アフリカ出身のトルコ国民、オバマ大統領にメッセージ
2009年01月19日付 Zaman 紙
ムーラ県のオルタジャやダラマン、キョイジェイズ市で暮らすアフリカ出身トルコ国民の人々が、バラク・オバマ氏のアメリカ合衆国大統領選出により得た喜びを表すために集まった。オルタジャ市で『母なる大地』という名の施設で開催された親睦会において、オバマ氏のアメリカ合衆国大統領選出を祝うアフリカ出身のトルコ国民たちは、「バラク・オバマさん、あなたが大好きです。オバマさん、あなたのムーラ県訪問を心待ちにしています」と書いた横断幕を掲げた。
■「2万人のアフリカ出身トルコ国民たち…」
バラク・オバマ氏のアメリカ合衆国大統領選出を喜ぶアフリカ出身のトルコ国民たちを代表して、アナトリア通信(AA)特派員と会見したアフリカ人相互扶助親睦協会の運営委員であるアリ・カラクシュ氏は、西エーゲ海地方で暮らすアフリカ出身のトルコ国民たちを結集させるために、1年前にイズミルで協会を設立したという。ムーラ県のミラスやウラ、キョイジェイズ、オルタジャ、そしてダラマン市では約2万人のアフリカ出身のトルコ国民が暮らしているという同氏は、以下のように続けた。
「われわれの協会の目的は、トルコで暮らすアフリカ出身のトルコ国民たちの手助けをすることです。我々はアフリカ大陸出身ですが、トルコで生まれ育ったことや、トルコ国民であることを誇りに思っています。われわれの祖先は、独立戦争で敵に対し勇敢に戦ったそうです。だれでもがトルコに暮らす幸運に巡り会えるわけではありません。われわれの父は、ケニヤやソマリア、アルジェリア、スーダン、エジプトそしてリビアからアナトリアに連れて来られたそうです」
同氏によると、アフリカ出身のトルコ国民たちは、たばこや綿花農場での労働のために18世紀中頃に初めてアナトリアに連れて来られたという。されに、次のように述べた。
「アフリカ出身の第二のグループの人々は、1900年代の始めにエジプト総督だったアッバス・パシャによって経営されたダラマンの生産農場での労働のために連れて来られたということです。ダラマンでの農場が閉鎖されると、アタテュルク時代に政府がわれわれに無償で土地を与えてくれたそうです」
アリ・カラクシュ氏は、オスマン帝国の時代やその後の共和国の時代にも、アフリカから来た人々が、とても良い待遇を受けたことを強調しつつ、以下のように述べた。「奴隷貿易のルートでイギリスやフランス、オーストラリアといった国々に連れて行かれたアフリカ人たちは、彼ら自身の文化を失ってしまったそうです。(しかし)ひとつの場所にかたまって生活したために、トルコのアフリカ人たちは自身の文化を守りました」
■「オバマ氏をムーラ県に招待します」
バラク・オバマ氏のアメリカ合衆国大統領選出がトルコで暮らすアフリカ人たちを歓喜させたと述べるアリ・カラクシュ氏は、以下のように話した。
「アフリカ出身である人がアメリカ合衆国大統領に選ばれたことに歓喜しました。オバマ氏が世界に平和と安定をもたらすことを心から望んでいます。オバマ氏が仕事を始めるのと共に、世界の異なる場所で暮らす貧しい人々に対する、アメリカの見方が変わることを望んでいます。(また)トルコがオバマ氏のつくる政府と友好的な関係を築くことを信じています。トルコで暮らすアフリカ出身のトルコ人たちは、オバマ氏のトルコ訪問を心待ちにしています。大統領宣誓式典の後、オバマ氏をムーラ県に招待します。オバマ氏がムーラ県にお越しになったら羊を屠って歓迎します」
■アナトリアにおけるアフリカ人たちのドキュメンタリーが作成された
アフリカ人相互扶助親睦協会のムスタファ・アルパク理事長は、AA特派員に電話で行った会見において、一族の物語をテーマにした『奴隷身分から自由へ、アラブ人女性ケマレ』という題の著書が、トルコ・テレビ・ラジオ協会(TRT)のイズミル地域局により、『アラブ人の少女が窓から眺めている』という題名でドキュメンタリーとして撮影され、そして2007年に放映されたと語った。「撮影は、アイヴァルクやイズミル、そしてクレタ島で行われました。トルコで初めて撮られたこのドキュメンタリーは、TRTの執り成しにより国外にも送られました。アナトリアで暮らすアフリカ人たちが受けた素晴らしい待遇が、あらゆる外国のテレビでも放映されたのです」
また同氏は、オバマ氏のアメリカ合衆国大統領選出が、トルコで暮らすアフリカ出身者たちをとても喜ばせたことを強調し、「われわれの心からの願いは、一人の黒人が世界に平和と安定をもたらすことです。オバマ氏の選出を喜ばない黒人なんて一人も考えられません」と言葉を続けた。
■「私がトルコ語を話すのを見た観光客たちは驚く」
オルタジャのあるホテルでパーティー係として働くアフリカ出身のギュルカン・ガルグンさんは、ホテルにバカンスにやって来る観光客たちが、彼がトルコ語を話しているのを見ると驚くといい、このように話した。「オバマ氏がより穏健で、より暖かい人物であることを信じています。特に世界で起きている戦争の終結のために、オバマ氏が前向きな一歩を踏み出してくれると信じています」
アフリカ出身のトルコ国民であるファトマ・デミルさんや、ギュライ・バルジュさんもムーラ県一帯特有の家で育ったといい、自身の伝統や文化を保存するために努めているという。そして、トルコもムーラ県のことをとても好きだと語った。
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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:15610 )