モロッコ、イランと断交
2009年03月08日付 E'temad-e Melli 紙
【エッテマーデ・メッリー:セルゲ・バーレスギヤーン】モロッコ王国は、金曜日からイラン・イスラーム共和国との外交関係を断絶することを決定した。モロッコ外務省はこの決定の理由について、「モロッコに対するイランの受け容れがたい対応・行動」に対する抗議のためであると発表、イランは駐テヘラン・モロッコ公使を同国外務省に呼び出した際、モロッコ政府に対して「不適切な表現」を用いたと主張している。
〔バーレーンはイランの一部だとする〕アリー・アクバル・ナーテグヌーリーの発言によって生じた
イラン=バーレーン関係の険悪化を受ける形で、モロッコ国王ムハンマド6世がバーレーンを支持する姿勢を示したことに対し、イラン外務省はエスファンド月2日〔2月20日〕ムハンマド・ブーザリー駐テヘラン・モロッコ公使を呼び出した。モロッコ国王はナーテグヌーリー発言に関し、バーレーンのハマド・ブン・イーサー・アール・ハリーファ国王に親書を送付、バーレーンに関するイラン側の発言は国際法違反であると主張して、同国を支持する姿勢を示していた。
これに対しイラン政府は、モロッコ公使を外務省に呼び出し、モロッコ国王の対応に対するイランの強い不快感を伝えた。モロッコはイラン側の措置に対し、エスファンド月7日〔2月25日〕駐テヘラン公使を1週間の期限で首都ラバトに召還、さらに同日ヴァヒード・アフマディー駐ラバト・イラン大使をモロッコ外務省に呼び出し、説明を求めた。
モロッコのアル・タイエブ・アル・ファースィー・アル・ファフリー外相はイラン大使との会談のなかで、モロッコへのイラン政府の対応を批判、「バーレーンに対して同情の念を表したためにイラン側の抗議を受けたのは、モロッコだけである。驚きと当惑を禁じ得ない」と述べた。
同外相はさらに、「大半のアラブ諸国が、今回の外交問題でバーレーンの側についた。そのようななかで、なぜイランが駐テヘラン・モロッコ公使を呼び出し、モロッコ政府だけを批判したのか、理解できない」と質した。
モロッコ政府はさらにイラン国営通信が公表した〔イラン外務省の〕声明文中の不適切な言い方に抗議し、イランはモロッコに対して「不適切な表現」を用いていると主張、イラン政府のモロッコ政府に対する政策は受け容れられないとした上で、「モロッコは金曜日から、イランとの外交関係を断絶する」と発表するに至った。
バーレーンのシェイフ・ハーレド・ブン・アフマド・アール・ハリーファ外相もモロッコ外相との電話会談のなかで、バーレーンとモロッコの連帯を確認、バーレーン政府はイランに対するモロッコの対応を完全に支持する旨伝えた。
バーレーン外相は先週イランから帰国した後、イラン=バーレーン間の緊張は終わったと述べていた。
その一方で、ロイター通信の報道によると、モロッコ外務省は短い声明を発表し、モロッコでシーア派の拡大を図っているとしてイランを非難、イランのこのような行動は北アフリカのスンナ派ムスリムの国であるモロッコの宗教的アイデンティティを脅かすものだと主張したという。
この声明は、モロッコ王国の宗教的基盤の変更を企ててきたとして、駐ラバト・イラン大使館を非難している。アル・アラビーヤの報道によれば、この声明はモロッコ王国に対するイランの対応には「特殊」なものがあるとした上で、イラン人外交団は全国民がスンナ派マーリキー法学派を奉じるモロッコ国民の信仰の基礎部分に害を及ぼし、彼らの古からのアイデンティティと宗教的一体感に傷をつけることを目的に活動していると指摘しているという。ラバトに駐在するイラン人外交官がシーア派を宣伝しているとして、モロッコは指弾しているのである。
モロッコ国王は「アミール・アル・ムウミニーン」という称号を名乗っている、アラブで唯一の為政者であり、そのため同国でシーア派が拡大することは自らの政治的・宗教的位置を危うくするものだと見なしている。
〔※訳注:「アミール・アル・ムウミニーン」とは「信徒たちの長」という意味で、スンナ派にとっては歴史上のカリフ、シーア派にとっては初代イマーム・アリーを指す〕
モロッコ憲法第19条は、国王を「アミール・アル・ムウミニーン(信徒たちの長)」、「国民代表最高位」、「国民統合の象徴」、「国家存続の保証人」などと呼んでいる。
〔後略〕
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( 翻訳者:斉藤正道 )
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