選挙をめぐり改革派戦線内で亀裂生じる:キャルバースチー、キャッルービー選挙対策本部長に就任か
2009年03月01日付 Jam-e Jam 紙
【政治部】「建設の奉仕者党」のゴラーム・ホセイン・キャルバースチー総書記〔元テヘラン市長〕がメフディー・キャッルービー選挙対策本部長に任命されたことで、改革派内の新たな亀裂が決定的となった。
ホルダード月二日派〔=改革派〕は、セイエド・モハンマド・ハータミーが改革派で二番目の人物として大統領選への出馬を正式に表明して以降、候補者の一本化で問題にぶち当たってきたが、今度は改革派を構成する様々な集団の内部で亀裂が生じるという事態に直面している。彼らが完璧な結束を手にするための道のりは、極めて困難なものとなっているのだ。
なかでも、連帯党や建設の奉仕者党といった政党では、党が二つに分裂する事態が生じている。両党では、ハータミーを自らの推す大統領候補とみなすグループと、キャッルービーの選挙対策本部で活動することを決意したグループの二つが存在している。
連帯党はハータミーを支持するか、キャッルービーを支持するかで党の分裂を露わにした最初の政治集団であった。連帯党最高評議会議長のモハンマド・レザー・ラーフチャマニーは、キャッルービーが立候補を表明した当初より、キャッルービー支持者の列に加わった人物だ。
その一方で、連帯党総書記のアリー・アスガル・アフマディーは、連帯党の方針としてセイエド・モハンマド・ハータミーの出馬を支持する旨を表明している。アフマディーはイラン学生通信とのインタビューの中で、キャッルービーの立候補表明に触れつつ、「われわれはキャッルービー師を尊敬しているが、さまざまな特長や人気といった点を考慮するならば、われわれとしてはハータミー師を推したいと考えている」と語っている。
他方、アーヤトッラー・アクバル・ハーシェミー=ラフサンジャーニーに近い「建設の奉仕者党」は、中央評議会の決定により、第10期大統領選ではセイエド・モハンマド・ハータミーの出馬を支持することになっている。しかし同党のゴラーム・ホセイン・キャルバースチー総書記は、党の決定に反して、キャッルービー国民信頼党総書記の選挙対策本部長を務めることになった。
ハータミー支持をめぐる建設の奉仕者党の党内対立は、キャルバースチーのキャッルービー選挙対策本部長就任で露わになった形だが、しかしこの対立はしばらく前から存在してきたものだ。実際、キャルバースチーはハータミーの大統領時代の実績、さらには大統領から退いた後の活動に対して、以前から批判の声を上げていたのである。
キャルバースチーはハータミーが大統領選への出馬をためらっていた頃から、〔国民信頼党の機関紙である〕エッテマーデ・メッリー紙とのインタビューの中で、ハータミーについて次のように述べていた。「国民に対して明瞭かつ誠実であることが、自身のカリスマ作りに精を出すことよりも大切なことであるように思える。自ら創作したカリスマで魅了するよりも、国民にきちんとした約束や特定のプランを提示することが重要なのではないか」。
同氏はまた、改革派政権時代には9日に一度危機的状況が政権を襲ったと一部で言われていることに触れて、「〔ハータミーに向けて〕あなたはもう一度立候補を試みているが、果たして状況は今や変わってしまったのではないか。それともあなた自身も変わったということか。よもやかつてと同じやり方を繰り返すおつもりか」と皮肉っている。
このような批判に加え、キャルバースチーのハータミーに対する最大の不満は、ハータミーが選挙への出馬に関して大いなる逡巡を繰り返したことにある。例えば、キャルバースチーは先のインタビューの中で、今日の世界で支配的な近代的な政治の手法について指摘した上で、次のように述べている。「何ヶ月間も誰が出馬する、しないをめぐって議論ばかり〔‥‥〕するような政治など、いまどきどこにあるというのか。自分以外の候補者を見下し、人々を宙ぶらりんなままにしておくようなことは、いかなる人間的・政治的原則にももとるものである。ハータミー師のこのようなやり方は、同師の性格によるのかもしれないが、いずれにせよ政治的には批判されるべきものであり、近代的な政治手法に適うものではない」。
このような批判の末、次期大統領選でハータミー支持を決めた建設の奉仕者党の方針に背く形で、同党総書記のキャルバースチーはキャッルービー選挙対策本部で活動をし、その本部長を務めることになったというわけだ。
この問題に対し、建設の奉仕者党の党員からは、さまざまな反応が示されている。同党中央評議会委員のヘダーヤト・アーガーイーは、このことについて次のように述べている。「建設の奉仕者党は多数決が重視されているのであって、キャルバースチーの票が重視されているわけではない。党内での彼の票は、他の党員の票と同じ価値をもっているに過ぎない」。
彼はイラン国営通信とのインタビューの中でさらに、「キャルバースチーには、党規則を守る義務がある。キャッルービー選挙対策本部長の職が、自身の行動に影響を与えるものであってはならない」とも指摘している。
これに対しキャルバースチーは、建設の奉仕者党がハータミー支持に固執するならば総書記の地位を退くことも辞さないとの考えを示し、党に対して揺さぶりをかけたとも伝えられている。
しかしキャルバースチーの造反は、建設の奉仕者党内の亀裂を示す唯一の例などではない。同党はハーシェミー=ラフサンジャーニーに近い政党であることを考えれば、同師に近い人物、例えばハサン・ロウハーニー〔元国家安全保障最高評議会書記〕が立候補を表明した場合、党内の一部が同師支持に回ることも決してあり得ない話ではないのだ。実際、建設の奉仕者党中央評議会委員のモハンマド・ハーシェミー〔元イラン国営放送総裁、現公益判別評議会委員、ハーシェミー=ラフサンジャーニーの弟〕もこれまで数回にわたり、第10期大統領選に独自に立候補する可能性についてにおわせる発言を行っている。
このことに関し、国会のパルヴィーズ・サルヴァリー議員は建設の奉仕者党内の対立の原因について、同党を構成する党員たちが党の目標を中心に動いているというよりはむしろ、人物中心で動いていることを指摘している。
同議員はジャーメ・ジャムとのインタビューの中で、建設の奉仕者党は特定の基盤の上に形成された集団などではないと述べ、次のように指摘している。「党内のさまざまな人物が相異なる理念をもって活動しているため、選挙があるといつも党内対立が露見してしまう。もちろん、党執行部はつねに、この対立を何とかコントロールし、〔執行部の〕外部に対立が伝染するのを防ごうとしている」。
同議員はまた、建設の奉仕者党内の亀裂については別の仮説を立てることも可能だとしている。建設の奉仕者党は改革派から出馬した候補者のうちの誰が勝利を収めても、次期政権に加わるチャンスを得られるようにしているのではないか、という仮説だ。
「建設の奉仕者党の幹部たちは、第10政権で党としての取り分を確保するために、いくつかに別れておく必要があると考えているのかもしれない。そうすればハータミー、あるいはキャッルービー、はたまたミール・ホセイン・ムーサヴィーが勝利した場合でも、〔次期政権内に〕自らの存在を確保できるからだ」。
とはいえサルヴァリーは、この第二の仮説は、第一の仮説よりも可能性は低いと見ている。つまり、建設の奉仕者党内の分裂の主要因は、党員が国の状況に対してそれぞれ異なった見方をしていることにある、というのである。
改革派が一本化することはないだろう
そのような中、国民信頼党の宗教指導者部長は「現下の状況では、改革派が〔大統領選に出馬する候補者に関して〕コンセンサスを得る見込みはまずなく、この状況は今後も続くだろう」と述べている。
アリー・ミールハーディー氏はイラン国営通信とのインタビューの中で、キャッルービーとハータミーが並存している状況では一本化は考えにくいと指摘し、「たとえ状況がこうであっても、複数の候補者の中から意中の候補者を選ぶのは国民である。戦線内で何か新しい動きが出るようなことはないだろう」と強調している。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
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