ハマースとイスラエルの停戦協定が期限切れ、双方が警戒態勢 
2008年12月20日付 Al-Nahar 紙

■ 停戦協定が期限切れ、ハマースとイスラエルは警戒態勢
■ エジプトはラファハ通行所の閉鎖を弁明、ライス米国務長官は暴力の使用に警告

2008年12月20日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【ラーマッラー:ムハンマド・ハウワーシュ記者、諸通信社】

 ガザ地区および周辺地域におけるイスラエルとイスラーム抵抗運動「ハマース」との停戦協定は昨日期限切れを迎え、いずれの側も軍事行動を激化させてはいないが、双方とも部隊を警戒態勢に置いている。一方、パレスチナのマフムード・アッバース大統領は2009年1月20日にホワイト・ハウスを去るジョージ・ブッシュ米大統領と会談を行い、バラク・オバマ次期大統領が中東での和平努力を継続してくれることを信じている、と表明した。

■ ハマース

 停戦期限終了についてハマースの公式の反応は、同組織の軍事部門「イッズッディーン・アル=カッサーム部隊」が昨朝配信した声明において次のように述べられた。

「エジプト・アラブ共和国が仲介したパレスチナ抵抗諸組織と敵シオニストとの停戦合意は、2008年12月19日金曜日朝6時正時をもって終了する。敵シオニストは攻撃停止、封鎖解除、通行所開放、ヨルダン川西岸地区への停戦拡大などの停戦協定の条件を守らなかった。我々は占領者を監視していたが、深刻な停戦違反によりパレスチナ人20人以上が暗殺・殺害され、何十人もが負傷し拘束されたうえ、何十回もの空爆、侵攻、標的を定めた攻撃が行われた。また、敵はこの合意における根本的な課題、すなわち封鎖の終了と通行所の開放を無視した。このことについてはエジプトが証人である」

(中略)

■ ハニーヤ氏

 解任されたパレスチナ内閣のイスマーイール・ハニーヤ首相は、民族主義の諸政党やアラブ・イスラーム政党会議、その他アラブ世界中の諸運動体やレバノンのヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長が、封鎖を打破するためガザ地区のパレスチナ人を支援するようアピールを行ったことを称賛した。ハニーヤ氏は金曜礼拝の後、「こうした座り込みやデモ行進は、共同体全体がガザ地区封鎖に堪忍袋の緒を切らした証であり、封鎖と闘っているのはパレスチナ人民だけではないというい証である。これは、人民を封鎖している者全員が手を引き、封鎖を終わらせねばならないとのメッセージである」と述べた。

■ イスラエル

 他方、イスラエル軍は、「ハマースが停戦協定を更新しないと決定したことを受けて、イスラエル・ガザ境界線に駐留するイスラエル軍の部隊の待機レベルをひき上げ、兵員の休暇を取り消すことを決定した」と説明した。イスラエルの放送局は、「イスラエルはパレスチナ諸派に対し、イスラエルには停戦を終わらせる意思はないが、パレスチナ側が停戦を破れば厳しい報復を行うとのメッセージを伝えた」と報道している。

 イスラエルのロニ・バールオン財務相は、「当時ハマースとの停戦を宣言したことは誤った見識に基づいていた」との考えを表明し、「問題はスデロットの町にではなく、ガザにある。この問題については決着をつけなければならない」と述べた。

 イスラエルの各紙によると、当局筋は、「イスラエルは宣言したことを遵守し、平静には平静をもって、砲火にはより激しい砲火をもって応じる」と述べた。同紙は、ロケット弾による砲撃や学校・幼稚園に被害をもたらす攻撃などで停戦が大きく破られることがなければ、イスラエルは大規模な地上作戦に引きずり込まれることはないであろう、と述べている。

■ エジプト

 カイロではエジプト外務省のフサーム・ザキー報道官が、「今のところ我々は、過去に行ったような(停戦の)努力は要請されていない」と発表した。

 また、イスラエルに完全に支配されていない唯一のガザ地区への窓口であるラファハ通行所を通過する人や物の動きを規制していることなどエジプトの政策について弁明を行い、「ガザ地区は解放された土地だとの見解に同調することは、ガザ地区運営の負担を隣国エジプトに丸投げする目論見に同調することに等しい。これは受け入れられない。特にイスラエルにとっては、占領による行き詰まりから抜け出し、責任をエジプトに押し付ける理想的な逃げ道となる。その結果、パレスチナ問題は御破算になってしまうだろう」と述べた。

 しかし匿名希望のエジプト政府高官は、エジプトが行った停戦維持のための努力やパレスチナ内部の和解のための国民対話のお膳立てをハマースが台無しにしたのだ、とハマースを責め、「彼らが我々をこの状況に導いたのだ。我々は停戦と対話との両面で出来る限りの努力をしていた。しかし彼らが駄目にしたのだ」と語った。また、もしエジプトが境界線を開放したら、ハマースはファタハとの和解へ圧力をかけられていることを感じなくなるだろうと述べた。

■ ライス米国務長官

 ワシントンでは、コンドリーザ・ライス米国務長官は警告を発し、「イスラエルに対して暴力による威嚇をこれ以上行うことは、ガザ地区住民のためにならないどころか、ハマースが住民に押しつけてきた現在の不幸を増大させることになる。…それゆえ彼らが再び暴力を用いないようにと願う。なぜなら、それはガザの住民の助けにはならないし、パレスチナ人の助けにもならないし、パレスチナ問題の助けにもならないからである」と述べた。

 またライス長官は、イスラエルと隣り合って平和に安全に共存するパレスチナ国家を建設するという目標を実現するための作業に向けて、パレスチナ人は暴力を放棄しなければならないことを国際社会は説明してきた、と述べ、「パレスチナ人がパレスチナ国家建設という希望を実現することができる唯一の方法は交渉である。…それゆえ、国際社会とアラブ諸国はマフムード・アッバース大統領を支持しているのである」と強調した。

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:15485 )