夫婦間の家庭での会話時間、たったの17分
2008年11月23日付 Jam-e Jam 紙

両親が複数の仕事を掛け持ちし、家庭生活への知識が不足している家庭ほど、家庭内での会話が少なくなる傾向に。

【社会部:モストゥーレ・バラーダラーン=ナスィーリー】以前、16歳のある若者が手紙の中で、「もっと停電が続けばいいのに。停電になれば、嫌でも家族みんなが家でただ一つの明かりの周りに集まってきて、一緒にお喋りをして、もっと長い間近くにいられるのに‥‥」といった趣旨の願いを吐露したことがあった。そして偶然にも、福祉リハビリ科学大学の家族社会学研究グループが行った調査によって、夫婦間の一日の平均会話時間が17分に満たないということがわかった。

 実際この調査の結果、挨拶や「夕飯食べる?」「お茶をいれようか」「ドア閉めて」「今日テレビ何やる?」「このドラマおもしろいねぇ」「だれかから電話来たら教えて」などのような簡単な会話を除くと、家族間の意見交換や人間的な感情のやりとりといった意味での「会話」は全くないということが明らかとなった。

 もちろんこの調査結果は、インフレの進行による経済的な問題や夫婦の働き過ぎが、夫婦間の一日の平均会話時間が17分以下になってしまった原因であることを示しており、また都会的な暮らしや産業化の問題という観点から、この問題を見ることも可能だ。しかしこれらの原因以前に、我が国には生活をどのように送ればよいかを教える教育が存在しないことこそ、他のどの要因よりも、この問題に大いに影響していると言わねばなるまい。

 社会学者で、家庭問題のカウンセラーを務めるアスガル・ケイハーンニヤー氏はこのことを認めた上で、本紙に「経済的困難に加えて、〔家庭生活への最新〕技術の浸透、家庭生活の不適切な管理、そして両親が複数の仕事を掛け持ちしていることなどの要因も指摘することができるだろう」と語った。

 同氏はさらに次のような見方を示している。「コンピューター、携帯電話、インターネットなどの技術・道具の誕生により、一方向的なコミュニケーションが助長されている。例えばインターネットは、ユーザーに対して〔‥‥〕他者がそこにいなくても利用できるような〔コミュニケーションの〕扉を開くものだ」。

 ケイハーンニヤー氏はさらに次のように言う。「他方、家庭生活の管理は時に、参加型というよりはむしろ、命令型であるケースが見受けられる。これは家族間での共感や意思疎通の道を閉ざす原因となり、そうなれば家族関係の継続は沈黙に支配されてしまう」。

 同氏はさらに「多くの家庭は複数の職業を掛け持ちする状況に陥っており、これも家族間の会話の減少の原因のひとつになっている」と強調している。

会話の減少がもたらすもの

 研究者で大学教授のゴラームレザー・アリーザーデ博士は、現代の家族が直面している諸問題について触れ、以下のように述べた。「経済的に苦しい現状で家族は多くの困難に直面している。生活をやりくりし、糧を得るために、夫婦は共働きをせざるを得ないのである」。

 社会学者の中には、イラン国内の離婚問題に関する統計を調査した上で、離婚が増加傾向にあると見る者もいる。

 以前、イラン福祉庁社会的弱者問題事務局の副局長は国内の離婚率を分析して、「イラン暦80年(西暦2001年)以降の離婚率は、それ以前に比べ急激な上昇を見せている」と述べたことがある。

 ゴラームレザー・レザーイーファル博士によれば、統計は次のことを示しているという。すなわち、テヘランで結婚したカップルの五組に一組が離婚に至っているというのだ。

 このことに関し、アリーレザー教授はメフル通信とのインタビューの中で、福祉リハビリ科学大学で実施された調査に言及している。それよると、大都市ではカップルの四組に一組が離婚し、富裕層が多く暮らすテヘラン〔北部〕のシュミラーンに限っていうと、三組に一組が離婚しているというのが実際の数字だという。

〔後略〕

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( 翻訳者:綿引香緒里 )
( 記事ID:15249 )