非正規サービス業に従事する女性労働者が増加中:女性の労働市場に対する監督強化の必要性(その2)
2009年01月11日付 Jam-e Jam 紙

「非正規サービス業に従事する女性労働者が増加中:女性の労働市場に対する監督強化の必要性(その1)」のつづき

「朝も夜も仕事」

 〔‥‥〕20歳の彼女は、アーザード大学〔イランの私立大学〕の学生だ。「ファンデーション、アイライナー、マスカラ‥‥どれでも2千トマーン(約180円)よ」。彼女は市の中心にある大型店舗で働いている。「私の頼りは父ね」。

 一日に、1万トマーンから2万トマーン(900円から1800円)売り上げる。しかし一ヶ月の給料は15万トマーン(約1万3千円)に届くか届かないかだ。「職が無いより、ましよ!」大学の学費が高いので、仕方がないのである。「この店で働いてもう一年になるわ」。保険は?「その話はしないで」。

「診療所です‥‥どーぞ」

 真剣に淡々と話す彼女は、患者を気遣う余裕がない。時には患者と一緒になってムキになって話してしまう。診療所の重苦しい沈黙の中では、「対話」の余裕などないのだ。

 大卒の29歳。「しょうがないのよ。もっと良い場所があったら、私だって行くわ。だってこんな仕事をしたって、いいことなんてちっともないんですから」。月に数十万円稼ぐ診療所の医師は、彼女に保険をかけるつもりはないそうだ。

 女性はこれ以上語らなかった。電話の呼び鈴に、やる気なく間延びした声で答える。「どーぞ‥‥」。

男性の代替としての女性労働者

 多くの女性がサービス業種に進出している現状 —— 官公庁に勤める女性はそのうちの23%を占めるに過ぎず、75%以上が民間企業に勤めていると言われている —— を鑑みるならば、女性の雇用環境に対する監督と調査が必要だろう。女性たちは、販売員、秘書、簿記、倉庫管理、清掃員、タイピスト‥‥などの職種に進出している。

 教育水準が上がったにも関わらず、女性たちにはいまだ雇用機会が限られている。その一方で、特定の職種で女性たちが使われるケースが著しく増加しており、徐々にこれらの職種の「女性化」が進行している。

 雇用主は安い賃金と一時的な雇用契約によって、保険に気を配ることなく、彼女たちを単なる男性の代替としてきた。労働社会問題省と社会保障庁には、職場環境の見直しと雇用主の〔労働者への〕待遇に対する監督強化を行う義務がある。

 これに対し、労働省雇用関係管理総局のエスマーイール・ザリーフ副局長は、「労働省は男性労働者の問題だけではなく、労働法の適用を受けるあらゆる人々に対して、監督業務を行っている」と述べる。

 同副局長の主張を裏付けるように、重労働及び〔女性の身体に〕害を及ぼす可能性のある職業に女性を雇用することは禁止されており、また出産・育児休暇や育児所の設置などの特別な便宜も提供されている。

〈中略〉

 いずれにせよ、イランの労働市場における女性の立場は望ましいものとは言えず、一方では男性の労働力の代わりを務め、また他方では、保険もなければ〔正規の〕雇用契約もない中で、国が定める基準以下の賃金で働くなど、安定した雇用状況にはないというのが実情だ。この種の労働者にとって、雇用期間は明らかに短い。このことがしばしば、労働市場における混乱と「偽りの」非正規の職種の増加とをもたらしているのである。

Tweet
シェア


「非正規サービス業に従事する女性労働者が増加中(その1)」はこちら
関連記事(労働省次官「労働者の賃金は生活費のわずか46%をカバーしているに過ぎない」)

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:綿引香緒里 )
( 記事ID:15596 )