İLHAN SELÇUK コラム: アイドゥン・ドアン氏を弁護する
2009年02月20日付 Cumhuriyet 紙

どんなことでも想像できたと思うが、アイドゥン・ドアン氏をこのコラムで弁護することになるとは思いもよらなかった…。
何故か?
何故なら、ドアン・グループに属する新聞各社にコラムをもつ、不誠実なコラムニストたちは、今日でさえジュムフリイェト紙や私個人を攻撃する機会を逃さないからだ。
しかし、それは重要なことではない…。

加えてアイドゥン・ドアン氏は、我が国の最大手メディアのボスだ…。
このような人を弁護してよいのか?
答え:
もし、イスラム主義ファシズム政権の攻撃の的になっているのであれば、弁護してよいのだ。

*

昔からこの国で物事の裏と表に通じている人たちは予想していたことだ…
全員が耳を澄ましていた。

「今に手が打たれるだろう」
「攻撃している」
「ああ、やってしまった」

どのようにやったのか?
ドアン・グループに8億2600万トルコリラもの金額の罰金が課せられた。
過去の罰金記録が更新された。
では、これで終わり、ということになるだろうか?
いいえ、これは始まりなのだ…

*

ファシズム、もしくは特別な言い方をするとナチズムは、ドイツに如何にして台頭したのか?
1928年にヒットラーは議会に12名の議員を出した。
1930年に107名になり、
1932年に196名になり、
1933年に288名になった。
ヒトラーの体制は地面から天井へ這い上がるように組織された。
当時のマスメディアの世界である新聞や映画やラジオ(テレビはなかった)が手中におさめられ、女性や若者がドイツファシズムの成立に積極的な役割を果たした。
歴史は、時に下方から上方へとゲームを展開する。

*

トルコにおけるイスラム主義ファシズムは、地面から天井へと、傍からは民主的なプロセスに見えながら、実は宗教主義的ナチズムの内容で構築されつつある。
スカーフ派の主導は偶然ではない。
我が国で「穏健イスラム国家」というブランドが帝国主義によって開発されたことは、トルコで展開されているゲームが国際的な内容をもつことを強調している。

*

実業家は、まず何よりも自分のビジネスの責任を考える。会社、組織、自社の経営管理機構、従業員、貸付、負債等があるわけだ。メディア業界に進出すれば、ジャーナリズムが必要とするものを最終的には充たさなければならない。

国家と争うこと、政治権力との葛藤、政府との対立は、正常な実業家の辞書には載っていないはずだ。
だが、今回は事情が違うようだ。
世俗派の実業家が、どれだけ政権とコンセンサスを得ようとしても無駄だ。

ファシズムは昔、ヨーロッパで自らの権力を創出する資本を形成していた。今日、トルコにおけるイスラム主義ファシズムも、独自の資本形成を実現しなければならない。

メディアの資本領域においても、コンセンサスはありえない。

サバフ・グループは上からの介入によってトゥルガイ・ジネル氏の手から奪われた。

アクシャム・グループのメフメト・カラメフメト代表は、エルゲネコン捜査の検事から尋問を受けた。

アイドゥン・ドアン氏は、直接的に宗教主義政権の的となってしまった。

*

公正発展党は、宗教主義ファシズムを徐々に実現することを確実に行っていくと思われる。
アイドゥン・ドアン氏への何億リラもの罰金は、この目的のための意図的なメディア介入である。

昔、このコラムで労働者の権利を弁護していた私が、「労働者」という概念に代わり、「教団の信者」という概念が台頭するにつれて、宗教主義ファシズムと対立し、政教分離を求めるメディアのボスを弁護せざるをえなくなった。

神よ、アタテュルクのトルコにとってこれは何たる堕落だろう!

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( 翻訳者:イナン・オネル )
( 記事ID:15837 )