イスラエル、サウジアラビアの包括和平プランを検討へ
2008年10月20日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ バラク国防相:「イスラエルはサウジアラビアの和平プランの交渉を検討している」「ペレス大統領はパレスチナ・シリアとの協議よりサウジ・プランに期待している」
2008年10月20日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【エルサレム:本紙】
エフード・バラク・イスラエル国防相は昨日(19日)日曜日、イスラエル指導部はサウジアラビアが提案したアラブ諸国との包括和平協定案を検討しており、どう回答するか議論中だと述べた。
「エルサレム・ポスト」紙はイスラエル軍放送でのバラク国防相による以下の発言を転載している。「シリアと単独交渉が行われ、パレスチナとの交渉ではなんら前進が見られない現状では、イスラエルが地域の包括和平合意に向けて進むべき時が来たのかもしれない」「サウジ・プランは連立政権内で受け入れられる余地がある。我々と穏健派アラブ諸国との間には、イランやヒズブッラー、ハマースに対して共通の利益がある」。
続けてバラク国防相は、シモン・ペレス・イスラエル大統領もサウジ案に同意しており、この問題についてカディマ党の党首であるツィピ・リブニ外相と話し合ったことを明らかにした。
サウジアラビアの和平プランは、アブドゥッラー2世国王の皇太子時代、2002年にレバノンのベイルートで開かれたアラブ・サミットで提案されたもので、1967年占領地全土からの撤退と引き換えにイスラエルを全アラブ諸国が承認するとの内容であった。また同プランは東エルサレムを首都とする独立パレスチナの建国と、パレスチナ難民とその子孫のパレスチナへの帰還権を明記している。
イスラエルは同案を拒否していたが、昨年エフード・オルメルト前首相はこれを歓迎し、「前向きな歩み寄りを示している」と評して、和平プロセスにおいて考慮に入れてもよいと発言していた。しかしその後オルメルト首相は、パレスチナ難民の帰還権を含んでいることを理由にやはりこれを拒否した。
イスラエルの「マアリブ」紙は昨日、イスラエル大統領がパレスチナおよびシリアとの単独交渉に代わって、アラブ和平提案を元にアラブ世界との和平交渉に向けてイニシアチブを発揮していると報じた。これについては次期首相のカディマ党党首ツィピ・リブニ外相とエフード・バラク国防相からも支援を得ているという。
(後略)
この記事の原文はこちら
( 翻訳者:小林洋子 )
( 記事ID:15002 )