シリア大統領、イスラエルとの直接交渉に前向きな姿勢
2008年12月23日付 Al-Nahar 紙

■ アサド・シリア大統領、イスラエルとの直接交渉への移行を予測
■ オルメルト・イスラエル首相、エルドアン・トルコ首相とゴラン高原からの撤退に関するシリアの提案文書を議論

2008年12月23日付アル・ナハール紙(レバノン)HP1面

【AFP、ロイター、AP、MENA、UPI】

 地域レベルで活発化する外交の動きは昨日、シリアとイスラエルが間接交渉から直接交渉への移行に乗り出していることを示唆するものであった。イスラエルのエフード・オルメルト首相が間接交渉の仲介国であるトルコに到着するのと時を同じくして、シリアのバッシャール・アル=アサド大統領が、和平合意に到る直接交渉への移行を予測するという踏み込んだ立場を表明したことが注目を集めたのである。

 アサド大統領は直接交渉の日程を特定してはいないものの、2009年2月10日のイスラエル議会の前倒し総選挙の前に行われることはなさそうだ。世論調査で選挙での勝利が有力視されている右派「リクード」ブロックのベンヤミン・ネタニヤフ代表が占領下のゴラン高原からのイスラエル軍撤退に強い反対を唱えているからだ。

 現在表明されている前向きな立場が実際にシリア・イスラエル間の直接交渉開始に至った場合 、レバノン・トラックを含むその他の交渉の行方がどうなるかという問いが生じるのは当然である。また、シリア・トラックの活性化は、シリア政府とトルコ政府の関係の急速な発展を背景にしたトルコの中東地域における外交の成功を反映するものである。両国関係の発展を物語る最近の出来事は、財政と金融の2分野における経済協力の強化に関する諸合意の調印が日曜日に行われたことである。

■ アサド・シリア大統領

 シリア・アラブ通信(SANA)の報道によると、シリア訪問を昨日開始したクロアチアのスティエパン・メシッチ大統領との共同記者会見においてアサド大統領は「(シリアとイスラエルが)次の段階において直接交渉へと移行するのは自然なことである。我々は間接交渉だけで和平を実現することはできないからだ」と述べた。また、「この取り組みは建設作業に似ている。丈夫な基礎を築き、それから建物を建てるのであって、その逆ではない。我々が間接交渉で行うのは、この大きな建物のための基礎の構築である。もしこの基礎が成立すれば、直接交渉の段階が成功裏に進行し、やがて和平は自然と実現するであろう」「我々にとって、基礎とは国連安全保障理事会の諸決議の遵守である。これはシリアが強調している事であり、クロアチアを含め世界の殆どの諸国の立場である」と述べた。

 また、「中東和平プロセス におけるヨーロッパの役割を活性化することの重要性、関連する安保理決議の履行の支援、イスラエルがこれらの決議を遵守することをヨーロッパ諸国との関係強化の条件とする必要性」を強調し、ヨーロッパ諸国に対して「ガザ地区の非武装のパレスチナ人民に対する暴虐な封鎖を解除させる努力」を促した。

(後略)

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( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:15431 )