不仲のアッバース大統領とアル=ジャジーラTVが対話するも和解には到らず
2009年02月21日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ サーイブ・ウライカート氏の仲介により、ドーハでアル=ジャジーラ幹部と白熱した対話
■ アル=ジャジーラTV局とパレスチナのアッバース大統領、「率直な意見交換」の会合を開くも「和解」実現には失敗

2009年02月21日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ラーマッラー:本紙】

 アル=ジャジーラTV局とパレスチナのマフムード・アッバース大統領の関係は当初から良好でなかったが、過去2年間に増々悪化した。アッバース大統領がアル=ジャジーラTVをハマースに偏向していると非難し、ラーマッラーにある大統領府への出入りを禁じたためである。またアッバース大統領は、同TVを「揉め事屋のジャジーラ」と表現する声明をファタハの所属部門から出させるよう指示したと伝えられている。

 アッバース大統領は水曜日の夕方ドーハを訪れ、翌日カタール首長と会談を行った。アッバース大統領にとってドーハは馴染みのない土地ではない。長い期間をドーハの学校教師として過ごし、彼の子供たち数人もドーハで暮らした。特に貿易に従事した長男のマーゼンはドーハでの暮らしが長かったが、数年前に死去している。

 今回の訪問でアッバース大統領に随行したパレスチナ自治政府のサーイブ・ウライカート和平交渉局長に対し、アル=ジャジーラTVは自局の番組『今日の収穫』のゲストとしてパレスチナ内部対話の再開やその他の諸問題についてコメントしてほしいと要請した。ウライカート氏がアル=ジャジーラTVのワッダーフ・ハンファル総局長に、アル=ジャジーラとアッバース大統領との「和解」と「率直な意見交換」の会合を整えるよう提案したところ、ハンファル総局長は即座にこのアイデアを歓迎する意向を示した。こうした段取りを踏まえ、アル=ジャジーラはハンファル総局長、アフマド・アル=シャイフ編集長、ムハンマド・クレシャンなど番組司会者数人から成る一行でパレスチナ大統領の滞在場所へ向かった。

 会合はホテル内の大統領のラウンジで1時間以上続き、大統領の息子の1人も同席したが、アッバース大統領はほとんどの間「しかめっ面」で、最初からアル=ジャジーラを攻撃し、ムスリム同胞団やハマースに偏向していると非難した。

 それは正しくない、とハンファル総局長が反論し、イスラエルによる残虐なガザ地区攻撃が続いた3週間にわたって同局が自治政府やファタハの関係者のインタビューを記者会見など以外に59本も放映したことを挙げた。

 アッバース大統領はイスラエルによるガザ地区攻撃の際にアル=ジャジーラが感謝すべき多大な尽力を行ったことは認めたが、概して見れば、[※ハマースの治安部隊に]「膝を撃ち抜かれた」ファタハ のメンバーらのことをアル=ジャジーラは伝えなかった、と主張した。これにはアフマド・アル=シャイフ編集長が反論し、同局はこの行為に関して1度ならず報道し、番組『ニュースの裏側』のある回ではまさにこのテーマを取り上げた、と説明した。

 アッバース大統領は3度、4度と非難を展開し、「あなたがたアル=ジャジーラの人たちはガザ地区のハマース政府に正当性を認めており、同政府のことを『解任された政府』と言っていない」と述べた。これに対してハンファル総局長は、その表現を「考案」し最初に使ったのがアル=ジャジーラであり、自治政府に所属するパレスチナの公営テレビ局よりも前から使っている、と反論した。

 シャイフ編集長もアッバース大統領に対し、「あなたはアル=ジャジーラの番組を見ていないようだ」と言うと、自分は実際見ていないとアッバース大統領は返答し、アル=ジャジーラのインタビューに応じることは一切拒否すると述べた。シャイフ氏は、「それではあなたの出演が得られる他のTV局を祝福しましょう」と言い返した。

 アル=ジャジーラで有名な番組司会者であるムハンマド・クレシャンは対話の視野を広げようとして穏やかな口調でアッバース大統領に対し、「故ヤーセル・アラファート大統領はパレスチナに関して開催される会合の全てに参加していたが、あなたはドーハ首脳会議がたとえ一部のアラブ首脳による会議だったにせよ、どうしてボイコットできるのか」と問うたが、アッバース大統領は沈黙を守り、返答を拒否した。

 別のアル=ジャジーラのスタッフはハマース指導部、具体的にはハーリド・マシュアル氏やムーサー・アブー・マルズーク氏などに言及し、アッバース大統領が彼らとの会談を拒否する理由について尋ねると、アッバース大統領は神経質に「私は彼らとは会わない」と述べ、それについてはサーイブ・ウライカート氏らに任せると述べた。その場に居合わせた人々の理解したところでは、それは「[ハマース幹部らは]自分と同等の身分ではない」という意味にとれた。

 この会合の第1の目的である「率直な意見交換」は実現し、率直な会合となり、双方は互いの見解や批判点を認識したが、第2の目的である「和解」は実現せず、アッバース大統領は頑固にアル=ジャジーラをボイコットし続け、個別の面談に応じることは拒否し、ラーマッラーの大統領府(通称:ムカータア)への出入り禁止も解除しようとはしなかった。

 ハンファル氏は局の同僚に対し、この会合で少なくとも「氷を割る」ことには成功し、次の訪問時を待っている、それはおそらく次のドーハ首脳会議の際であろう、と打ち明けた。

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:15945 )