの情報をもっているかと思います」。
そこで、この女性の夫も逮捕された。彼は最初の取調べで、アリーについては何も知らないと主張していたが、最終的にアリー殺害を告白した。
容疑者は警察・司法による取調べの中で、捜査官に以下のように語った。「アリーは私の妻と秘かに関係を持っていた。彼は2年間〔妻〕ターヘレと関係があり、私は最近になってそのことに気が付いた。そのため私は激怒し、隣人のアリーに復讐しようと決めた」。
容疑者は以下のように続けた。「事件の日、私はパソコン・デスクを設置したいので手伝ってくれとの口実で、アリーを家に呼んだ。そして家に誰もいないのを見計らい、ナイフで彼を刺し殺し、耳と鼻を切り落としたあと、キャラジ周辺の荒野で遺体に火を付けて燃やした」。
「最初、アリーを銃器で殺そうと思い、実際にそれを用意したが、その後彼をナイフで殺そうと決めた。なぜなら、アリーは私の妻と秘かに関係を持っていたからだ」。容疑者の供述をうけ、この夫婦は司法命令によって拘置所に収監された。その上で彼らの事件は、判決を下すためにテヘラン州刑事裁判所71法廷に委ねられた。
昨日朝、この若い夫婦は刑事裁判所の裁判官らの前に立った。アズィーズ・ムハンマディー裁判長と4人の補佐裁判官によって開かれた裁判の冒頭、検察側代表者は起訴状を朗読し、アリーには殺人容疑、ターヘレには不義密通容疑での処罰を求めた。その後、殺害された被害者の家族はキサース刑〔同害報復刑〕を要求した。
その後、被告人は証言台に立ち、殺人容疑を認めた上で、裁判官に以下のように語った。「被害者は私の妻と2年間にわたり、秘かに関係をもっていた。私が彼を殺そうと決めたのは、このような理由からである。私は家族の名誉を守ったのだ」。
「なぜ、最初は彼を銃器で殺すつもりだったのに、ナイフで殺したのか?」との裁判官の質問に、被告人は以下のように答えた。「私はアリーに苦痛を与えたかった。簡単には殺したくなかった。だから、彼をナイフで何回も刺して殺し、死体を燃やした。誰も顔を識別できず、死体が彼のものだと分からないようするためだった」。その後、弁護士が彼を弁護した。
その後、若妻ターヘレが5人の裁判官の前に立った。彼女は姦通容疑を否定し、以下のように訴えた。「私はアリーとは何の関係もありませんでした。彼は時々、私の携帯電話に電話をかけてきましたが、私はそれに迷惑していたのです。でも信じて下さい、彼とは何の関係もなかったのです。3人の子供がいる女性がどうやって2年間も、赤の他人である男性と誰にも気付かれぬまま、秘密の関係を持つことなどできるでしょうか」。
「では何故、予審判事に殺害された被害男性はあなたに〔性的な〕暴行を加えていたなどと言ったのか?」との裁判官の質問に、この若い女性は「こう言わなければ、友人を使ってお前の顔に酸をかけると、夫に脅迫されていたからです。私は強制されていたのです。でも、もうこんな話をするのは止めました。私はこんなこと〔=アリーによる暴行〕に屈したことはありません」と答えた。
この女性の話のあと、最後に刑事裁判所の裁判官らは審議に入り、殺害犯にはキサース刑〔同害報復刑〕を、また姦通容疑に問われていた若い女性には無罪を言い渡した。
この記事の原文はこちら
関連記事(家族問題がらみの殺人20%増加:治安維持軍長官代行、過去5ヶ月間の犯罪について指摘)
( 翻訳者:曽田茜 )
( 記事ID:14978 )