人権擁護協会、当局によって閉鎖に追い込まれる
2008年12月22日付 E'temad-e Melli 紙


【サーナーゾッラー・ベダーシュティー】昨日午後、人権擁護協会での世界人権宣言60周年記念行事に参加を予定していた人々は、協会の扉が固く閉められている状況に直面した。そしてその前には、緑と白の色をした警察車両数台、そして20名ばかりの中年男性らが立ちはだかり、訪問客らを全員北側の路地に誘導していた。

 第125ユーセフアーバード署の副署長と治安警察の隊員らは、式典が始まる1時間前、私服警官ら数名と共に協会の建物に立ち入り、協会事務所の隅々をビデオ撮影した上で、人権擁護協会に封印措置を施した。

 その場に居合わせた人権擁護協会高等監督評議会のシーリーン・エバーディー議長は、隊員らの措置について次のように詳細を明らかにした。「私服警官らが治安警察の隊員らと共に、3時に建物内に立ち入り、『革命裁判所治安予審判事の命令により、この場所(人権擁護協会)を封印することになった』と通知した上で、事務所の隅々をビデオで撮影した。彼らに書面での令状を見せるよう要求したところ、彼らは革命裁判所予審判事から《口頭で》命令されたとだけ述べた」。

 2003年にノーベル平和賞を受賞したエバーディー氏によると、その場に来ていた第125ユーセフアーバード署の副署長及び隊員らの誰一人として、今回の決定ないしは口頭での命令がいかなる理由によるものなのか、知らない様子だったという。

 今回の活動停止命令の理由について誰も知らないという状況の中、シーリーン・エバーディー氏は今回の事態に、次のように警告した。「人権擁護協会は〔罪状を記した〕書類を一切提示されることなく、封印された。それゆえ、本日から事務所の内部資料に基づいて示される容疑なるものは、〔証拠自体が不当に押収されたものである以上〕いかなるものであれ、正当性を欠くものである。私と人権擁護協会の会員たちは、いかなる証拠も〔正当と〕認めない」。

 シーリーン・エバーディー氏は、この協会事務所は個人所有によるものではなく、二つの市民団体に帰属するものだとした上で、「この協会は、私に贈られたノーベル平和賞の賞金を財源に、《人権擁護協会》及び《地雷除去のための市民参加協会》の活動のために購入されたものだ。それゆえ、〔今回の封印措置に対する〕権利回復に向けて、法に基づき司法当局に訴えを起こすつもりだ」。

 エバーディー氏は、国内当局が自らの訴えをきちんと調査することに期待を寄せつつ、「もしそうでない場合は、あらゆる国際的チャンネルを通じて、問題の解決を図るつもりだ」と述べた。

 昨日の人権擁護協会の式典では、社会・政治活動家であるタギー・ラフマーニー氏の献身的な努力に対して顕彰を行うことが予定されていた。

 治安維持軍の隊員らは昨日、〔ジャーナリストによる〕取材や写真撮影を妨害し、数名の私服警官らの協力の下、人権協会に近づくことを禁止した。隊員らは、カメラマンがもっていたカメラや取材許可証を取り上げ、昨日の勤務時間終了まで、これらを差し押さえたまま返却しようとしなかった。

 治安維持軍の隊員や私服たちがジャーナリスト、カメラマン、そして式典の招待客らを追い払っていたとき、その場にはエッザトッラー・サハービー氏〔※1〕やエブラーヒーム・ヤズディー氏〔※2〕、ハーシェム・アーガージャリー氏〔※3〕、その他女性人権活動家ら多数が居合わせていた。また、警察車両や隊員らの存在もあって、ユーセフアーバード通りの交通に一時支障が出る事態となった。

 人権擁護協会は、政治・思想の罪で投獄されている囚人たちの擁護、人権抑圧への抗議、投獄された政治活動家らの家族の支援、及びイランにおける人権抑圧に関する定期的・継続的な報告書の提出を目的に、シーリーン・エバーディー氏、アブドルファッターフ・ソルターニー氏、モハンマド・シャリーフ氏、モハンマド・アリー・ダードハーフ氏、モハンマド・セイフザーデ氏らの協力の下、結成された法人組織である。この協会の設立者らは5年前から、無料で裁判の弁護を引き受けている。

 マフムード・アフマディーネジャードが大統領に就任し、第9期政権が発足すると、当時のモスタファー・プールモハンマディー内相が描いた計画にもとづき、諸々の市民団体の設立許可が再度審査を受けた。1385年モルダード月〔2006年7〜8月〕には「イラン政党・協会活動法第10条委員会」の事務局により、人権擁護協会の活動が非合法にあたるとの判断が下されたこともあった。

 しかし当時、シーリーン・エバーディー氏やその他の同協会会員らは、自らの活動の合法性を主張し、「人権活動を行うにあたり、人権擁護協会は国際組織から公認を得ている。本協会は人権協会国際連盟に加盟している」との声明を出した。

 人権擁護協会運営理事会の委員らは昨日声明を発表し、その中で次のように表明した。「ここ2年間、国連人権特別報告者に対してイランへの入国ビザが下りないという事態が続いている。このため、多くの国際機関は〔何らかの報告を提出する際〕本協会の報告に依拠している。例えば、2008年12月に国連総会に提出し、イラン・イスラーム共和国政府に対する決議へとつながった報告書の中で、潘基文国連事務総長は人権擁護協会の報告を引用している。このような市民団体による人権活動全体が、昨日の取り締まりを誘発したようだ」。



※1:エッザトッラー・サハービー:現在の「ヴェラーヤテ・ファギーフ(法学者の監督)」体制に異議を唱える「国民=宗教派」と呼ばれる集団の代表的人物。

※2:エブラーヒーム・ヤズディー:1979年の革命に大きな役割を果たしたイラン自由運動の活動家で、大使館占拠事件までバーザルガーン暫定内閣で外相を務めた人物。

※3:ハーシェム・アーガージャリー:1980年代前半に活躍した左派急進組織「イスラーム革命聖戦士機構」の活動家。2002年に大学で「宗教指導者の言うことを盲信することは猿のやること」と発言し、一時死刑判決を受けた。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:15413 )