エクアドルのコレア大統領、イランを訪問
2008年12月07日付 Jam-e Jam 紙


【政治部】エクアドル大統領による初のイラン訪問によって、ラテン・アメリカ諸国との関係拡大・深化を外交政策の優先課題の一つに掲げている第9政権の戦略に、再び注目が集まっている。

 過去3年間、キューバやベネズエラボリビアニカラグア、チリ、そしてエクアドルといったラテン・アメリカ諸国と第9政権との関係は拡大の一途をたどっている。近年左派系指導者を迎えたこれらの国々とイランとの関係強化の流れに対し、アメリカ当局は危険性を感じ取っており、オバマ次期大統領でさえこのような流れに対抗するためには、ラテン・アメリカ諸国との対決姿勢を示してきたブッシュ政権の政策は見直す必要があると警告を発している。

 イランとラテン・アメリカ諸国は、地理的にはきわめて離れているが、しかし共通点が多く、類似の課題を抱えている。イランとラテン・アメリカとがアメリカやワシントンの政策に対してともに反対姿勢を示していることも、関係拡大の主要な理由であると捉えることができるだろう。

 昨年まで、イランとラテン・アメリカ諸国との貿易額は年間約25億ドルだったが、2008年度にはこの額は40億ドルにまで増大する見込みだ。イランは、ベネズエラ貧困層向け住宅建設プロジェクトや二輪車、トラクター、そして〔イラン国産車の〕サマンド車の生産工場の設立などの分野で、広範囲な協力関係を〔ベネズエラと〕すでに開始している。

 またニカラグアとは、イランはダム建設や牛乳・乳製品生産工場の設立などのプロジェクトを抱えている。

 ボリビア当局との協議では、イランは10億ドルの供与を約束しており、その一部はセメント工場や乳製品生産工場の建設、二棟の病院の設立などに充てられる予定だとされる。このような中、モラレス・ボリビア大統領はイラン市民がビザを取得する際の制限の撤廃に踏み切っている。

 ラテン・アメリカ諸国の一つエクアドルとの関係拡大も、イランの政策課題の一つに位置づけられている。そして両国の歴史上初めて、アフマディーネジャード大統領の招待を受けて訪問したエクアドルのラファエル・コレア大統領を、現在テヘランは歓待しているというわけである。

 二国間関係の拡大、地域協力、エクアドルの石油産業の発展に向けたイラン側の支援といったテーマが、両国大統領の協議の中心軸を構成する見込みで、経済協力をはじめとする様々な分野における協力拡大が、今回の訪問の優先課題に位置づけられている。

イラン・エクアドル関係の最大化に努力

 アフマディーネジャード大統領と現在テヘランを訪問しているエクアドルのラファエル・コレア大統領は会談の中で、様々な分野での相互関係を最大限拡大させることを確認した。

 アフマディーネジャード大統領は協議の中で、イランは友好国との関係を拡大させる用意があると指摘した上で、様々な分野で自らが持つ経験や成果をエクアドルに移転させることに、いかなる制限もないと述べた。

 同大統領はまた、両国間の協力を増大させることの必要性に触れた上で、様々な領域で関係を拡大させるためには、あらゆる可能性を活用する必要があると強調した。

 アフマディーネジャード大統領とコレア大統領は、両国間の協力拡大の可能性は極めて高いとし、エネルギーや産業、経済、金融、投資、観光、技術、電気、水などの分野での関係拡大の重要性を確認した。

 大統領はまたこの会談の中で、両国間の関係拡大にとって合同協力委員会が果たすべき役割は重要だとの認識を示し、「両国による合同協力委員会は、これまでの合意や様々な領域での協力拡大の実現に向けて、迅速に動く必要がある」と述べた。

 両国大統領はまた、両国国民ならびに政府の革命精神に触れた上で、「二国間関係の拡大はイランとエクアドルの両国民、そして世界の平和と安全にとって有益である」と強調した。

 他方エクアドル大統領は、同国における新たな政権の発足を機に、二国間関係がめざましい発展を遂げることを願っていると述べた上で、現在両国間には政治的関係が存在しないことに触れ、一月にも両国に互いの大使館を設置する意向であると発表した。

イラン・エクアドルの防衛関係、基盤強化へ

 イラン国防相モスタファー・ナッジャール司令官はエクアドルのハヴィエル・ポルセ国防相と会談し、エクアドル国防当局者による初めてのイラン訪問は協力関係拡大にとってよい機会となるだろうと期待を表明した。

 同国防相は今回の訪問を歓迎した上で、「イラン・エクアドル両国政府には共通の政治的考え方や理想・意志が存在する。これは両国の防衛関係の確立・拡大にとって、きわめて重要な基盤だ」と述べた。

 エクアドル国防相もこの会談の中で、今回の訪問によって間近からイランの国防能力を知ることができるだろうと述べ、両国関係の拡大・発展に関して検討・意見交換が行われているところだとした上で、「今回の訪問によって、イランとの防衛関係の基礎が築かれ、強固なものになればと期待している」と語った。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
関連記事(ボリビア大統領、イラン訪問)

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:15306 )