情報省、アメリカによる「ソフトな」体制転覆計画の全容を明かす
2009年01月20日付 E'temad-e Melli 紙

【政治部】イラン情報省高官は昨日、約2週間前から治安・司法当局者らによって明らかにされてきた、アメリカがイランで画策している「ソフトな体制転覆」計画の最新情報について、詳しい説明を行った。

 情報省スパイ対策局長は昨日開かれた記者会見で、アメリカがアラブ首長国連邦、バクー、トルコ、クウェート、その他の国々に諜報員らを配置し、イランにおいて「ソフトな体制転覆」論を画策していることを明らかにした。

 この情報省当局者はまた、アメリカが「リガ」計画に類似した作戦を実行しようとしていることも指摘した。「リガ」計画とは、旧ソ連邦に対してアメリカが仕掛けた体制転覆計画のことである。

 同局長は、「ソフトな体制転覆」論とは最近になってドバイで再び活発化の様相を見せているアメリカによる情報作戦の一種であるとの見方を示し、アメリカは社会の各層、なかでも知識人や専門家らへの浸透を図っていると指摘した。「アメリカの諜報組織は、『民間外交』、『文化学術交流』、『共同研究作業』、『人と人とのつながり』、『医学上の経験の伝達』などの看板を掲げ、米国務省がもつさまざまなツールを用いて、『ソフトな体制転覆』論を画策している」。

 「アメリカは社会で影響力を持つ人々へのPRを通じて、〔「オレンジ」革命、「バラ」革命などの〕『カラー革命』の再現を画策してきたが、イランでは実行することができず、失敗に終わってきた」。

 同局長はその上で、この問題で憎むべきは、アメリカが「研究機関」や「慈善団体」といった看板を用いて、自らの諜報活動を隠蔽しようとしていることだと指摘した。

 情報省スパイ対策局長は、アメリカがイランで画策している「ソフトな体制転覆」計画に関連して、「残念なのは、この計画で一部の同胞がアメリカ諜報活動の策略の罠にかかり、これまでに司法によって4名が摘発を受けたことだ」と述べ、「この組織には数十名が関与しており、〔我が国の〕情報システムによって彼らの摘発が行われた」と続けた。

 同局長によると、司法が逮捕した4名は「ソフトな転覆」論を実践する末端組織の構成員・幹部たちで、彼らは意図的かつ故意に中東地域に駐在するアメリカの諜報員らと協力関係を結び、敵の思惑に沿って行動していたという。

 同局長は逮捕された4人のうち2人は、アーラシュ・アラーイーとカームヤール・アラーイーの「アラーイー兄弟」であることを明かした。このグループは〔秘密の漏洩といった〕情報違反を犯しただけでなく、道徳的・金銭的問題も抱えており、さらに医療機器をも悪用していたという。「路上デモを行ったり、民族問題に関与したりするなど、社会に危険な状態を作り出すことが、この組織の目的の一つだった」。
〔※訳注:アラーイー兄弟はエイズ撲滅運動に活躍する医師で、体制転覆のための訓練を受けさせる目的で希望者を海外に送り出していた罪で、2008年6月に逮捕されていた。一審でそれぞれに6年と3年の禁固刑が言い渡されたという〕

 同局長はまた、アメリカは依然として秘密作戦を画策していると指摘した上で、次のように述べた。「このことに関し、大学教授や医師、宗教指導者、スポーツ選手、芸術家、裁判官といった知識人やその他社会の各層に対して、接触が行われてきた。最後のケース〔=裁判官〕に関しては、予想外であった」。

 「末端組織の幹部たちはイラン国内に居住していた。彼らは我が国の国籍をもち、これらの〔知識階層の〕人々と関係を作っては、1週間ないしは1ヶ月間のアメリカ訪問に誘うなどしていた」。

 同局長の説明によれば、これらの人々が誘いに応じると面接が行われ、それをパスすると、例外的な扱いでアメリカのビザがアラブ首長国連邦で発給され、10人から15人が一組になってアメリカに派遣されたとのことだ。

 このアメリカに派遣された10人から15人のグループに対しては、同地でいわゆる「学術的な」会合やミーティングが用意され、アメリカこそ唯一の解放者などと吹聴して、アメリカ滞在中、思想的な影響を及ぼすことが試みられたという。

 さらに同局長によれば、これらに人々はイランに帰国後、政府に対する態度を変更するよう〔周りの人々に〕圧力を加えることを求められたという。また、「政府と国民の間に亀裂を生じさせること」及び「政府の国民的基盤の弱体化」が、「ソフトな体制転覆」論の設計者たちの狙いの一つだったともされる。「これらの訪問で、アメリカに派遣された人々はイランの現状を分析するよう求められていた。それを通じて、彼ら〔=アメリカの諜報員たち〕は情報収集に励んでいた」。

〔中略〕

3200万ドルが「ソフトな体制転覆」組織のために使われていた

 情報省スパイ対策局長によると、アメリカは対イラン工作のために可決した7500万ドルのうち、3200万ドルを「ソフトな体制転覆」を企てる組織のために費やしてきたという。同局長は次のように強調する。「残りの額をアメリカがどこで使っているのか、われわれはすでに把握している」。

 同局長は、ソロス財団で企てられたのと同じようなものが、今回の問題にも看取されるとして、「アイルガス」〔?〕や「ウッドロー・ウィルソン」といった慈善団体が今回の計画でアメリカの協力を行っていたと指摘した。

 同局長はまた、ウィリアム・バーンズ〔米国務次官〕やゴリー・アーメリー〔教育・文化担当国務次官補、イラン系アメリカ人外交官〕、ラーミーン・アスギャル〔駐ドバイ・アメリカ領事館イラン担当責任者〕、その他中東地域に駐在するアメリカ諜報機関の諜報員らが、この計画で直接の役割を担い、彼ら〔=アメリカの慈善団体〕を「サポート」していたことも明らかにした。同局長によれば、彼らはアメリカを訪問した人々に末端組織の構成員として働き、今後のアメリカ訪問の候補者を組織に接続させるよう求めていたという。

〔後略〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:15661 )