モフセン・レザーイー、「連合政府」の実現に向け活動を活発化:アフマディーネジャードにも呼びかけ
2009年03月04日付 E'temad-e Melli 紙
モフセン・レザーイーを中心とした「連合政府」樹立構想にもとづき、数日中にもマフムード・アフマディーネジャード大統領に向けた書簡が発表され、同大統領にも連合政府への参加が呼びかけられる予定だ。
連合政府樹立構想はモフセン・レザーイーが最初に提唱したもので、同構想が徐々に具体化していったことから、レザーイーは各党派の指導者らに書簡を送り、構想実現に向けた協力を呼びかけることを決断した模様だ。
当初より、同構想は現在と同様、さまざまな反応を引き起こしてきた。特に一部のアフマディーネジャード政権支持者らは、連合政府構想の発案者たちは政権に参画できなかったためにこのよう構想を持ち出したに過ぎないと一蹴してきた。
これに対しモフセン・レザーイーは、イスラーム共和国体制樹立から30年を経た今だからこそ、さまざまな見解を有する諸党派が一つにまとまった政府の樹立が可能であり、そうすることで諸勢力の結束に向けて動き出すことができるのではないかと、自身の決意と期待を表明している。
モフセン・レザーイーが考える連合政府では、さまざまな見解を持つ勢力が一つの内閣を形成するために集まり、国政の舵取り役を担うことになっている。さまざまな意見を結集させることで、社会の運営によりよい成果が期待できるのではないか、という考えだ。
イラン・イラク戦争の時代、何年にもわたって戦争を指揮してきたレザーイー元司令官は以前、エッテマーデ・メッリー紙とのインタビューの中で、第10期大統領選挙でこのような政府の樹立を目指すことへと意欲を語っている。同氏はその実現に向けてすでに動き出しており、その第一歩として選挙対策事務所を発足させている。
連合政府構想を唱道するモフセン・レザーイーは、自らの活動の第二段階として、モハンマド・バーゲル・ガーリーバーフやマフムード・アフマディーネジャードをはじめとする7名の有力政治関係者・大統領候補者に向けて、連合政府への参加を呼びかける旨の書簡を出すことを予定している。
複数の情報筋によると、この7名には第10期大統領選への立候補が取り沙汰されている人物が含まれているという。なかでも、マフムード・アフマディーネジャード現大統領は、このような呼びかけの書簡を受け取る最有力候補者の一人であり、数日中にも公開書簡として発表される予定だという。
とはいえ、このような呼びかけに対するアフマディーネジャードの回答は、今からすでにはっきりしている。一部識者は、〔2005年の〕第9期大統領選挙の経緯を考えれば、アフマディーネジャードは今回もこのような呼びかけに対して、否定的な反応を示すだろうとの見方を示している。実際、第9期大統領選挙の際も、このような呼びかけは革命諸勢力調整評議会の側からアフマディーネジャードに対して行われたものの、彼は調整評議会の会合に出席もしなければ、その活動に同意もせず、呼びかけを拒否したのである。
それゆえ今回の呼びかけに対しても、アフマディーネジャードとその同志たちは、83年アーザル月27日〔2004年12月17日〕の時と同じような回答を示し、独自路線を継続するのではないかと思われる。
連合政府への参加を呼びかける書簡の受け手の中には、イラン・イラク戦争のもう一人の司令官であったモハンマド・バーゲル・ガーリーバーフの名前も、恐らく含まれているだろう。モフセン・レザーイーは以前にも、選挙での連帯へ向けガーリーバーフと協議・協力を行ってきた経験がある。両者は第8期国会選挙で、アリー・ラーリージャーニーとともに「トライアングル」を結成し、国会に自らの推す候補者を送り込むことで協調体制を敷いてきた。同様の話し合いが、大統領選及び次期政権をめぐって今後も続けられていくものと思われる。
いずれにせよ、連合政府の形態・性格が日に日に現実味を増す中、各党派からはさまざまな反応が現れている。この構想に対する原理主義者たちの対応には、〔‥‥〕以前に比べて柔軟性が見られるが、その一方でマフムード・アフマディーネジャードの出馬は、原理派が連合政府樹立構想に関してはっきりとした決断を下すことを妨げている。一部の原理派政党の指導者は、連合政府樹立構想が現政権に対してどのようなスタンスを取るのか、はっきりさせるよう求めており、この二つが互いに対立し合う関係である場合、連合政府構想に反対の立場を取る姿勢を示している。他方、改革派陣営は連合政府樹立構想に対して、これといった立場をまだ示していない。
もちろん、連合政府樹立構想が具体化するにつれ、一部の党派はモフセン・レザーイーに支持を表明している。「イラン・イスラーム改革主義的原理派戦線」の総書記は、そのような人物の一人である。同氏は戦線の選挙事務所の立ち上げを発表した上で、同戦線はチャムラーン〔テヘラン市議〕、モフセン・レザーイー、アフマディーネジャード、(出馬した場合)ヴェラーヤティー、ハッダード=アーデル、及びプールモハンマディーの中から、最終的な候補者を選定するだろうと表明している。
改革主義的原理派戦線総書記はまた、すべての原理主義者がアフマディーネジャードを支持しているわけでは決してないとし、チャムラーン、モフセン・レザーイー、及びプールモハンマディーの三人のうち二人は原理派から選挙に出馬することになるだろうとの見方を示している。
なお、モフセン・レザーイー本人はいまだ自身の選挙出馬については何も語っておらず、連合政府樹立構想の実現と有力政治関係者に対する同構想の呼びかけに専念している。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
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