上:干上がる前のハームーン湿原、下:干上がった後のハームーン湿原
【地方部】ハームーン国際湿原研究所所長は、「世界の国際的湿原の中でも7番目の〔規模を誇る〕ハームーン湿原は、現在存亡の危機に立たされている。すでにほぼ完全に干上がってしまった状態だ」と述べた。
スィースターンのヒールマンド川に流入する水は、そこから様々な川や運河、農耕地に流れ、この地方に住む人々に束の間の恵みを与えてきた。この世の水不足に苦しめられてきた人々にとって、この恵みは実に貴重なものだった。
しかし今、状況は完全に変わってしまった。ハームーン湿原が干上がってしまったのだ。ハームーン国際湿原研究所所長は昨日、イラン国営通信とのインタビューの中で、「この湿原の大部分が干上がってしまっている。ここ数日間に降った限られた雨も、湿原に水を供給するには十分なものではなかった」と語った。
同所長はその上で、次のように述べる。「かつてスィースターンの人々が恩恵を享受してきた湿原は、今や干上がり、燃料を密輸する車両が往来するだけの場所に変わり果ててしまった。第9政権の関係者たちは皆、専門家たちの意見を活用しながら、過去数年間にわたり現状の改善に多大な努力を重ねてきたが、スィースターンの住民は、ハームーン湿原と同地方の農業の復活に抜本的な対策が取られることを依然として期待し、要求している」。
スィースターンの人々にとって、ハームーン湖はいつも水を湛え、乾燥とは無縁であるべき存在だ。スィースターンは、イラン高原東部最大の淡水湖を抱える地域であり、同地域の各地方は独自の〔文化的・気候風土的〕特徴を有している。ザーボルの北部・西部に位置するハームーン湖は「サーブーリー」、「プーザク」、及び「ハームーネ・ヒールマンド」の3つの地域から構成され、スィースターン地方を美しき〔陸の〕孤島に変えている。
ハームーン湖の面積は、満水時で6000㎢に及び、そのうち3820㎢がイランの領土内に位置している。また公式筋の発表によると、ハームーン湖の容積は満水時で100億㎥以上にもなり、「セフィード・ルード」ダム、「ザーヤンデ・ルード」ダム、「ザッリーネ・ルード」ダムの総容積に匹敵する。
しかし今や、かつて人々にとって収入源でもあったハームーン湖は、ここ数年間で塩漠へと変わり果ててしまった。時折吹く季節風によって、ハームーン湖は多くの砂埃がたまるだけの場所になってしまったのである。
その一方で、生態系の観点からも、ヒールマンド川流域〔の変化〕や旱魃の恒常化、ハームーン湖の乾燥化などの諸問題によって、渡り鳥やその他の動物の数に著しい減少が見られるといった問題も起きている。
ザーボル県のホセイン・ケイハー知事は、このことについて「近隣諸国との〔正常な〕経済貿易関係の確立、水問題に関する会議の開催、スィースターン地方の旱魃や水をテーマとしたワークショップ・セミナーの設置などが、スィースターンの水問題解決に有効だ」と語る。
ザーボル環境局のマフムード・アミーリー局長もこのことについて、「毎年71万8千羽、30種類もの渡り鳥や水鳥、例えばペリカン、フラミンゴ、ガチョウ、アヒル、アオサギ、ツルなどが、この湖に飛来してきたものだ」と指摘している。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:15366 )