【経済部】住宅相が会見の中で発表した次の言葉を、多くの人々が覚えているだろう。「住宅賃貸料は今後下がるだろうから、それまで少し我慢して欲しい」。同相がここで言わんとしていたのは、住宅賃貸料は住宅価格に左右されるものだが、その影響が実際の賃料に現れるには一定の時間が必要だということだ。
今年の住宅価格の下落は、昨年の天文学的な価格上昇を考えれば、実に喜ばしい出来事であり、その点ではすべての人々が意見を同じくしている。住宅を所有していない人々の多くは、手元に資金さえあれば、再び価格が高騰する前に安価になった住宅を購入したいと考えているが、必要な資金がないために借家に住むほかないというのが実情だ。それゆえ彼らは、家賃が住宅価格の下落に応じて今後安くなるはずだとの住宅相の約束が現実のものとなるのを待ち望んでいる。
住宅価格の下落傾向が始まって数ヶ月が過ぎた現在、一部の地域では住宅賃貸料にある程度の下落が見られる。しかし、未だに住宅相の公約が実現されたとは言いがたいのが現状だ。というのも、家主たちの多くは市場が落ち込み、買い手不足の状況に陥っているにもかかわらず、賃貸料を下げる構えを見せていないからだ。
テヘランの一部の地区に関する本紙記者の報告によると、賃貸料が最も大きく下落しているのは、テヘランの南部及び西部地区であるが、他方でテヘラン中央部や東部、ならびに北部地区においては、いまだこれといった変化は見受けられない。住宅賃貸料が下がるためには更に時間が必要であろう。
エクバタナ地区とアパダナ地区を営業区域とするある不動産業者の社長は、こう語る。「家賃は下がっておらず、家主たちによって家賃が上乗せされたケースもある。その一方で、住宅価格は20〜30%下落しており、本来ならば賃貸料も下がってしかるべきなのだが」。
この社長は次のように付け加える。「通常、住宅一戸に設定される抵当価格〔※イランでは前金として「抵当」を収めて入居する商慣行が一般的〕は住宅価格の5分の1から6分の1であるが、住宅価格が相当程度下落しているにもかかわらず、賃料には変化が生じていない。例えば、エクバタナ地区第二区の63㎡の住宅は、今年の夏に1億5000万トマーン(約1500万円)で取引され、抵当及び家賃は前金で500万トマーン(約50万円)、〔月々の〕家賃で42万〜45万トマーン(約4万2千円〜4万5千円)であった。しかし、この住宅の価格は現在1億1000万〜1億1500万トマーン(約1100万〜1150万円)に下がっているにもかかわらず、賃貸料は以前のままだ」。
ある不動産業者によると、テヘラン北部のザファル地区とミールダーマード地区では、住宅賃貸料に変化はみられないという。例えば、現在50㎡で築7〜8年の住宅は前金700万トマーン(約70万円)、〔月々〕60万〜65万トマーン(約6〜6.5万円)で賃貸され、70㎡で新築の住宅は前金1100万トマーン(約110万円)、〔月々〕60万〜65万トマーンで賃貸されている。
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( 翻訳者:阿部文美 )
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