Turker Alkan コラム:最新の社会調査結果にみる「包囲」
2008年12月20日付 Radikal 紙

「トルコはアフガニスタンにはならない!イランにもならない!」
我われはこう言い続けている。トルコはもちろんアフガニスタンにもイランにもならない。ましてはサウディアラビアには絶対にならない。歴史、文化、地政学的位置、発展のレベル、伝統などが、これらの国々とは異なるからである。しかし、「穏健なイスラーム」の潮流に巻き込まれたトルコは、これらの影響を受けずにはいられない。

トルコは、「トルコらしい」多くの特色を失い、宗教を基準にした日常生活と教育を送り、女性の権利を損ないかねない…。アフガニスタンあるいはアラブになるまでもなく、憲法の世俗主義原則をわざわざかえることもなく、ほとんど無意識のうちに、我々は「穏健なイスラーム」に屈しかねない!

トルコの著名な学者の一人であるビンナズ・トプラク教授の調査(訳注)は、私たちがこの方向で歩んできた道を示している。人々は反発を厭うがゆえに保守的な人たちの周りでは飲酒ができず、好きなように装うことができない。宗教的グループから圧力を受け、ビジネスマンたちは自身の宗教的グループではない人々を除外し、彼らとは商売をしない。アレヴィー派の人々はアイデンティティを隠さなくてならない…。挙げられる例はまだまだ続く。

トプラク教授の調査は、近年の我々が目にしている宗教的急進化の傾向が、徐々に「個人」を圧迫し始めていることを示している。男性がイアリングをし、長髪にすること、人々がラマザン時期に断食をしないことなどが、反発にあっている。日常生活がゆっくりと包囲されている。

そしてこうした展開は、興味深いパラドクスをも内に秘めている。我が国のリベラルな知識人の大部分が公正発展党政権を支持したことである。リベラリズムの根本には「個人」がある。しかし、公正発展党に彼らが与えた支持は、結果的に個人の自由の領域を制限すること以外には、何も役立たなかった!

このような状況になることは当初から明らかだった。しかし、ケマリズムに対する否定的な姿勢のために、リベラル派と穏健イスラーム派は不純な協力を行った。今まではそうだった。今後何が起きるかを皆で見ることになるだろう!

同様のパラドクスは、「リベラルな知識人たち」が多くを占めるグループが始めた「アルメニア人の友人たちへの謝罪」キャンペーンにおいても見られる。「知識人」「インテリ」あるいは「啓蒙者」と我々が呼ぶ(ドイツの社会学者カール・マンハイムが「部分的に階級に属さない層」と定義した)この社会的な範疇を、一般的に定義することはできない。ましてや、リベラル思想のなかには、「知識人」などという範疇は、全く存在しない。

というのも、「知識人」とは、その言葉からわかるように、「啓蒙化された人」、「選ばれた人」、「普通の人が知らないことを知っている人」、そして社会や政治家に対しアドバイスをする人、解決策を示す人を意味しているのである。この説明の背後にある一つの前提を見逃すことはできない。

つまり、知識人たちはアドバイスをし解決策を示すものである以上、(その背後には)学術的あるいは哲学的研究によって到達し得る建設的な知識の集成があるはずである。この知識の源から涵養された知識人たちが示す正しい道から、私たちははずれてはならない。そりゃそうだ、人生における真の導き手は知識であり、その知識を学んだ人々なのだから。そして、人々は「いやあ、参った!」と思うのだ。

さて、こういう(知識人ぶってキャンペーンをはじめるというような)行為は、ひどくケマリズムくさい、とは思わないのか?そして本質的な点でリベラリズムに反しているのではないか?


*注:トプラク教授とイルハン・ボザン、タン・モルギュル、ネディム・シェネルの3名のジャーナリストが、ボアズィチ大学術調査プロジェクトおよび社会開発研究所の協力によって実施した共同調査「トルコで、人と違うこと、そして、宗教と保守主義により他者化される人々」をさす。

*コラム中の調査結果についての関連記事
Anadolu’da ‘farklı’ olmanın bedeli 19/12/2008
http://www.radikal.com.tr/Radikal.aspx?aType=RadikalHaberDetay&ArticleID=913350&Date=24.12.2008&CategoryID=97

Ramazanda doktor raporlu yeme izni 20/12/2008
http://www.radikal.com.tr/Default.aspx?aType=RadikalDetay&Date=&ArticleID=913548

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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:15380 )