シリア政府高官、空爆された軍事施設への再度査察を許可しないと発言
2008年11月22日付 Al-Nahar 紙

■ シリア:「キバルの施設は軍事用だった。再度の査察訪問は許可しない」

2008年11月22日付アル=ナハール紙(レバノン)HPアラブ・国際面

【AFP、ロイター、AP】

 シリア核エネルギー機構のイブラヒーム・ウスマーン長官は、[2007年9月にイスラエル軍の空爆を受けた]キバルの施設に関する国際原子力機関(IAEA)の報告書に反論し、シリアは国連の査察官に1回の訪問を許可するとの書面による合意を遵守するが、「再度の査察は許可しない」と述べた。

 ウィーンでの35ヶ国によるIAEA理事会の非公開会合の後に、ウスマーン氏は自国の立場について繰り返した。それは、イスラエルが破壊した[キバルの]施設は通常の軍事施設であり、「ただ見たいとの理由で」調査する資格は誰にもなく、「再度の訪問を我々は許可しない」と述べた。

 さらにウスマーン氏は、「現在、砂漠地帯でウラン粒子が採取されたことが取沙汰されているが、これは全く、核施設が存在していたという十分な証拠にはならない。また現在この件についてさらに追及するにあたっては、何かがあると言うためには確かな証拠が必要であると考えている。我々の考えでは、この件に関しては終わりにするべきである」と述べた。

 また、「シリアは調査に関して、IAEAとのあらゆる繋がりを絶つのか」という質問への回答を迫られるとウスマーン氏は、「そんなことは断じてない。もし我が国への嫌疑に関して情報を求められれば我々は提供する」と述べ、さらなる協議を行う可能性も否定しなかった。

 しかしウスマーン長官は、「軍事用施設であり、シリアとしては訪問を許可することはできない」と説明したその他の施設に対する抜き打ち査察が実施される可能性は低いとの見解を示しつつ、「我が国の当局が訪問は可能だと考えた場合には、それを決定するのは私ではない。しかし指摘しておきたいのは、それらが軍事用の施設や建物で、軍事活動が行われているということであり、皆さんが御承知のように、中東では(イスラエルとの)戦争が未だにつづいている。御承知のように、中東はアジアやラテンアメリカやヨーロッパとは違う。中東には戦争がある。そして誠に遺憾ながら、核兵器を保有する国家が存在する。イスラエルが核拡散防止条約にすら加わっていないというのに、どうして我々にIAEA追加議定書への署名を求めるのか。しかしそれにも拘わらずシリア政府は、査察対象を公表された施設に限定すると定めた合意に基づいて、IAEAとの協力を継続する」と述べた。

 しかし、アメリカのグレゴリー・シュルテIAEA大使は、「[IAEAの]今回の報告は、シリアが東部砂漠地帯に秘密裡に核施設を建設し、それによって核拡散防止に関する合意事項に違反しているという我が国政府の推定を裏付けるものだ」との見解を示した。

 また、「今回の報告はシリアのいくつかの主張と著しく矛盾しており、IAEAの質問に対するシリア側の度重なる回答拒否の姿勢を如実に物語るものである」と述べた。

 報告によると、「当該の建物が核開発以外の目的に使用するため建設されていた可能性は否定できないものの、建物の特徴は、...冷却水供給システムと連動していることなど、核施設において発見され得る特徴に類似している」という。また、「IAEAの査察官は大量のウラン粒子を発見した」という。

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( 翻訳者:南・西アジア地域言語論(アラビア語メディア翻訳) )
( 記事ID:15283 )