「補助金の目的化」、来年度予算法案から削除される
2009年03月10日付 E'temad-e Melli 紙

【エフサーン・メフラービー】国会議員らは、「神は偉大なり」を叫んで、来年度予算案から「補助金の目的化」〔※〕の削除を可決した。
〔※ガソリンなど燃料に加えられていた補助金を廃止し、低所得者層向けに現金で生活支援を行うことを目指すもの。アフマディーネジャード政権が推し進めていた「経済改革計画」の目玉として提案されたもので、過去数ヶ月にわたり政府、国会議員、経済専門家らを巻き込んで侃々諤々の議論が繰り広げられてきた〕

 「神は偉大なり」の声が国会公開本会議場に鳴り響いた。一部の国会議員らは補助金目的化法案の削除に対する喜びをあらわにして、この問題の重要性を見せつけた。

 来年度予算法案をめぐって起きた今回の重大事は、突然の出来事であった —— しかしそれは示し合わせたかのようでもあった。アフマド・タヴァッコリー、ハミード・レザー・カートウズィヤーン、その他経済を得意分野とする国会関係者たちは、予算審議の過程を通して沈黙を守っていた。彼らはしかし、突然沈黙を破り、電光石火の如き動きで瞬く間に補助金目的化法案を来年度予算案から削除してしまったのである。

 国会での予算案の審議はいまだ続けられており、この法案が修正された形で予算法案に復帰する可能性も残されてはいる。しかし昨日の国会の投票をみる限り、その可能性は極めて低くなったと言えよう。出席議員245名中、132名が補助金目的化法案の予算案からの削除に賛成を投じている。

 国会エネルギー委員会の委員長で、経済改革計画特別委員会の委員も務めるハミード・レザー・カートウズィヤーン議員は、来年度予算法案から「補助金の目的化」を削除する案を提案した上で、次のように述べた。「そもそもこの問題は、特別委員会で議論を尽くし、その上で洗練された法案として公開本会議に提出するのが相応しいし、そうすべきだったのだ」。

 同議員はまた、補助金の目的化によって生じるインフレの危険性に触れ、次のように指摘した。「この〔来年度予算法案に組み入れられた補助金の目的化に関する〕条項をめぐっては、三つのシナリオを描くことができる。第一のシナリオは、インフレ率45%、第二は55%、第三は65%だ。これに対して政府は、12.5%という数字を提示している」。

 アフマド・タヴァッコリー国会調査センター所長他も、この付加条項によってインフレ率は現在のそれに少なくとも46ポイント上乗せされるだろうとの見方を示しており、もしこのような衝撃的な数字が現実のものとなれば、インフレは低所得者層や農業従事者、および企業経営者にとって耐えられないものとなるだろう。

 予算案から「補助金の目的化」条項を削除する考えに支持を表明した一人であるアフマド・タヴァッコリー議員は、演説の冒頭で、補助金の目的化に関して政府ならびに予算合同委員会が下した決定はインフレによる景気の悪化を招くと警告した。

 同議員は市民の経済状況、さらには産業界を取り巻く環境が悪化していることを指摘、国内外の研究機関の推計によれば、来年度のイランの経済成長率は低調で、そのことによるインフレは25%から30%にのぼるとされていることに言及した上で、「もしこの条項が88年度〔2009年度〕予算法案から削除されなかった場合、国は出口の見えない問題に突き当たることになるだろう」と述べた。

 タヴァッコリー国会調査センター所長はまた、政府が社会に支払っている補助金によって、国民は一人あたり2万6千トマーン〔約2600円〕を受け取っている計算になると指摘した上で、「補助金目的化法案が実施されるようなことになれば、この数字は半分にまで減ってしまう。これは貧困の増加と製造業の業績悪化を引き起こすだろう」と危機感をあらわにした。

〔中略〕

 これに対し国会の経済委員会、及び経済改革計画特別委員会の委員長を務めるゴラーム・レザー・メスバーヒー=モガッダム議員は、有力議員としては補助金の目的化を支持する唯一の人物として、論戦に加わった。

 同議員は、「補助金の目的化」条項を削除すれば15兆トマーン〔約1兆5千億円〕の財政赤字に陥ると指摘、その上で「この条項を外したからといって、良いことが起こるなどとぬか喜びはしない方が賢明だ」と釘を刺した。

 メスバーヒー=モガッダム議員はまた、補助金目的化法案について議員たちに説明を尽くすための非公開会議の開催を提案した。

 セイエド・シャムソッディーン・ホセイニー経済財政相も国会に姿を現し、補助金目的化条項が来年度予算から削除されることに対する政府の懸念を伝えた。しかしこのような懸念表明も議員たちにさほどの影響は与えなかったようだ。

 議員らは最終的に、来年度予算案から補助金の目的化条項を削除することを投票によって決めた。そのことによって、〔燃料の〕価格を一度に自由化するという政府の思い描いていた政策は一時棚上げとなり、今後の予算審議で最終的な結論が出ることとなった。

〔後略〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:16032 )