ハータミー「ムーサヴィーと票を争うつもりはない」:大統領選、出馬辞退へ
2009年03月16日付 E'temad-e Melli 紙

セイイェド・モハンマド・ハータミー氏の出馬発表から一月が経過した昨日、同氏の選挙陣営から様々な情報が伝えられた。中でも重要なのが、「ミール・ホセイン・ムーサヴィー氏への配慮から、ハータミー氏は第10期大統領選への出馬を辞退する」というニュースだった。

 このニュースは、昨日午後から徐々にその詳細が明らかにされていった。最新の報道で明らかにされたところでは、モハンマド・ハータミー氏は本日(昨日)昼、同氏を支持する若者たちの集会で「人々を待たせたくはない。大統領選に残るか身を退くか、早期に決定を出すつもりである」と述べたという。

 また、メフル通信は「第10期大統領選に立候補したセイイェド・モハンマド・ハータミー氏は、声明を出して近く次期大統領選からの辞退を発表する見込み」と報じている。

 セイイェド・モハンマド・ハータミー氏事務所の広報責任者たちが事実と認めたこの報道では、ハータミー氏は各州で青年支持者らが運営する選挙事務所を訪れ、出馬辞退の理由を次のように明らかにしたということだ。「一部のライバルは、私の支持者とムーサヴィー氏の支持者の間で反目が起きるようなムードを作ろうと動き出している。このような形で選挙を進めるのは、どちらにとっても得策ではない」。

〔中略〕

 ハータミー氏はさらに、自身が以前立候補を発表する前に語った話に言及し、次のように述べた。「原理派の一部もムーサヴィー氏を評価していることや、ムーサヴィー氏も現在最も重要な問題は戦略と行動の変化であると考えていることを考慮し、現状を総合的に見ると、人気があり現状においてより良く政策を遂行することのできるムーサヴィー氏が、選挙戦に残る方が好ましいと私は考える」。

 この集会でハータミー氏は選挙の行方に関して行われた諸々の世論調査の数字を示し、「全ての条件を考えると、選挙が第一回投票で決着がつこうと、第二回投票でつこうと、いずれの場合も、状況はムーサヴィー氏にとって有利になっている」と述べた。

 ニュースサイト「ジョムフーリーヤト」も、ハータミー氏はジャマーラーン〔テヘラン市北部の地区〕で支持者の若者たちと会い、大統領選に自らがとどまり続けることのもたらす結果について話したことを伝えている。この報道によると、ハータミー氏は「ムーサヴィー氏と争うつもりはない。両者が競い合うと考えるのは悪い考えである」と話している。

〔中略〕

 ハータミー氏はさらに日曜夕方のムーサヴィー氏との会談に言及し、同氏を支持する若者たちに向けて、この会談は選挙における自身の決定に大きな影響を与えるだろうと話している。

 ハータミー氏はさらに、同氏には政治的・社会的求心力が大きく、それゆえ選挙戦でも成功を収めることができると考えて、同氏に選挙戦に残るよう求めている若者たちに答える形で、「選挙戦では多くの事情に目を配る必要がある」と話した。

 さらに、昨日昼セイイェド・モハンマド・ハータミー氏の支持者たちが同氏に面会した際、改革派政権を率いた前大統領は現状を描写し、「次期大統領選で人々がミール・ホセイン〔・ムーサヴィー〕とハータミーの二人をともに目にすることは絶対に無いだろう」と強調している。

 この集会の最後に、参加者たちはハータミー氏に選挙戦の舞台に残るよう強く求めた。一方、一部のブロガーたちもブログを立ち上げ、ハータミー氏に選挙戦を辞退しないよう求めた。他方、ニュースサイト「ターブナーク」は記事で、「一方、世論調査を行ったところ、ハータミー氏は高い数字を獲得している」と報じている。

 ハータミー氏は残るのだろうか、退くのだろうか?この問いに対する答えは、年の最後の数日間に行われる予定の最重要会談のなかで明らかになるだろう。
〔訳注:この記事が出た翌日(17日)、ハータミーは声明を発表し、正式に出馬辞退を表明した〕

 ハータミー氏の自宅で行われたミール・ホセイン・ムーサヴィー氏とセイイェド・モハンマド・ハータミー氏の昨日の会談は、この〔ハータミーの選挙をめぐる〕対応の発表の仕方を決定付けるものであった。

 今後の行く末を決定付ける会談だと多くの人々に指摘されたこの会談は、ミール・ホセイン・ムーサヴィー氏とメフディー・キャッルービー氏の会談に続いて行われた。

 情報筋の話によると、ハータミー氏の第10期大統領選挙戦からの辞退は数日遅れて近日中に発表される可能性が高い。また、同氏の別の側近が考えるところによると、ハータミー氏はノウルーズ〔イランの新年、3月21日〕前には最終決定を明らかにするということだ。

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( 翻訳者:佐藤成実 )
( 記事ID:16024 )