国民教育省に賠償命令―校内暴力による殺人事件
2009年03月14日付 Hurriyet 紙

ベシクタシュにあるルトフィ・バナット初等教育学校で、友人に教室で心臓を刺され亡くなった17歳のファーティフ・ジャン君の遺族が国民教育省に対して起こした損害賠償裁判が結審した。

イスタンブル第1地方行政裁判所は、国民教育省が「職務を怠った」として過失を認めた。

裁判所は、国民教育省にジャン君の遺族に対し、精神的(苦痛)に5万トルコリラ(日本円約286万円)、物質的(損害)に1万3700トルコリラ(日本円約78万円)、併せて6万3700トルコリラ(日本円約364万円)の賠償金を支払うようにと判決を下した。ドイツで先日起きた悲しい学校での大量殺人事件についで今回の判決により、「学校の治安対策は十分なのか?」という問いが再び浮上した。

■国民教育省、6万3700トルコリラ(日本円約364万円)を賠償。

イスタンブル第1地方行政裁判所が出した判決で、「公的行政は、実施を担った公共サービスを進める際に、その業務をきちんと監督し、必要な措置を取る義務がある。行政が自身に与えられた職務を適切に実施せずに損害を与える場合、これが職務怠慢によるものとして賠償が必要となるのは、憲法及び既存の行政法に照らして当然である」とした。

結審した裁判所は、国民教育省にジャン君の遺族に対し、精神的苦痛に5万トルコリラ、物質的損害に1万3700トルコリラ、併せて6万3700トルコリラの賠償金を支払うようにと判決を下した。判決の後、遺族の弁護士のアブドゥッラー・スュトチュオール氏は、遺族は訴訟を物質的な見返りを期待しておこなったのではないとし、「ドイツでの最近の事例に見られるように、学校での暴力事件に注意を喚起し、再発を防ぐために、この訴訟をおこなった」と語った。 

■「願わくは、この裁判が必要な働きを果たすよう」

「願わくは、この裁判がこうした問題でおこなわれる最後の裁判となり、願わくは、この裁判が必要な働きを果たし、責任者がこの問題に関心を払うように」と語る同弁護士は、遺族は、命を失った息子の事を介して学校での暴力事件に注意を喚起し、未成年で保護なき学生らに対し、学校管理者がさらなる注意を払い、彼らの安全を重要視していることを手を尽くして明らかにしようと期待したため、この裁判を開いたと説明した。

■「国民教育省は、自身の(職務)怠慢を認めた」 

スュトチュオール弁護士は、ファーティフ・ジャン事件の後、国民教育省が学校職員に関する調査を実施したと明らかにし、「この調査の結果、担任に注意措置が下った。この措置の理由では、職員が怠慢であったことが認められている。そして、これを認めた国民教育省はまさに自身の怠慢も確認するものとなった」と話した。同弁護士は会見で、この件で審理された訴訟での興味深い展開を指摘した。裁判で証人として聴取された学生が、容疑者C.B(仮名)の一連の性格により、学校に絶えずナイフをもってみんなを恐れさせていたと証言した、とのことだ。

■「息子を刺すようにと、学校へ送り出したのか」

ファーティフ・ジャン君の父アリ・ジャン氏は、至る所にハンドナイフを持った人間が、強奪を行うしつこい連中がいることを指摘し、この種の暴力事件が各学校に広がっていると説明した。ジャン氏は、「各学校に一つずつセンサーを購入できよう。私は息子を学校に誰かが殺せと、送り出したのか」と述べた。

■持ち物検査をおこなっていない

弁護士は、目撃者の学生の証言では、何度もこの問題について、教員に苦情を訴えたが、これに注意は払われなかったと話していたことを明らかにした。そして、「このことと同様に、学校内部で必要となる持ち物検査が行われなかった。そうしたことが久しく怠られていることが、書面にも反映している」と述べた。

■臓器は多くの命を救った

レヴェントにあるルフトィ・バナト初等教育学校で、事件は2006年3月22日に起きた。C.B(匿名)に教室の中央で心臓を刺されたファーティフ・ジャン(16)は搬送された病院で脳死となり悲しみにくれた家族は、臓器の提供をおこなった。ジャン氏が提供した臓器により、多数の命が救われた。

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( 翻訳者:岸田圭司 )
( 記事ID:15995 )