アラブ和平提案の活性化へオックスフォードでアラブ・イスラエル会議
2008年10月18日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ 和平提案の活性化を目指しオックスフォードでアラブ・イスラエル会議、サウジアラビアが専門家レベルで初参加
■ サウジアラビアのトゥルキー・アル=ファイサル王子は個人としての参加を強調、自国の不変の立場を堅持

2008年10月18日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ロンドン:本紙】

 一昨日の木曜日、イスラエル人とアラブ人の「専門家」らが参加して、アラブ和平提案を活性化するための前例のない会議がオックスフォードで開かれた。サウジアラビア情報機関の長であり、かつてロンドンやワシントンの駐在大使も務めたサウジアラビアのトゥルキー・アル=ファイサル王子も参加した。

 本紙の得た情報では、オックスフォード研究グループが呼びかけたこの会議にはイスラエル側からは学者で元イスラエル政府顧問ダン・ロチェル氏のほか、中東問題に関心を持つイスラエル人研究者複数が参加した。アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長の事務局のナビール・ザキーアラブ連盟事務局長官も出席した。エジプトの代表としては元ワシントン駐在大使ナビール・ファフミー氏が、またパレスチナの代表としてかつて予防治安部隊の責任者やヤーセル・アラファート前大統領の顧問を務めたジブリール・アル=ラジューブ大佐が参加した。会議の準備はユダヤ系イギリス人の学者で運動家のガブリエル・リフキンドが監督した。

 会議に参加した関係者によれば、会合の冒頭でトゥルキー王子は自身がサウジアラビア王国の政府代表としてではなく個人として参加したことを強調したという。またトゥルキー王子は提出した文書の中で、ヘブライ国家[=イスラエル]といかなる形であれ正常化を行う前に、エルサレムを含むパレスチナ被占領地からのイスラエルの完全撤退、パレスチナ独立国家の建設、パレスチナ難民問題の解決を求めるサウジアラビア王国の姿勢を強調した。

 パレスチナ代表のラジューブ大佐は、アラブ和平提案を「アラブ・イスラエル紛争の根本に対処し、この地域に和平と安定を取り戻す歴史的機会」であると表現した。

 また、ラジューブ大佐はイスラエルの人々に対し、正確に何を欲しているのか、安全を欲しているのか、それとも人口統計上の問題の解決を欲しているのか、中東の一部でありたいのか外側に居続けたいのか、安全を欲しているのであればなぜ入植地の建設を続けるのか、パレスチナ人を隣人とみているのか下僕とみているのか、を説明するよう求めた。さらに、交渉におけるイスラエルの根拠がパレスチナ国家の樹立を求める1947年の国連決議なのか、それともリクード党の綱領か、シャス党の綱領なのか、あるいはトーラー[=律法]か福音書なのか、とイスラエル側に説明を求めた。

 またラジューブ大佐はイスラエルの人々に対し、アラブ人の指導者が確たる保証もなくテルアビブへ向かうことは最大のミスを犯すことになると主張し、サダト大統領の場合は交渉の水面下でシナイ半島撤退の約束を得た後に占領下のエルサレムを訪れたゆえに異なると述べた。また、[パレスチナの]マフムード・アッバース大統領に言及し、15回以上も[イスラエルの]オルメルト首相と会談を行い、一緒にホンムス[=ひよこ豆]を食べたにもかかわらず何も得ることができなかったと述べた。

 イスラエル側はアラブ和平提案について「重要な一歩」であると評して歓迎の意を示したが、アラブの人々に対し、和平提案を活性化し実行に移す仕組みを協議するためにはさらなる正常化へ向けた措置をとり、イスラエル政府と直接かつ公然のコンタクトをとるように要請した。

 オックスフォード・グループは中東地域の問題に関する調査研究を発表している非政府組織であり、アラブ人とイスラエル人の和平を実現するために活動している。

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:14993 )