コラム:クウェイト・サミットの展望
2009年01月19日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ クウェイト・サミット、成功のチャンスは限られている
■ クドゥスの見方
2009年01月19日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HPコラム面
「穏健派」アラブ諸国はクウェイト経済サミットに多くを賭けているが、このサミットは成功するよりも失敗する可能性のほうが大きい。用意が不十分としてドーハ緊急サミットに反対したエジプトのアブルゲイト外相の言葉を借りれば、こちらは用意は十分であるにもかかわらず、そのドーハ・サミットのために今度の経済サミットは台無しにされるだろう。
正確には、クウェイト・サミットは、ドーハ・サミットのために駄目になるのではなく、ドーハ開催を呼びかけた各種サミット、その支持者たち、その成功を望みそれを公式なアラブ共同企画の源にした国、つまりサウジとエジプトなどのために潰れるだろう。
サウジは、ドーハの一日前に、湾岸諸国の立場調整のためとしてリヤドでサミットを開くよう呼びかけ、それによって過去5日間同地域を席巻したアラブ・サミット戦争に参入することになった。「調整」は部分的にしか行われず湾岸諸国の間には拡大が見越される亀裂が入った。オマーンのカーブース国王は欠席した。カタルは、ドーハ緊急サミットの即時開催を主張し、そこにイラン、トルコ、インドネシア等のイスラム諸国を呼び、バッシャール・アサド・シリア大統領に演壇を提供して彼の人気を高めるきっかけを与えたため、結果としてサウジ・カタル和解の可能性を潰してしまった。
イラン大統領をドーハへ呼ぶことが、イランを第一の敵とするサウジのような湾岸国、あるいはアラブ首長国連邦を怒らせることは確実である。後者は湾岸で幾つかの島を占領されているため、イランへの敵意においてはサウジに優るとも劣らない。ドーハへのイラン大統領招聘が他の湾岸諸国によるサミット・ボイコットをもたらしたのだろう。カタル政府がパレスチナ抵抗各派(ハーリド・マシュアル、ラマダーン・アブドッラー・シャルハ、アフマド・ジブリール)を呼んだためパレスチナ大統領が参加を拒否したのと同じ事である。
クウェイト・サミットへの打撃のその二は、ガザでの停戦、イスラエル侵攻により破壊されたものの再建復興を旗印に、性急にシャルムッシェイク・サミットを開きアラブ欧州諸国を集めたエジプトによりもたらされる。穏健派諸国政府があてにしているクウェイト・サミットの政治部門は、既にリヤド、ドーハ、シャルムッシェイクに侵食されている。今次サミットの顕著な成果となるはずだったガザ再建基金も、既にシャルムッシェイクで「国際化」され、ドーハでその設立が決定されたものである。
現下のアラブ分裂状況においては、このサミットは反目する各勢力の言葉の応酬の場となりかねない。双方のメディア戦争、アラブ各方面、特にレバノンで、ますます激しく対立する情勢の中、バッシャール・アサドと、サウジ国王あるいはエジプト大統領が、アラブ情勢について、そしてガザ危機について、どのように協議できるというのか?
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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:15611 )