アフマディーネジャード大統領「アメリカはイランに謝罪して過去の償いをすべき」
2009年01月29日付 Jam-e Jam 紙


【政治部】イラン大統領は「われわれは《チェンジ》を歓迎する」と強調した上で、「アメリカにチェンジをもたらそうというのであれば、まずイラン国民に対して謝罪し、われわれに対する自らの犯罪行為の償いをしなければならない」と語った。

 ファールス通信の報道によると、地方訪問の一環としてケルマーンシャー州を訪れたマフムード・アフマディーネジャード大統領は、同州の市民を前にバラク・オバマ氏が米大統領に正式に就任したことに触れ、次のように述べた。「米新大統領は《チェンジ》をスローガンに掲げて、大統領に就任した。しかし《チェンジ》は根本的なもの、正しい方向に向かうものでなければならない。そうではなく、ブッシュ氏と同じ侵略主義的なレトリック・精神でイラン国民に話しかけるのであれば、イラン国民の回答はこれまでとまったく変わらないということを、世界は知ることになるだろう」。

 「彼らは、イランに関して計画を練っているところだと言っている。われわれもそれを待って、彼らの話を正確に聞こうではないか。彼らの行動をじっくりと検討しようではないか。もし根本的な変化が起きたのであれば、それを歓迎しようではないか」。

 アフマディーネジャードはこのように述べ、アメリカの政策を「チェンジ」しようというのは大変結構なスローガンだとした上で、次のように指摘した。「《チェンジ》とは実に結構なことばだ。ブッシュ氏の政策は反人道的・反倫理的で、神の預言者たちの教えに背くものであったからだ。彼の政策は、過去50年間世界で見られた政策の中でも、もっとも汚れたものだった」。

 さらに次のように付け加えた。「ブッシュは犯罪行為や人殺し、人間性への裏切りに満ちた、極めて邪悪かつ不名誉な業績をひっさげて、歴史の掃きだめに加わった。彼の薄汚れた業績ファイルの最後の一枚は、シオニストどものガザでの犯罪行為を支持したことで締めくくられている。ご存知の通り、〔シオニストたちは〕無防備な市民を禁じられた各種大量殺戮兵器で虐殺した。ブッシュは恥知らずにも、これを支持した」。

 アフマディーネジャード大統領は、アメリカの政策の変化には二つの形態がありうると指摘した上で、「一つは根本的、根源的な変化だ。そしてもう一つは、戦術的な変化、政治的なレトリックや手段としての変化だ」と述べ、もし「チェンジ」ということばでアメリカが意図しているのが後者であるならば、そのことは早晩露呈し、諸国民はこれに対して〔毅然とした〕姿勢を示すだろうと語った。

 「ブッシュとその協力者たちが抱える最も重大な問題の一つに、彼らが人間の社会に対して抱いていた特殊な見方がある。彼らは他者を支配し、優越感に浸ろうとした。人々と話すときの彼らの態度は傲慢で、要求がましいものだった」。

 大統領は続ける。「もしこのやり方を変えるというのであれば、アメリカ政府は覇権主義を放棄しなければならない。諸国民に対して無礼な物言いは止めなければならない。真の《チェンジ》とは、諸国民に対して敬意をもった言い方で話しかけること、謙虚な態度で話しかけることである。もしそうでなく、新しいレトリックを用いるだけで、依然として傲慢な態度で話しかけるのであれば、《チェンジ》が起きたとはまったく言えない」。

 大統領は続けて、アメリカが即刻改めるべき行動について、次のように指摘した。「アメリカの過ちの一つは、軍を他国に駐留させていることである。戦争はつねに、米軍の介入・関与に起因している。もし政策を変更したいのであれば、軍を自らの領土に引き返すべきだ」。

 大統領は、アメリカに派兵を頼んだ者などどこにもいないと述べ、さらに「9.11の真相は一向に明らかになっていない。まるでホロコーストのようだ。彼らは事件の真相究明を許そうとせず、9.11を口実にイラクやアフガニスタンを攻撃し、数百万人の人間を殺し、あるいは流浪の民とした」と指摘、その上で「もし政策を変更したいと考えているのであれば、9.11の原因が何であったのか、真相究明作業を認めなければならない」と語った。

 アフマディーネジャード大統領はさらに米政権に向けて、「アフガニスタンでは、あなた方の銃剣の下で麻薬製造が数倍にまで拡大している。あなた方がもし政策を変更したいのであれば、麻薬製造を阻止すべきだ。アフガニスタン政府に権限を委譲すべきだ」とたたみかけた。

 大統領は続けて、「ブッシュは他人の問題に干渉するのがクセになってしまい、パキスタン、イラン、スーダン、サウジアラビアにあれをしろ、いやするなとクビを突っ込んできた。《チェンジ》とは、干渉しないことである。彼らに一体何の関係があって、諸国民の問題に干渉しようとするのか」と述べた。

 「ブッシュは無条件・無節操に犯罪的なシオニストどもを支持し、パレスチナ国民の権利をまったく顧みなかった。政策の《チェンジ》とは、すなわち子供殺しのシオニストども、文化をもたぬ犯罪者のシオニストどもから手を引き、パレスチナ国民に自決の権利を認めることである」。

 さらに続けて、「ブッシュは米市民を愚弄し、彼らの電話を盗聴し、彼らの意見に耳を傾けもせず、やりたい放題だった。もし政策の《チェンジ》を語るのであれば、米市民に対する圧迫を止め、米市民が自らの運命を自由に決めることができるようにするべきだ」とも述べた。

 大統領はさらに、アメリカの歴代政権が過去60年にわたってイラン国民に敵対し続けたことを指摘し、次のように語った。「1332年〔西暦1953年〕、〔アメリカは〕クーデターによってイランの国民政府を転覆し、傀儡政権を作り上げた〔※1〕。われわれの石油・富を略奪し、われわれの文化を破壊した。代わりにわれわれに与えられたのは、SAVAK〔国家安全情報庁:シャー体制下の秘密警察〕という名の悪魔的な治安部隊であった。彼らは一般市民やわれわれの指導者たちを投獄し、拷問した。彼らはアメリカの支援を受けていた。彼らは25年にわたり、我が国民に貧困と不幸と無知を押しつけた。彼らは42年ホルダード月15日〔西暦1963年6月5日〕、1万5千人ものイラン国民を殺した〔※2〕。アメリカはこのような圧制を支持したが、自由と独立を希求するイラン国民の革命には敵対した」。

 アフマディーネジャード大統領はその上で、次のように締めくくった。「イスラーム革命の勝利から今日に至るまで、彼ら〔アメリカの歴代政権〕はいずれもイラン国民と敵対した。大使館をスパイの住処とし、クーデターを企て、タバスを攻撃し〔※3〕、テロリストを支援した。我が国民に対する戦争で、サッダームを支持した。われわれの旅客機を撃墜した〔※4〕。彼らは数百もの犯罪行為をイラン国民に対して行ってきた。核問題でも、恥知らずにもイラン国民の前に立ちはだかり、自分は核爆弾を保有しているにもかかわらず、〔イランが平和的核技術を獲得することに〕《懸念》を表明している」。



訳注
※1:石油国有化運動を進めたモサッデグ政権が、CIAの工作によるクーデターで転覆させられたことを指す。なおイスラーム共和国体制からは、モサッデグは「反イスラーム的」で「リベラル」であるとして高い評価を受けていない(例えば、当時外相を務め、クーデターの後処刑されたホセイン・ファテミーを記念する「ファーテミー通り」はあるが、「モサッデグ通り」は存在しない)が、アフマディーネジャードはしばしばモサッデグの「石油国有化運動」と「イランによる核技術の獲得」とを重ね合わせている。

※2:シャーの「白色革命」に抗議したホメイニーが逮捕されたことに端を発して、ゴムの神学校やテヘランのバーザールを中心に、国内各地で反政府暴動が起き、軍によって鎮圧された事件を指す。この事件をきっかけにホメイニーは一躍反体制運動の闘士として脚光を浴び、1979年の革命に結びついていったことから、同事件は「革命のリハーサル」と呼ばれている。なお、アフマディーネジャードがいう1万5千人という犠牲者の数はかなり誇張されていると思われるが、ゴムからテヘランに向かうデモ隊が空軍の飛行機から機銃掃射にあったとも言われ、一説では数千人が死亡したとされる。

※3:タバスは、イラン中央部ヤズド州の町の名前。「タバスへの攻撃」とは、米大使館占拠事件で当時の米カーター政権が米大使館員人質救出のために、1980年4月にタバスにヘリコプターや輸送機で特殊部隊を派遣した、いわゆる「鷲の爪」作戦を指す。

※4:イラン・イラク戦争停戦直前の1988年7月に、ペルシア湾を航行していた米イージス艦によってイラン旅客機が「誤って」撃墜された事件を指す。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:15726 )