ハーメネイー最高指導者、一部のアラブ諸国の沈黙を批判
2008年12月29日付 E'temad-e Melli 紙
慈悲深く慈愛あまねき神の御名において
すべては神のものにして、神へと帰らん〔※人の死や災害に際して唱えられることば〕
ガザにおけるシオニスト体制の恐るべき犯罪行為、抑圧されし数百人もの男女・子供たちに対する大量殺戮は、過去数年間の偽りの仮面の奥からシオニストというオオカミどもの血に飢えた本性を再び白日の下にさらけ出し、「戦いによって排除されるべき異教徒」〔※「保護されるべき異教徒」の対概念〕がイスラーム共同体の大地の心臓部に居座っていることの危険を、無知・無関心を決め込む者たちに警告するものとなった。
この恐るべき事件の災禍は、全ムスリムにとってのみならず、良心と尊厳を有する世界のすべての人間にとっても、まったく耐え難いものである。しかしもっと重大な問題は、一部のアラブ諸国や自称ムスリム政府が〔今回のイスラエルによるガザ攻撃を〕積極的に認めるかのように沈黙を守っていることである。
犯罪的なシオニスト当局者どもがこの重大な悲劇への同調・同意の表れなどと厚かましくも吹聴するような行動を、殲滅されるべき異教徒略奪体制と対決し、抑圧されしガザ住民を支援する義務があるはずのムスリム政府が選択すること以上に、悲劇的なことがあろうか。
これらのムスリム諸国の指導者たちは、神の使徒〔預言者ムハンマド〕に対してどのように申し開きをするつもりだろうか。今回の悲劇を悲しんでいるに違いない自国民に対して、彼らはどのように自らの行動を説明するつもりだろうか。今日エジプト人民も、ヨルダン人民も、その他のイスラーム諸国の人民も、長きにわたる食糧・医薬品の禁輸措置の末行われた今回の殺戮に、断腸の思いを抱いているはずだ。
犯罪的なブッシュ政権は、その汚辱にまみれた政権の最後に今回の重大犯罪に手を貸したことで、アメリカという国家の名誉をこれまで以上に傷つけ、戦争犯罪人としての前科を積み重ねる結果となった。ヨーロッパ諸国も無関心を決め込み、恐らくは今回の重大な悲劇に同調することで、人権擁護という主張が偽りであったことを再度証明し、イスラームとムスリムに対する敵意を共有していることを示した。
今私がアラブ世界のウラマーや宗教指導者、そしてエジプトのアズハル神学校の指導者たちに問いたいのは、イスラームとムスリムに危険が迫っていることを感じ取るべき時期に来ているのではないか、悪を禁ずるというイスラームの義務を実行に移すべき時に来ているのではないか、〔‥‥〕ということである。
私がイスラーム世界、特にアラブ世界のメディアや知識人たちに問いたいのは、いつまで自らのメディアとしての、知識人としての責任に無関心でいるつもりなのか、ということである。果たして、西洋の諸々の人権団体や国連安全保障理事会なる組織は、これ以上ないほど恥辱にまみれているのではないか。
パレスチナのすべてのジハード戦士、イスラーム世界の全信徒には、可能なあらゆる方法を用いて、丸腰のガザの人々、女性や子どもたちを守る義務がある。シャリーアにもとづく正当かつ神聖なる防衛で命を落とす者は、みな殉教者であり、バドルの戦いやウフドの戦いで命を落とした殉教者たちに伍して、〔最後の審判の時に〕神の使徒の御前に立つであろう。
〔※「バドルの戦い」及び「ウフドの戦い」とは預言者ムハンマド率いる軍勢と、当時メッカを支配していた多神教徒との間で起きた戦いのこと。前者は624年3月頃に起き、ムハンマド軍の勝利によってムハンマドの権威が高まったきっかけとなったとされる。625年3月頃に起きた後者の戦いでは、ムハンマド軍は敗北を喫し、ムハンマドとユダヤ教徒ならびに彼が「偽善者」と呼ぶ人々との間の対立が深まったとされる〕
イスラーム諸国会議機構はこのような重大な状況下にあって、自らの歴史的な義務を果たし、慎重かつ消極的な姿勢を排して、シオニスト体制に対する統一戦線を結成すべきである。
シオニスト体制はムスリム諸国によって罰を受けねばならない。同略奪体制の指導者たちは、自らの犯罪行為、そして長きにわたる封鎖措置の罪で、個人的に裁判を受け、処罰されねばならない。ムスリム諸国民は確固たる決意をもってすれば、これを実現させることができる。この重大局面における政治関係者、ウラマー、知識人らの責務は、他の者たちよりもずっと重い。
私はガザの悲劇に際して、月曜日を公の服喪日と宣言し、この惨劇に対する自らの義務を実行に移すよう、我が国の責任者たちに呼びかける者である。
不義なす徒輩はいまに必ず思い知ることであろう、我が身がいかな運命の転変に転じ行くかを。〔※クルアーン第26章227節の引用、訳文は井筒俊彦訳から抜粋した〕
セイエド・アリー・ハーメネイー
( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:15464 )